育成者権(いくせいしゃけん, Plant Breeder's right, PBR)とは、植物の新たな品種に対して与えられる知的財産権(あるいは無体財産権)である。
植物の新品種の創作に対する保護を定めた法律である種苗法には、植物の新たな品種(花や農産物等)の育成をした者は、その新品種を登録することで、登録品種等(登録品種及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種)を業として利用する権利(育成者権)を専有する旨(種苗法第20条第1項)が定められている。
育成者権における権利の形態は、特許権や実用新案権のしくみと非常によく似ており、たとえば、優先権や専用利用権、通常利用権、先育成による通常利用権、裁定制度、職務育成品種、審査(実際に試験栽培が行われる)を経て登録がなされるなど、多くの共通点を有している。
この種苗法における育成者権は、他の知的財産権と同様に、アジアなどにおける海賊版農産物が大きな問題になっている。
たとえば、日本国内で開発された新品種(北海道が育成したいんげん豆「雪手亡」や、栃木県が育成したいちご「とちおとめ」など)が、中国や韓国などで無断で栽培され、日本に逆輸入される事件があった。
このような風潮は、農業関係者の長い間の努力にただ乗りする行為であって、日本の付加価値の高い産業の力を弱めることになる。このため、農林水産省生産局をはじめ、政府各機関では、育成者権の侵害対策強化に乗り出している。
工業分野の知的財産権の保護強化に反対しないのに、農業分野の知的財産権の保護強化に反対することは、農業に対する差別である。
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今日バイエルンモンサント、サカタ、タキイといった大手種苗会社によって開発された登録品種の穀物野菜のタネの大半はF1種(一代交配種)になっている。当然ながら日本国の我々農民は、F1種の自家採種と自家増殖を行わない。
従って我が国の農民は、登録品種の育成者権を侵害せず、刑罰を受けない。大手種苗会社のF1種を継続購入したくない者は、筆者の様に、一般品種のタネを購入栽培し、自家増殖すれば良い。
大手種苗会社によって開発された登録品種の果樹は、自家増殖可能である。従って種苗法改正後、我が国の農民の中には、登録品種の果樹を無許可で自家増殖し、登録品種の育成者権を侵害する者が現れるだろう。当然ながら彼らは処罰を受けるが、全く同情に値しない。
果樹の新品種の開発には膨大な時間と労力と資金が掛かる。従って農民が登録品種の果樹苗を自家増殖すると、登録品種の開発者が新品種の開発費用を回収できず、十分な利益を上げられなくなる。それは、次の新品種の開発を停滞させ、日本の農業を衰退させるからである。今まで政府と国会が農業分野の知的財産権を軽んじ、新品種開発育成者の権利保護を怠っていたのである。
果樹苗を自家増殖したい者は、筆者の様に、一般品種の果樹苗を購入栽培し、自家増殖すれば良い。
筆者は今年からブドウ栽培を始める為に初心者用の「紅伊豆」を購入し定植した。紅伊豆は脱粒しやすく日持ちしないので市場には出回らないが、観光農園や直売所では人気のある一般品種である。
▼紅伊豆
筆者は紅伊豆の次にゴルビーを購入すべきか迷っている。ゴルビーは、山梨県の植原葡萄研究所が1983年にレッドクイーン、伊豆錦を交配・選抜して作り出した赤ブドウの傑作で、ソ連のゴルバチョフ書記長が初来日した1983年に登録されたため既に一般品種になっているが、糖度20度を超える高級品で、ブドウ愛好者の中で人気を博している。
▼ゴルビー
農水省の種苗法の一部を改正する法律案についてが解説しているように、自家増殖可能な一般品種の穀物野菜果樹の中には、登録品種に優るとも劣らない素晴らしい品種が数多く有る。
従って種苗法の改正によって登録品種の自家増殖が制限され、育成者権の保護が強化されても、我が国の農民はアコギな外資によって支配されない。むしろ種苗法改正が育成者権の保護を強化し、今まで以上に新品種の開発を促進すれば、それらは25年ないし30年の品種登録期間(育成者権存続期間)を経て自家増殖可能な一般品種となり、日本農民の選択肢を増やしてくれるのである。
そして種苗法の改正に反対する者が、本気で、我が国の食料自給率が低下していることを憂慮し、また種苗法の改正による育成者権の強化が将来的にバイエルンモンサントなどの種の独占ビジネスに結びつきかねないと懸念するならば、JAの会員となり、今のうちに世界中の珍しい固定種のタネを販売しているマルシェ青空や、伝統種を取り扱っている種苗会社から、穀物野菜のタネを購入し自家増殖して、JAの直売所あるいはネットのフリーマーケットを通して、固定種のタネと苗を国民に販売したらどうか。固定種の苗作りは庭ベランダ個室で可能だから、副業になり得る。
因みに筆者はマルシェ青空からアメリカで「とうもろこし、大豆、小麦に続く第4の穀物」と話題を集めている固定種ホワイトソルガム(しろたかきび)を購入し、首尾よく栽培収穫できたが、野鳥の餌にした。ホワイトソルガムは余りに不味くて、筆者はこれを継続栽培する気にはならなかったからである。
種苗法改正により育成者権の保護が強化され、登録品種の自家増殖が制限されたからと言って、我が国の農業がバイエルン・モンサントの種子独占ビジネスに支配されないことを理解した方は、終わりにブロガーへ執筆意欲を与える一日一押人気ブログランキングをクリック願います。
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