アメリカの対日経済圧迫の一例を挙げれば、一九三五年日本綿布の対米輸出の増勢は、アメリカ綿業者の反発を惹起した為、日本は同年十二月に紳士協定にて輸出自制を実行した。しかしアメリカ業者はこれに満足せず、数量制限の実施を要求して止まず、アメリカ政府は一九三六年六月、平均四十二パーセントの関税引き上げを行った。一九三七年、アメリカ綿業使節団が来日し綿業協定を求め、日本はこれに応じ同年六月対米輸出綿布の数量制限を行ったが、アメリカに対して報復的防衛的方策を採り得なかった。
なぜなら戦前の日米経済構造は今日のそれとは反対であって、レーが指摘したように、日本は生産事業に必要不可欠な生産財をアメリカから輸入していたからであり、日本の産業界が利益を上げる為には、否が応でも日米関係の好転に期待せざるを得なかったのである(小堀【東京裁判日本の弁明】四三九~四五八頁)。
帝国陸海軍に武器弾薬其の他軍事物資を供給する日本の産業界がアメリカ製の工作機械に依存する限り、アメリカ合衆国が日本の産業界と帝国陸海軍の生殺与奪権を掌握することになる。帝国陸軍中央はこの日本経済の致命的な弱点を熟知しており、これを克服すべく陸軍試案重要産業五ヶ年計画要綱実施に関する政策大綱(一九三七年六月十日)に次の政策を掲げていた。
六、機械工業対策
我が現下の生産力よりして本計画に必要なる一切の機械を迅速に自給するは全く不可能の事に属し、少なくとも速急に当面必要のものは輸入に依りて之を充足せざるべからざるものあり。今その額を推計するに概ね左の如し(中略)。
而して五ヶ年間の国産機械輸出を十七億円と見込むもなお多大の入超に終る。右の如きは一国重工業の建設後においては不可避の事象にして、速に彼の設備と技術を採って我の欠を補い以て敏速に独立自給の途を確保し以て世界市場に進出するの日を近きに期するべきなり。之が為採るべき方策左の如し。
(一)特殊法人国策機械製作会社を設立し、需要寡少の機械、高級精密工作機械、石炭液化用機械等、技術ならびに経済的に現存企業にとり困難なるものの製作を管掌せしむ。
(二)国策を以て技術および設備の迅速なる輸入を行う。主として国策貿易会社をして之に当らしめ対外注文の統制、海外受注能力の調査および輸入価格の抑制および輸出金の融通等を行わしむ。
(三)規格の統一、国内発注の合理化および製作品種の統制等に依り速に生産能力の増進を図る。
(四)下請業者の統制に努め其の素質および能力を向上せしむ。
また所長は「石原莞爾と尾崎秀実の戦い」国民のための大東亜戦争史1928―56の42、歴史に対する罪の次の文章から「カリーはコロンビアへ逃亡し」を削除した上で以下のように修正しました(強調部分が加筆修正箇所)。理由は、カリーは1949年にあくまで金融関係の仕事を行うためにコロンビアへ赴任しただけで、1952年にはアメリカに戻っており、「カリーはコロンビアへ逃亡し」という記述は所長の事実誤認でした。ここに訂正し読者の皆様にお詫び申し上げます。
その結果として、下院非米活動委員会に喚問されたハリー・ホワイトはスパイ疑惑を否定した後ジギタリスを大量服用して不可解な死を遂げ(一九四八年八月十六日)、
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