「国民の不平或いは希望があるならば、調査して国政の上に参考に供(うやうや)しい、これは議会が当然行い得る権限であります。議会には上奏権もある、請願権もある、建議権もある。昔のように之を上奏する場合が起れば差し止められると云うようなものでなしに、真に民の心を御採りになる機関と云うものは完全に備わって居る。又帝国議会の職責の上においてせなければならぬ、建議をしなければならぬ、上奏をしなければならぬ、請願をしなければならぬのは、帝国議会の職務権限の上において行われなければならぬ」
川崎代議士の主張は正論だが、残念ながら昭和の帝国議会衆議院は重要な時に上奏権行使を怠ってしまった。重要な時とは、第二十回帝国議会衆議院選挙後と斎藤隆夫代議士の反近衛演説時である。
政党内閣制の実現を欣求していた交詢社の影響下にあった大隈重信が枢密院帝国憲法制定会議において帝国憲法に全く異議を唱えず、会議終了後に満足げに「これで政党内閣は実現できる」と安堵の声を漏らしたのは、ひとえに議院上奏権が政党内閣制を実現するからだろうに。
そこで所長は「石原莞爾と尾崎秀実の戦い」国民のための大東亜戦争史1928―56の33、近衛新体制を以下のように加筆修正しました強調部分が加筆修正箇所)。
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国政全般を支配するに足る立法承認権と予算承認権を有する帝国議会衆議院の刷新を狙い予算の食い逃げ解散(三月三十一日)を強行した総理大臣の林銑十郎陸軍大将(予備役)は、この選挙結果に因り、野党から退陣を要求され、政権を維持できなくなり(林内閣提出の法律案と予算案はすべて衆議院によって否決されてしまうから)、同年五月三十一日に林内閣は総辞職した。民政党と政友会と社会大衆党そして有権者は自由な普通選挙を通じて合法的に陸軍中央の傀儡政権を倒したのである(1)。
ここで民政党と政友会は民意を得た衆院選の大勝に乗じ一致団結して林内閣に対して単に退陣を要求するだけでなく帝国議会臨時会の召集(憲法第四十三条による)をも要求し、議院法第五十二条「各議院に於て上奏又は建議の動議は三十人以上の賛成あるに非ざれば議題と為すことを得ず」に依り衆議院上奏の動議を起こし、衆議院から昭和天皇に対して民政党政友会いずれかの党首への組閣の大命降下を請願すべきであった。
「上奏は文書を上呈して天皇に奏聞するを謂う。或は勅語に奉対し、或は慶賀吊傷の表辞を上り、或は意見を建白し、請願を陳疏するの類、皆其の中に在り。而して或は文書を上呈するに止まり、或は総代を以て覲謁(註、きんえつ-覲は、まみえるという意味で、むかし諸侯が秋に天子のお目にかかり王事に勤め励むことを指した)を請い之を上呈するも、皆相当の敬礼を用うべく、逼迫強抗にして尊厳を干犯することあるを得ざるなり。」(大日本帝国憲法義解第四十九条解説)
枢密院帝国憲法制定会議が帝国憲法原案第四十九条(議院上奏権)を審議した際に議長の伊藤博文は、議院から天皇に上奏して建白する「意見」について、
「意見の文字は漠然として予め其如何なる事件なるかを知る能わずとの論あれども、其事件は一々本条に明記すること能わざるものなり。ただ時と場合とに依て定まるものにして予め明記すること能わず。例えば政府に於て外国と無用な戦争を開くか、又は不急の工事を起すが如き事あるに当り、議会より之に関して意見を上奏することあらん。予め意見の区域を定むる時には必ず後日差支えを生ずるに至らん。又意見は独り法律上の意見のみならず、凡て政事上の意見たるも妨げなし」
と説明していた(2)。従って衆議院は議院上奏権の活用により首相候補を天皇に奏薦するという重要な政治的役割を元老会議から引き継ぎ得たのである。
ところが近衛文麿からそれぞれ一つずつ国務大臣職を当てがわれた民政党と政友会は近衛内閣の発足を許容してしまい、せっかく支那事変勃発の直前に復活した我が国の政党政治は立憲議院内閣制を実現する絶好機を逸したばかりか、衆議院代議士の任期満了を待たずに衰亡してしまった。
(2)清水伸【帝国憲法制定会議】三〇五~三〇六頁。
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