法がある所には必ず違法者が現れるゆえに、法秩序を維持するには違法者を懲らしめる強制力が必要である。これは国内社会でも国際社会でも変わりない。だから核兵器禁止条約が紙の上に並ぶ美辞麗句から国際社会を実効支配する国際法に昇華し核兵器の廃絶を実現するには、条約違反国を懲らしめ、違反国に条約違反行為を中止させ原状回復を行わせるための強制力が必要である。
そして主権国家の水平的併存状態にある国際社会においてこの強制力が最終的に単独もしくは複数の国家自身の軍事制裁とならざるを得ないことは、国際法史によって証明されている。
しかしここで重大な問題が生じる。核兵器禁止条約違反行為(核兵器の保有)は連合国憲章第51条の「武力攻撃の発生」を形成しないため、これに対する軍事制裁は憲章第51条が許容する「自衛権の行使」を逸脱する。
この問題を解決する一つの方法は、核兵器禁止条約が、「核兵器禁止条約違反行為を連合国憲章第51条の武力攻撃の発生とみなす」という趣旨の規定を持つことである。こうなれば、憲章第7章に基づく連合国安全保障理事会の軍事制裁決定が安保理常任理事国の拒否権行使に遭遇し無効になる場合に、核兵器禁止条約違反行為に脅かされる国々は条約違反国に対する軍事制裁措置として自衛権を発動できる。
ここで別の重大な問題が発生する。「核兵器禁止条約に違反する核保有国」に対して「条約を遵守する非核保有国」が実施する軍事制裁措置は、それがいかなる形式を取ろうとも、後者に前者から一方的な核攻撃を受ける危険を負わせてしまう。しかし核兵器禁止条約を遵守する非核保有国がこの危険を冒す覚悟と準備と実力を持たなければ、条約違反国に対する軍事制裁は不可能となり、核兵器禁止条約は紙の上に並ぶ美辞麗句に転落してしまう。
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合計20条から成る核兵器禁止条約は以下の行為を禁止する
第1条(禁止)
一、締約国はいかなる状況においても以下を実施しない。
(a)核兵器あるいはその他の核爆発装置の開発、実験、製造、生産、あるいは獲得、保有、貯蔵。
(b)直接、間接を問わず核兵器およびその他の核爆発装置の移譲、あるいはそうした兵器の管理の移譲。
(c)直接、間接を問わず、核兵器あるいはその他の核爆発装置、もしくはそれらの管理の移譲受け入れ。
(d)核兵器もしくはその他の核爆発装置の使用、あるいは使用するとの威嚇。
(e)本条約で締約国に禁じている活動に関与するため、誰かを支援、奨励、勧誘すること。
(f)本条約で締約国に禁じている活動に関与するため、誰かに支援を要請し、受け入れること。
(g)領内あるいは管轄・支配が及ぶ場所において、核兵器やその他の核爆発装置の配備、導入、展開の容認。
第5条(国家の履行)
一、締約国は本条約の義務履行のために必要な措置を導入する。
二、締約各国は、個人またはその管轄・支配にある区域で行われる本条約の禁止行為を防止し抑制するため、刑事罰の強制を含め、全ての適切な法律上、行政上あるいはそれ以外の措置を導入。
第11条(紛争解決)
一、本条約の解釈や適用に関し締約国の2カ国間以上で紛争が生じた場合、関係国は交渉や、国連憲章33条に従って締約国の選択によるその他の平和的な手段を通じ、紛争を解決するために協議。
二、締約国会議は紛争の解決に向け貢献できる。本条約や国連憲章の関連規定に従い、あっせんの提示、関係国が選択する解決に向けた手続きの開始要請や、合意手続きの期限設定の勧告を含む。
第17条(期間と脱退)
一、本条約は無期限。
二、締約各国は本条約に関連した事項が最高度の国益を損なうような特別の事態が発生したと判断した場合、国家主権を行使しながら、本条約脱退の権利を有する。寄託者に対し脱退を通告する。上記の通告には最高度の国益が脅かされると見なす特別な事態に関する声明を含める。
