その渦中で、預金残高と取扱郵便物の減少とそれに伴う減収減益に直面した元郵政公社が、黒字をひねり出すために、連続的なコスト削減の必要に迫られる時、どうして郵便局の統廃合には絶対に手を付けないと断言できるのだろうか?諸外国の郵政事業民営化政策は郵便局の減少を招いて失敗しているというのに。
偶然にも道徳的な責任感の溢れる社長を迎えた元郵政公社が、地方の生命線(ライフライン)である郵便局ネットワークを是が非でも維持する使命感に燃え、郵便局の統廃合以外のあらゆる手段を講じて更なるコスト削減を実現し黒字を維持しようとすれば、それこそ智嚢を絞り、肝胆を砕き、血と汗と涙を流して、人件費と物品費を極限まで削減しなければなるまい。元郵政公社の死に物狂いの努力は、当然ライバルである他の民間会社をも徹底的なコスト削減に駆り立てるであろう。
結果として何が起きるかと言えば、人件費と物品費の大削減が郵政関連事業の生産効率を極限まで向上させるものの、有効需要を更に低減させ、デフレ不況を深刻化させるのである。個人の消費と企業の設備投資を冷え込ませる小泉内閣の冷酷な増税路線も又しかり。
つまり小泉内閣はデフレ不況下でデフレを進める最悪の財政経済政策を強引に推し進めているのだ。この問題は既に国会で取り上げられ、竹中平蔵は共産党議員の攻撃質問を浴びて大敗北を喫し、トンデモナイ世迷い言を吐いて国会議事録に末代までの彼の恥辱を残したというのに!!
○大門実紀史君 三十兆円国債を発行しているから需要をやっているという話だけ、一言だけ批判しておきます。
御存じのとおり、国債というのは赤字国債と建設国債があって、赤字国債というのは国の歳出不足を補うだけじゃないですか。去年と予算規模は変わっていないじゃないですか。建設国債というのはあなたも効果が余り認められていないと言う公共事業じゃないですか。それがどうして需要対策をやっているということになるんですか。おかしいじゃないですか、あなたの言っていること。そういう、とりあえず苦し紛れ、いろんなことを言わない方がいいですよ。
今言われたことに戻りますけれども、あなた本当に経済学者なのかと私、今疑いました。合成の誤謬というのは、あなたが言われたことが合成の誤謬だと私、思っていません。日経新聞や日本共産党の私が言っている方が合成の誤謬だというふうに思います。
あなたの認識そのものが非常に甘いというのが私、雑誌を見ていて発見しました。竹中大臣は、九月十七日号のプレジデントで、書かれたばかりだから覚えていらっしゃると思いますけれども、松下のリストラのことをこうおっしゃっています。要するに、松下がリストラをやっても、いずれ松下が大きくなって新しく人を雇えば、もっとたくさん雇えば、今の松下のリストラもこれはいいんだという話をされているんですね。そういうお考えですか。
○国務大臣(竹中平蔵君) そこで書かれている松下のリストラは少し前の事例であったとは思いますけれども、基本的には、それによって企業が収益力を高めてさらに前向きの投資を行って経済を発展させていく、そのプロセスである、その再構築のプロセスであると考えるならば、これは必要な調整だと思います。
○大門実紀史君 大体、松下が、今リストラするよりも将来たくさん雇いますという計画なんか発表しているんですか。何も発表していないでしょう。どうしてそんなこと言えるんですか。
○国務大臣(竹中平蔵君) >それが資本主義です。
○大門実紀史君 もう聞いてもそういうことしか言わないんですけれども。
拙者は上記の竹中の答弁を読んだ時、記者から質問される度に「定説です、それが定説です」と繰り返し発言して世間の失笑を買ったカルト集団ライフスペース代表のボケ老人を思い出した。
小泉内閣の退陣後、竹中は有名大学の教授に戻るのであろうが、彼の講義を受ける経済学徒は、自分の主張の根拠や理由を竹中から質問された時には、「それが資本主義です」と自信満々に答えると宜しい。大学当局から退学処分を受けるかも知れないけどね。その時に学生が竹中の国会答弁を提示し、退学処分の不当性を訴えとその撤回を要求したら、竹中は「退学処分が適当。それが資本主義だ」と要求を一蹴したりして(笑)。
共産党議員に言い負かされたなんて…もう辞職しろよ、竹中サン。
郵政公社を民営化して民間企業間の競争を促進し経済効率の向上を図るというミクロ経済策は成功を収めても、有効需要を増やしてデフレ不況を克服し、日本の景気と財政の改善回復を図るという現在の日本に必要不可欠なマクロ経済策には寄与せず、むしろ背反するのだ。
「郵政民営化なくして構造改革なし、構造改革なくして景気の回復なし」という小泉内閣の単調な絶叫スローガンは、ミクロ経済とマクロ経済を故意に混同し、因果の糸で結ばれていない郵政公社の民営化と景気の回復(デフレ不況の克服)があたかも結ばれているかの如く国民に錯覚させ、人気を稼ぐためのハッタリであり、また小泉内閣が財政悪化の元凶である財務省理財局財政投融資総括課、財投債、特殊法人という貪官汚吏による公金横領システムを温存しているという何とも許し難き事実を隠蔽するためのデマなのである。
ポール・クルーグマン曰く「日本の最大の問題は需要不足だ。小泉改革はインプリシットスローガン(妄信的なスローガン)であり、竹中の思想は暗やみの中の跳躍である」と。
・クルーグマン教授の経済入門

楽しくわかりやすいユニークな著作で知られる、ノーベル経済学賞・最有力候補、初の決定版テキスト。アメリカが抱える経済問題を素材に、舌鋒鋭く「俗説」を斬り捨て、その成功と失敗の本質を解説。番外編「日本がはまった罠」を加え、読みやすいくだけた訳文でも話題となったベストセラーを文庫化。
・クルーグマン教授の〈ニッポン〉経済入門

元祖提唱者が語るインフレターゲット政策と日本経済の真の問題。見当外れの批判を粉砕し、「そうか、経済ってこういうふうに考えればいいのか」と思わず納得する日本オリジナル編集版。インフレターゲットと経済政策をめぐる議論を総点検した山形浩生氏の書きおろし解説も充実。
・恐慌の罠なぜ政策を間違えつづけるのか

日本は恐慌の、世界は大不況の直前にある。1930年代の再来か。国際経済学の第一人者が、誤りをつづける日米の政策担当者たちを辛辣に批判。日本への最後の警鐘。
【目次】
1 恐慌の罠―日本の危機、世界の不安/2 恐怖の経済/3 恐慌経済学の復権/4 罠から抜け出せない日本/5 かわいそうな日本
上の文章を読んで「ナルホド」と感じた方は、人気ブログのランキング ranQ(ランキュー)

ラベル:政治
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