【平和の善悪】
15、世界最終戦争論の源流
「国際紛争そのものを消滅させる」ことによって、戦争を消滅させ世界恒久平和を実現しようとした有名な人物は、最終戦争による世界の統一を予言した石原莞爾である。
昭和十五年九月に立命館大学出版部によって刊行された石原の「世界最終戦論」は、八十版を重ね大ベストセラーとなり、広く国民に読まれた。彼の平和思想の根幹は、戦争発達の極限すなわち空軍の飛躍的発達による戦争の惨害の増大が戦争を短期化させ、遂には戦争の遂行そのものを不可能とするという認識である。昭和十七年三月に出た新正堂版の「世界最終戦論」に収録された最終戦争論に関する質疑回答の中でも、石原が予想し力説する将来戦の形態は、陸海軍に対する空軍の圧倒的優位であり、空軍に対する国土の防衛はますます困難となり、成層圏を自由自在に駆ける驚異的航空機とこれに搭載され敵国の中枢部を一挙に破壊する革命的兵器が、あらゆる防御手段を無効にして決戦戦争の徹底を来し、最終戦争を可能ならしめることが強調されている。
五百旗頭(いおきべ)真教授は、石原の最終戦争論に「戦争術の極度の発展が戦争を不可能とするという根本認識は、きわめて正確な洞察であり、近代史におけるもっとも独創的にして刺激的な史論の一つであることは疑い得ないのである」との評価を与えているが(1)、これは国際法史に対する無知から生じた誤解である。石原の認識は彼の独創とは言い難い。なぜなら第二次世界大戦の前、これに酷似する国際法思想が流行していたからである。世界最終戦論の源流は、飛行機の出現と実戦参加を目撃した複数の国際法学者によって、一九一一年の前後から盛んに提唱されていた楽観的な平和思想なのである。
そこで第二次世界大戦の勃発までの航空機の発達と国際法の発展について、簡潔に説明しておこう。
(1)石原莞爾【最終戦争論戦争史大観】三一八頁。
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