三、上記の脱退は寄託者が通告を受け取ってから12カ月後にのみ効力を発する。しかしながら仮に12カ月の満了時点で、脱退しようとしている国が武力紛争に関わっている場合、その締約国は武力紛争が終結するまで、本条約および付属議定書の義務を負う。
連合国(国連)憲章第33条
いかなる紛争でも継続が国際の平和及び安全の維持を危うくする虞のあるものについては、その当事者は、まず第一に、交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決、地域的機関又は地域的取極の利用その他当事者が選ぶ平和的手段による解決を求めなければならない。
安全保障理事会は、必要と認めるときは、当事者に対して、その紛争を前記の手段によって解決するように要請する。
核兵器禁止条約締約国Kが同条約第5条に違反して「個人またはその管轄・支配にある区域で行われる本条約の禁止行為を防止し抑制するため、刑事罰の強制を含め、全ての適切な法律上、行政上あるいはそれ以外の措置」を撤廃し、同条約第1条に違反する行為を開始し、この違反行為に脅かされる近隣の同条約締約国JがKに猛抗議し、KとJの間に同条約の適用に関する紛争が生じた場合、二国間の交渉や、国連憲章第33条に従って締約国の選択によるその他の平和的な手段を通して紛争を解決するための協議がことごとく失敗に終ってしまった時、核兵器禁止条約違反国Kを懲らしめKに条約違反行為を中止させ原状回復を行わせるための強制力はいったい何になるのか。
これについて核兵器禁止条約は何も規定していない。それどころか同条約第17条は締約国に同条約脱退の権利を認めている。しかも第17条は、締約国が「本条約に関連した事項が最高度の国益を損なうような特別の事態が発生したと判断」する基準も「最高度の国益」や「特別の事態」の定義も設定していない。
そうすると締約国は「疑わしきは主権に有利に解釈せらるべし」という国際法の大原則に基づき、核兵器禁止条約の曖昧な部分を締約国の有利に解釈できるので、締約各国は事実上いつでも好き勝手に「核兵器禁止条約に関連した事項が最高度の国益を損なうような特別の事態が発生した」と判断し同条約を脱退できる。
したがって残念ながら核兵器禁止条約は1928年の不戦条約と同じく紙の上に並ぶ美辞麗句に終るだろう。
連合国憲章は1924年ジュネーブ議定書より未熟で、あらゆる国際紛争を平和的あるいは軍事的に解決する仕組みを持っていないため、しばしば国際紛争が紛争当事国、第三国、国際司法裁判所、地域的機関、拒否権を有する常任理事国と非常任理事国から成る連合国安全保障理事会等によって解決されないまま残存してしまう。
この未解決のまま残る国際紛争の原因が連合国憲章第51条の「武力攻撃の発生」を形成しないK国の条約違反行為や大量破壊兵器の開発保有拡散である場合、条約違反行為に苦しめられる被害国や大量破壊兵器に脅かされる近隣国は、K国の条約違反行為や大量破壊兵器を除去するために、連合国憲章第51条の自衛権を逸脱する武力行使に敢然と踏み切るか、それとも連合国憲章第51条を遵守して武力を行使せず、K国の条約違反行為や大量破壊兵器開発保有拡散を黙認し自国の利益と安全を失うか、深刻な二者択一を迫られる。
これが連合国憲章の欠陥であり、この欠陥を浮き彫りにしている現在の国際紛争が北朝鮮の核ミサイル開発であるのに、核兵器禁止条約には連合国憲章の欠陥を是正するための工夫がない。しかも締約国に条約脱退の権利を認める核兵器禁止条約第17条が示す国際社会の現実は、核兵器禁止条約推進者ですら主権国家が最高度の国益のために時と場合により核兵器を開発保有しなければならないことを認めていることだ。
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