2019年03月08日

韓国の対日請求権資金白書に記された日本政府の戦時国際法論

 1976年に韓国・経済企画院から発刊された「対日請求権資金白書」には、我々日本国民が知らなければならない重大な事実が記されているのに、産経新聞社の黒田勝弘記者を除いて、日本のマスコミは対日請求権資金白書の存在さえ報道しようとしない。
 支那大陸と朝鮮半島と大和魂を売った彼らには、国民の知る権利に奉仕する意志など微塵もないことを理解した方は、終わりブロガーへ執筆意欲を与える一日一押人気ブログランキングをクリック願います。

対日請求権資金白書

対日請求権資金白書発刊の辞

 去る1960年代は民族中興と自立経済を誓った長期経済開発計画が着手されたことにより、近代化の足がかりを構築した我が歴史上最も意義深い年代だったと言えましょう。

 特にこの期間は解放後断絶されていた韓・日関係が1965年12月正常化されたことにより、両国が経済協力面で新たな章を広げることとなった時期でもあります。

 長い間難航を重ねてきた韓・日交渉が妥結を見、成し遂げられた韓・日国交正常化とともに我々は日本から無償3億ドル、有償2億ドル、総5億ドルの請求権資金を1966年から1975年まで10年間にかけて持ち込むことになりました。

 この対日請求権資金は農水産業の近代化と中小企業育成、綜合製鐵建設と多目的ダム、道路、港湾、電力等、主要機関産業育成に効率的に使用されました。

 さらにこの請求権資金は1960年代初めから始まった我が国の経済開発5カ年計画の遂行においても効果的に使用されたことも事実です。

 従って、この資金が具体的にどの部門にどのように使用され、またどんな成果をもたらしたのかをはじめ、その導入背景と分野別導入実績等を体系的に綜合、整理しておこうということがまさにこの白書発刊の趣旨と言えましょう。

この対日請求権資金白書が有用な資料として国民のみなさんと関係者に参考になることを願うところです。

1976.12

副総理兼経済企画庁長官

南悳祐

第1章 請求権資金の導入背景と使用基準

第1節 韓・日国交正常化の背景と経緯

2.国交正常化と請求権資金の導入背景

 韓国と日本の関係において韓国の独立を最初に明文化した国際的協約は二次大戦が終結する二年前の1943年12月1日カイロ宣言があり、これはさらに1945年7月26日にあった連合国首脳による「ポツダム宣言」で再確認された。

 すなわち同宣言によれば、「カイロ宣言の諸条項が移行されなくてはならず、日本の主権は本州、北海島(原文ママ)、九州、四国島と我々が定めるその他小島嶼に局限する」と明示したことにより、韓国は日本領土から分離し日本主権外にあることを明示した。

 こうした宣言があってから約1ヶ月後の1945年8月15日、日本は2度の宣言を受け入れ無条件降伏し「ミズーリ」艦上で降伏調印をすることになり、ようやく我が国は独立を取り戻すことができる権利を持つこととなった。

 その後、米軍政と過政を経て大韓民国政府が樹立され、これが1945年12月12日国連決議195(III)で韓半島の唯一の合法政府として宣言されたのち、米国を始めとした自由陣営の国家らが続けて大韓民国を合法政府と承認したことにより、完全独立国家としての地位が鞏固になったのである。

 しかし、こうした一連の諸措置は主に連合国により成し遂げられたもので、占領当事国の日本により取られたものではない。

 そして終戦後6年が過ぎた1951年9月8日サンフランシスコ平和条約により日本が独立国家として再出発し、同条約第2条a項で「日本は韓国の独立を承認し、済州島、巨文島および鬱陵島を包含する韓国に対するすべての権利、権限および諸請求権を放棄する」と明文化することにより、日本が韓国の独立を認定することになったのである。

 こうしたサンフランシスコ平和条約も我々韓国と日本の間に成された条約ではないため、当事者間に過去の歴史を清算し、我々の権益を最大限に確保すると同時に正義衡平と互恵平等に立脚し新たな関係を結んだ韓・日間の国交正常化は必然的な課題として提起された。

 こうした韓・日間の基本関係と関連して、去る36年間に我が民族が被った精神的苦痛や物質的損失の代価として、我々は当然に請求権を要求し補償を受けなければならないが、国際間の補償という国際協定のような法的根拠がなくては簡単に妥結されない特殊性を持っている

 韓国が日本に対し請求権を主張できる法的根拠は前記したサンフランシスコ平和条約に規定されている。

 すなわち同条約第4条1項には「第2条に規定された地域(韓国など戦前に日本の植民地だった地域を指称するものである)にある日本および日本国民の財産および現在の該地域の施政当局および住民(法人包含)に対する諸請求権(債権包含)の処理と日本においての前記当局および住民の財産および日本と日本国民に対する請求権(債権包含)の処理は、日本と前記当局間の特別協定により決定される」と規定している。

 これは韓国政府や韓国国民が日本政府や日本国民に対し、持っている債権関係を請求できるということを明らかにするものである。

 こうした規定はその内容として見るに、韓国と日本相互間に請求権を主張できるようにする双務協定であって、我々が一方的に日本に請求権を主張できる根拠にはならなかった

 そして前記条約第4条2項に「日本は第2条に規定された地域(日本の植民地だった地域)の米合衆国軍政により行われた日本と日本国民の財産の処理は効力を承認する」と規定されたので、韓国内にある日本政府や日本国民の財産が米軍政の処分により韓国政府に帰属するようにとだけなったのであれば、我々は日本に対して一方的に請求権を主張することとなるのである。

