読売新聞と朝日新聞と日経新聞とNHKが相次いで報道しているのだが、内閣府は10月25日、我が国が環太平洋経済連携協定(TPP)に参加した場合、実質国内総生産(GDP)を10年で2.7兆円押し上げる経済効果があるという政府の見解を示した。
TPP交渉参加を話し合う民主党の経済連携プロジェクトチーム(PT)総会で、内閣府の大串博志政務官が説明した。米豪など9カ国が交渉中のTPPに日本も加われば、
10年間で日本のGDPは0.54%伸び、金額で2.7兆円増えるという。
昨年の10月に発表された内閣府の試算を担当した川崎研一氏(野村証券金融経済研究所 主席研究員) は、「週刊東洋経済」でインタビューに応じ、
「
私が算出した政府試算は、関税撤廃等の自由化を10年やった場合の累積だ。TPP参加、不参加で3兆〜4兆円差がつくとみているが、1年で3000億〜4000億程度、GDPなら0.1%相当にしかならない」
と語っていた。しかし2010年10月27日に内閣府が公表した「包括的経済連携に関する資料」には、「
10年間の累積」ということはもちろん、試算の前提となる基礎情報についてはほとんど書かれていなかった。
内閣府が2011年10月25日に示したTPP加盟の経済効果すなわち
10年で2.7兆円(GDPの0.54%)の経済成長は、1年で2700億円、GDPの0.054%程度、つまりほぼゼロパーセント(笑)である。 しかもこの数字は実質GDPである。多くの識者が懸念している通り、TPP加盟によって日本経済のデフレ・スパイラルが更に進行すれば、名目成長率がゼロパーセント以下でも、物価が下がるので、実質成長率はプラスになり得る(実質GDP成長率=名目GDP成長率-インフレ率)。
内閣府の大串博志政務官はTPP加盟の経済効果として実質GDPの成長率のみを示して肝心の名目GDPの成長率を示さない。これはTPP加盟は日本経済のデフレを更に促進しこそすれ、デフレの克服には全く役に立たないことを白状しているに等しい。つまり日本のTPP加盟には経済メリットが無い。
我が国が1年で僅か2700億円、GDPの僅か0.054%程度の経済効果を欲して拙速にTPPに加盟し、アメリカの無理難題を飲み込んでISD条項やラチェット規定の餌食になる危険を冒すことは愚の骨頂である。
我が国がGDPの上昇と輸出の増加と対中包囲網の形成のためにTPP加盟に固執する国益上の必要はゼロと思う方は、ブロガーへ執筆意欲を与える
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posted by 森羅万象の歴史家 at 23:00|
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