2020年02月24日

ソ連代表の白昼堂々たる虚偽演説を視聴した高柳賢三博士の第六回ヨセミテ会議回想-戦史修正のお知らせ

 東京裁判に参加したソ連人は、高柳賢三博士が東京裁判被告弁護人に就任したことを知り、戦慄したのではないだろうか。第六回太平洋会議でソ連代表の白昼堂々たる虚偽演説に接した高柳博士はマルクス・レーニン主義およびソ連の危険性と犯罪性を熟知する人物だったからである。

 東京裁判却下未提出弁護側資料に第六回太平洋会議の議事録が存在している。この理由が朧気ながら判明したので、所長は国民のための大東亜戦争史38~42ソ連の対日米支諜報謀略網を次のように加筆修正しました(強調部分が加筆修正箇所)。


38、太平洋問題調査会

 尾崎秀実と西園寺公一が出席した学術団体「太平洋問題調査会Institute of Pacific Relations」の第六回太平洋会議(一九三六年八月十五~二十九日、カリフォルニア州ヨセミテ国立公園)の議事抄録「オクスフォード大学刊一九三六年の太平洋の諸問題、太平洋諸国の社会及経済政策の目的と結果、中共紅軍の活動と反帝救国統一戦線の結成」が東京裁判却下未提出弁護側資料(昭和二十二年四月二十五日、第二〇四回公判に提出予定)に存在する(1)。
 この議事抄録が詳述する支那大陸の情勢は、日支提携論者の石原莞爾が参謀本部作戦課長に就任した昭和十年(一九三五)八月一日、中国共産党が八・一抗日救国宣言を発表し、以後、北京と上海において、中国共産党の指揮煽動の下に学生を中心として、蒋介石に内戦中止と容共抗日という統一戦線の結成を強要する多数の抗日救国団体が出現し、中華民国の排外主義の矢を日本に向け、日本と蒋介石を噛み合わせて漁夫の利を得んとする中国共産党の新戦略-コミンテルン三十五年テーゼに依拠する人民戦線戦術が功を奏しつつある、というもので、この中には、

 「領土の一部にソビエト政権が存在する支那の如き国家の条件下に於いて反帝国主義的人民戦線の戦術の正しい適用は、ソビエト革命の向後の勝利のためプロレタリアートのヘゲモニー強化のための闘争における共産党の地位と力を弱めず、却って強めているということを強く確信するを要する」

という、コミンテルン第七回大会に出席した中国共産党員中最高指導者の一人たる王明(陳紹禹)の言葉が引用されている。

 昭和十一年(一九三六)十一月十三日の満洲日日新聞記事「支那の共産化 太平洋会議の現実が語る注目すべき動向」によれば、このヨセミテ会議に参加した支那人たちは殆ど共産主義を恐れていないばかりか、「南京政府も政治的には国家主義で行かなければならぬけれども経済的には共産主義で結構だ、帝国主義と共産主義と何れを択ぶかといえば、無論共産主義を択ぶ」と公言しており、それが日本人参加者たちには意外であり驚異であった。
 その支那人中の一人が「どうも日本人は四十歳以上の人は物が大変能く解って支那のことも理解し穏健な説を吐くけれども、四十歳以下の人が非常に強硬で困るこれが日支間の禍いの因を成している」というようなことを述べたところ、高柳賢三博士が「それは大変違う、自分は四十歳以下の青年学生を多数教えているが、日本の青年は支那に対して非常に穏健で支那の立場も能く理解し、是非支那を立派な国にして友邦として手を携えて行かねばならぬと殆ど皆が考えている」と一々例証を挙げて説明し「支那には四十歳以下の人に共産主義者が多い、反満抗日とか抗日救国とかいって運動している連中は皆若い、だから四十歳以下の人がどうとかこうとかいうのは支那についていうべきことで今の説はソックリその儘返上する」と反論し、参加者の喝采を博したという(2)。

 
 このIPR第六回ヨセミテ会議から四ヶ月後、西安事件が発生したのである。

(1)小堀桂一郎【東京裁判日本の弁明】三五六~三六四頁。尾崎は会議に「最近の段階における日支関係」という論文を提出した(【尾崎秀実著作集1】三六九頁。【尾崎秀実著作集5】三九九、四二七頁)。
(2)神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫 政治(621-093)


41、ソ連の諜報謀略網

 小堀教授は「ヨセミテでの会議がどの様な性格のものであったか、日本からの参加者があったのか否かを編者はつまびらかにしない。この資料が提出されずに終わった理由がよくわからない」と述べている。

 このヨセミテ会議に参加した元外相の芳沢謙吉は、「太平洋会議において討議せられた問題は北米合衆国、日本、支那、ソ連及び太平洋における諸問題の平和的調整の五個の問題であるが、日本の問題においては勿論、支那、ロシア及び太平洋諸問題の平和的調整の三つの問題の討議においても日本に対する非難攻撃が多かった」と東京朝日新聞に語った(1)。
 太平洋会議全六回に参加した高柳賢三が指摘した第六回ヨセミテ会議の一つの大きな変化は、ソビエト連邦の代表二人が会議に加わり、この共産国家の太平洋問題についての発言が加わってきたことである。他国の代表とは異なり政府見解から離れて自由に発言する個人的資格を有さないソ連代表は、むしろ有能にソ連政府の見解を述べ、ソ連の外交政策について次の二点を強調した。