 ところで幸いにも8.15解放後、米軍政は1945年12月6日軍政法令第33号で帰属財産管理法を公布し、韓国にある日本の財産を国有私有いかんにかかわらず全て米軍政庁に帰属させた


 このように接受された帰属財産はその後政府が樹立されてから一月後である9月11日に韓・米間財産および財政に関する最初協定を締結したことで、韓国政府に移譲されることとなった。

 こうした法的根拠、すなわちサンフランシスコ平和条約第4条2項により韓国にあるすべての日本財産は米軍政庁を経て、韓国政府に帰属され、その代わり同条1項により韓国は日本により一方的な請求権を持つこととなったのである


3.請求権と関連した韓・日会談経緯

 こうした我々の要求に対して日本側はサンフランシスコ平和条約第4条2項により日本がその効力を承認するとした南韓米軍政庁の日本財産に対する処分は1907年制定された「ハーグ」陸戦法規第46条「占令軍は占令地域で私有財産に対しては一切没収できない」と規定を理由に私有財産に関する処分まで認定するものではないと主張すると同時に、私有財産に関する限り原権利者である日本人に対し報酬請求権が残っており、韓国にいる日本人の私有財産が日本に対する請求権より段違いに多いとしつつ逆に日本の対韓請求権を主張した

 こうした日本側の主張に対して韓国政府は国連総会の書翰を発送し平和条約第4条に対する有権的解釈を要求することとなった。

 これに対して1952年4月に同条約の起草に主導的役割をした米国から「日本は対韓請求権を要求できない。その上韓国にある日本財産はたとえ個人私有財産といえども一旦国連軍が処理しそのまま韓国政府に移譲したものであるため、日本はなんらその財産権を主張することはできない」という回信を送ってきた。

 こうした米国務省の見解にもかかわらず日本は対韓請求権の主張を捨てず継続して固執していた

 初期の韓・日会談は前で言及したとおり、互いに相反する主張のみが繰り返され、第3次会談では日本の首席代表である久保田一郎が「36年間に渡った日本の韓国統治は韓国近代化に有益な面もたくさんあった」と言い、また続いて「対日講和条約が成立される前に韓国が独立したのは国際法違反だ」というなどの妄言をしたことで会談は決裂してしまった。

 第3次会談で日本首席代表久保田の重大妄言で韓・日会談は4年間中断状態にあったが、韓国政府は会談再開の前提条件として①久保田の妄言を正式に取り消すこと、②日本の対財産請求権を取り下げること、③一部文化財を返還すること、④相互抑留人を釈放することなどを定義し、1957年12月31日に日本政府が正式公翰で受諾することによりある程度の妥協点を探ることができるようになった。

 すなわち日本が7年間対韓請求権を主張し取り下げることになり対日財産請求権のみ残ることになったのだが、その間7年間の韓・日会談で得た成果とは日本の対韓財産請求権を放棄させたことだと言うことができる。

 対日請求権だけが残った韓・日間の財産請求権を4次会談で扱おうとしたが、4.19で中断し1969年に新たな政治体制が樹立されてから過去日本に提示した8項目の要綱に対してひとつひとつ計数的な検討に入ることになった。

 各項目の法的根拠に対する過程で日本側は証憑書類の提示を要求したが、韓国側では立証資料を提示することができず韓・日間には深刻な対立のみ招来し、何の合意点を発見できずにいたが、5.16軍事革命で両国間の妥結模索は中断されてしまった。

 1961年から開催された第6次会談では5次会談で法的根拠および証憑提示などの論議が繰り返されたことを鏡として政治的次元で決定するほかないという判断のもと、首脳会談または政治協約などを経て1964年12月から始まった第7次会談で条約に仮調印することとなり、韓・日両国議会の批准を得て1965年12月17日付で発効することになったため対日請求権資金が導入されるに至ったのである


 筆者が以上を要約すると、

・韓国政府はポツダム宣言中に列挙された連合国の対日条件の一つを紹介しながら、日本のポツダム宣言受諾を無条件降伏と誤解していた。

・アメリカ軍は1907年ハーグ陸戦法規第46条に違反し、在鮮邦人の私有財産を没収していた。これは戦争犯罪である。

 ハーグ陸戦法規第46条「家の名誉権利、個人の生命、私有財産並宗教の信仰及其の遵行は、之を尊重すべし。私有財産は、之を没収することを得ず。」

・戦時国際法に関する日本政府の見解は、1945年9月2日以降のアメリカ軍の対日占領作戦はハーグ陸戦法規の適用対象であり、尚且つ1907年ハーグ陸戦法規第46条は1952年サンフランシスコ講和条約4条2項に優先する、であった。この日本政府の見解は日本国憲法無効帝国憲法復原論者の井上孚麿の見解と同じである法戦不能に陥る日本の悲劇 日本国憲法有効論の弊害2)。

日本政府は証拠資料を提示できない韓国政府に譲歩と妥協を行い、日韓基本条約の締結と発効に漕ぎつけたのであり、韓国政府は対日請求権資金の使途および日本政府の譲歩と妥協を韓国国民に公開していた

 それなのに今日の韓国政府および韓国最高裁判所は平然と日韓基本条約に背反し、率先して日韓関係を破壊するのである

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posted by 森羅万象の歴史家 at 09:00| Comment(0) | つまらない国際法の雑談 | 更新情報をチェックする
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