2019年08月10日

朝日の二枚舌は社会の公害

 朝日記事「表現と冒とく-境界を越える想像力を2015年1月19日」 によれば、どんな場合でも表現の自由は無制限というわけではないという。

 表現と冒とく-境界を越える想像力を(2015年1月19日)

 ある人々による風刺表現が、別の人々に侮辱と受けとめられる。その反応が多数の殺害という最悪の形になったのが、フランスの週刊紙が載せたイスラム教預言者の風刺画だった。「絵の問題でなぜ殺人まで」と思う人は少なくないだろう。一方、多くのイスラム教徒にとっては激しい冒瀆(ぼうとく)だった。どんな理由があれ、表現に暴力で対抗するのは許されない。ただ、表現の自由と、個人の信仰や規範との対立を、どう調整するかは難しい問題だ。

 民主主義の歩みを振りかえれば、政治権力を対象にした表現の自由は決して制限されてはならないのは明らかだ。批判や風刺にも、最大限の自由が保障されねばならない。

 だが、どんな場合でも無制限というわけではない。無分別な表現は、個人や集団、民族などの名誉や尊厳を傷つける「暴力」にもなりえる。
 どこまでが自由で、どこからが侮辱か、その線引きは一様ではない。時代や社会によっても変わりうる問題だ。どの場合であれ忘れてならないのは、自由の行使には、節度と思慮が伴わねばならないということだ。
 ある集団や民族に属していることを理由に存在意義を根本から否定したり、憎しみをあおったりする言動は、自由の名で守られるべきものではない。
 自分にとっては当たり前に思える常識や正義が、他者にとっては必ずしもそうではないという想像力。それがあっての表現の自由である

 
 グローバル化が進み、インターネットが世界を覆ういま、あらゆる表現は国境や、文化圏、宗教圏をかるがる越える。
 表現者が意図した「宛先」の枠内では問題のない内容でも、「宛先」の外では不穏当と感じられることが起こりやすい。欧州の新聞が自分の読者向けに載せた表現が、遠い中東の人々の感情を揺り動かすと同様に、日本の国内向けの言葉や表現も、瞬く間に国外を駆けめぐる。
 多種多彩な文化や歴史が共存している世界の一員として、自由に伴うべき思慮の領域を、広く深く持たねばならないのが、いまの時代の要請であろう

 ある表現について、他者が違和感や反論を抱けば、それを表現し返す双方向性の手段が開かれるべきだ。報道機関を含め、表現者はいつも謙虚に耳を澄ます姿勢が欠かせない。
 この表現が他者の心にどう映るか。たとえリスクがあっても表現する意義は何か。簡単ではないが、想像力を不断にめぐらす努力を続けていくしかない


 ところが、2019年8月6日の朝日新聞社説は、昭和天皇、日本軍将兵、日本国、日本民の名誉と尊厳を傷つける表現を、「暴力」として非難するのではなく、表現の自由として全面擁護したのである。

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 あいち企画展 中止招いた社会の病理(朝日新聞社説 2019年8月6日)

 人々が意見をぶつけ合い、社会をより良いものにしていく。その営みを根底で支える「表現の自由」が大きく傷つけられた。深刻な事態である。

 国際芸術祭あいちトリエンナーレ2019の企画展「表現の不自由展・その後」が、開幕直後に中止に追い込まれた。
 過去に公的施設などで展示が許されなかった作品を集め、表現行為について考えを深めようという展示だった。芸術祭として個々の作品への賛意を示すものではなかったが、慰安婦に着想を得た少女像や、昭和天皇を含む肖像群が燃える映像に抗議が殺到した。放火の予告まであったという。もはや犯罪だ。警察は問題の重大さを認識し、捜査を尽くさねばならない。

 気に入らない言論や作品に対し、表現者にとどまらず周囲にまで攻撃の矛先を向け、封殺しようとする動きが近年相次ぐ。今回はさらに、政治家による露骨な介入が加わった。
 芸術祭実行委の会長代行を務める河村たかし名古屋市長が、「日本国民の心を踏みにじる」などと展示の中止を求め、関係者に謝罪を迫ったのだ
 市長が独自の考えに基づいて作品の是非を判断し、圧力を加える。それは権力の乱用に他ならない。憲法が表現の自由を保障している趣旨を理解しない行いで、到底正当化できない。

 菅官房長官や柴山昌彦文部科学相も、芸術祭への助成の見直しを示唆する発言をした。共通するのは「公的施設を使い、公金を受け取るのであれば、行政の意に沿わぬ表現をするべきではない」という発想である。

 明らかな間違いだ。税金は今の政治や社会のあり方に疑問を抱いている人も納める。そうした層も含む様々なニーズをくみ取り、社会の土台を整備・運営するために使われるものだ。

 まして問題とされたのは、多数決で当否を論じることのできない表現活動である。行政には、選任した芸術監督の裁量に判断を委ね、多様性を保障することに最大限の配慮をすることが求められる。その逆をゆく市長らの言動は、萎縮を招き、社会の活力を失わせるだけだ。

 主催者側にも顧みるべき点があるだろう。予想される抗議活動への備えは十分だったか。中止に至るまでの経緯や関係者への説明に不備はなかったか。丁寧に検証して、今後への教訓とすることが欠かせない

 一連の事態は、社会がまさに「不自由」で息苦しい状態になってきていることを、目に見える形で突きつけた。病理に向き合い、表現の自由を抑圧するような動きには異を唱え続ける。そうすることで同様の事態を繰り返させない力としたい。


 2015年1月19日の朝日新聞記事「表現と冒とく-境界を越える想像力を」の内容が本当に朝日首脳幹部の思想信条なら、朝日首脳幹部は、これに依拠して、「日本国民の心を踏みにじる」という理由で展示の中止を求めた河村たかし名古屋市長を全面擁護し、憲法によって保障されている表現の自由が決して無制限ではなく、今の時代には自由の行使には節度と思慮が伴わねばならないことを力説し、「自分にとっては当たり前に思える常識や正義が、他者にとっては必ずしもそうではないという想像力」を働かせて「個人や集団、民族などの名誉や尊厳を傷つける無分別な表現」や「憎しみをあおったりする言動」を二度と行わないように、朝日論壇委員の津田大介ら国際芸術祭あいちトリエンナーレ2019の開催責任者たちに要求するはずである。しかし、そのような趣旨の記述は、2019年8月6日の朝日社説「あいち企画展 中止招いた社会の病理」には全く見当たらない。

 2015年1月19日朝日記事の内容が朝日の本心なら、2019年8月6日の朝日社説は身内を庇うための心無い虚偽宣伝で、後者の社説内容が朝日の本心ならば、前者の記事は、イスラム勢力に媚びへつらうための心無い虚偽宣伝になる。

 いずれにしろ、朝日新聞社が二枚舌、ダブルスタンダードを駆使する卑劣なフェイクペーパーであることは、朝日新聞自身によって改めて証明されたのである

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新聞という病 (産経セレクト)

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posted by 森羅万象の歴史家 at 12:00| Comment(0) | もろもろ時事評論 | 更新情報をチェックする
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