一、ソビエト連邦の外交政策の第一の基調はその平和政策である。ソ連が連盟に加入し、また隣接国と数多くの不可侵条約を結んでおることは、その顕著な例証である。ソビエト連邦は日本とも不可侵条約を結ぶ意向があり、日本政府に対してこれを提案したが、日本政府は先ず各具体的紛争を個々的に片付けるべきで、一般的不可侵条約の如きは、不戦条約のある以上必要なしとの理由の下に、これを拒絶しているのである。

二、ソビエト連邦の外交政策の第二の基調は「諸種の経済組織の共存及び平和的競争」と云うことである。また各国政府は、赤化宣伝と騒ぐが、共産主義とか、革命とかは、輸出され、輸入されうべき代物ではない。それは内部から発生するのである。

 このソ連代表の演説に対して参加者から次の追及質問が投げかけられた。

1、右の提言の背後にあるのは「リベラリズム」のイデオロギーであって、マルクス殊にレーニンのイデオロギーとは、氷炭相容れないように見えるが如何。
2、この外交政策は、革命当時からのソビエト・ロシアの政策か、それともまたソビエト連邦が連盟に入った頃から成立した政策か。
3、「諸種の経済組織の共存及び平和的競争」と云うのは、永遠に妥当すべき外交政策とソビエト政府は考えておるのか、或いはまた現階級におけるソビエト国家の安定と発展にとって有利だと云う功利主義的思想に基礎づけられているのか。
4、諸種の経済組織の共存及び平和的競争の提言及び赤化宣伝についての提言の示す自由主義的政策は、同時に又ロシア国内法の原理と運用をなしているか、例えば、反革命的宣伝及び運動に対して、「輸出入不可能」の原理によって、寛容の態度を採っているか、或いはまた厳罰主義で行っているか。もしも後者であるとすれば、赤化宣伝に関する右のテーゼと本質的に矛盾してはいないか。
5、「輸出入」と云うが「密輸」は如何。

 右のうちソ連代表は1、4、5には答えず、ただ2に対しては革命当初から、3に対しては功利的ではなく永遠に妥当すべき原理として、と答えた。それを視聴した高柳賢三は「この答えは余程変な印象を与えた。むしろより率直に答えた方が、ソビエト連邦の外交政策自体のより強い弁明と響かなかったか」という感想を著書に書き残している(2)。

 ソ連の対日「革命密輸組織」に属していた尾崎秀実
は、昭和十一年(一九三六)十月二十六日から十一月二日にかけて「アメリカ西海岸を歩く」と題する紀行文を帝国大学新聞に寄稿し、その中で、

 「今夏ヨセミテで開かれた太平洋会議には太平洋に関係ある各国の知名の学者、政治家、評論家など多数参集し、この人里離れた国立公園に時ならぬ賑いを呈せしめた。注目に値すると思われたのは会議の指導機関である太平洋問題調査会事務局の空気であった。ここにはいかにも秀才といった感じの若手の学者や評論家がいてその傾向は頗る進歩的であった」 

と述べている(3)。筆者が推測するに、IPR第六回ヨセミテ会議の裏面の性格は、

 「資本主義国である日本の外交、政治、経済、軍事等一切の情報や資料を探知蒐集して之をソ連に通報漏泄し日本の経済力外交政策の軍事に関する作戦、軍事力等を事前に知らせて置き日ソ戦が勃発した場合ソ連が有利な地位に立って日本の弱点につけ込んで日本を敗戦に導き或は疲弊せしめ、更にソ連が米英と結託して之等の国をして日本を牽制動肘せしめ、或は又支那満洲国等に働きかけ殊に中国共産党や中国の共産軍等を使嗾して対日長期抗戦をやらせる事に依り一面に於いては共産主義の国ソ連を防衛し他面に於いて日本を敗戦又は疲弊せしめて革命へ導く」

ソ連独自の世界革命という世界政策(4)を推進援助する日米共産共同謀議だったのではないか。

(1)神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫 政治(56-097)東京朝日新聞一九三六年十一月十八日~二十二日記事「欧米を見直す 元外相 芳沢謙吉」
(2)高柳賢三【独裁政と法律思想:現代欧米の法律思潮】三三三~三三八頁。


42、歴史に対する罪

 もしIPR第六回太平洋会議議事抄録が支那または支那以外の土地における共産主義に関する証拠資料と一緒に東京裁判で判事、検事、そして太平洋会議を熟知する高柳賢三弁護人ら被告弁護団によって徹底的に審議されたならば、彼らによって西園寺やラティモアが法廷に喚問され、日米支に張り巡らされたソ連の諜報謀略網の実態がもっと早期により詳細に判明し、東京裁判は国際連盟によって侵略国と認定され連盟より除名されたソ連を責め裁く裁判となり、大東亜戦争の真実を白日の下に曝し、ソ連の勢力拡大に奉仕したアメリカ合衆国は面目を失ったに違いない。
 以上の事態を阻止する為に、極東国際軍事裁判所は第六回太平洋会議議事抄録の法廷への提出を許さず(或は却下したか)、東京裁判昭和二十二年(一九四七)六月六日第二三二回公判に被告弁護団から提出された「ゾルゲ、スパイ事件の詳細発表/ニッポン・タイムス一九四五年十二月二十四日」、「ゾルゲ、スパイ事件/オットー・D・トリスチヤス東京報告一九四三年レイノルーヒッチコック出版」を却下したのであろう(4)。


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