2017年06月16日

仏教の勝利を宣言する1925年の仏教遭難史論

 維新前後仏教遭難史論(羽根田文明著/國光社出版部/1925年)は我が國において明治元年より発生した廃仏毀釈運動の実態と原因を克明に後世に伝える稀有の記録書である。同時に、これは、明治維新から大日本帝國憲法の制定までの明治政府の宗教及び教育政策の変遷を戦前の仏教歌人が批評する歴史書でもあるから、今日の我が国の反日左翼勢力が喧伝する戦前の「國家神道」なるものの真贋有無を究明するための絶好の第一次史料である。

・ブロガーへ執筆意欲を与える一日一押人気ブログランキングをクリック願います。

維新前後仏教遭難史論(羽根田文明著/國光社出版部/1925年)の目次
〇前記
(一) 古來神佛混淆の状態
(二) 耶蘇教の傳來と其禁止状態
(三) 幕府時代の寺院僧侶
(四) 毀鐘鑄砲の勅諚
(五) 廢佛思想の遠因と近縁
(六) 水戸藩の廢佛毀釋(維新以前の廢佛)
(七) 鹿兒島津和野二藩の寺院處分(維新以前の廢佛)
(八) 維新以前の廢佛論

〇本記
(一) 明治維新の朝旨
(二) 明治新政と耶蘇教
(三) 明治新政と佛教
(四) 神佛分離に關する法令
(五) 日吉山王權現神改めの暴擧
(六) 京都地方の排佛状况
(七) 伊勢宇治山田の廢寺状况
(八) 三河大濱の騷擾
(九) 奈良地方の廢佛状况
(一〇) 富山藩の合寺状况
(一一) 宇佐八幡宮の寶物
(一二) 香取神宮の廢佛と本地佛
(一三) 松本藩の廢佛状况
(一四) 鶴ヶ岡八幡宮の廢佛状况
(一五) 伯耆大山の廢佛状况
(一六) 各藩管下の廢佛状况
(一七) 火葬禁止令と其解禁
(一八) 三個條の教憲と教職

〇後記
(一) 二勅會の再興
(二) 既廢事件の復興
(三) 信教の自由
(四) 教導職の廢止
(五) 國寶及び古建造物
(六) 謚號の勅宣文
(七) 明治教育と佛教
(八) 寺院境外上地の下戻
(九) 明治天皇と佛教

 仏教歌人の羽根田文明は、廃仏毀釈運動の実態を叙述した後、本記を次のように結んだ。

 維新の好運児として、最初に生れ出たる、惟神の大道も、その発達健全ならず、種々の支障に遇い、終に夭死するに至って、大道宣布は、民心を収攬すること能わず、全く失敗に終ると共に、彼が為に迫害を受け、十年間窮地に在て、悪戦、苦闘を続けたる、仏教は、事実上、最後の勝利を得たのである自来、仏教は全く、政府の干渉を免れて各宗、各派共に、自宗の教義を講究し、自由に伝道、布教することになって、今日に及んだのである

 上来、記述するが如く、明治初年より、約十年間、仏教が(朝旨にあらざるに)政府者の迫害を受け、僧徒が官権の抑制に、困苦したる実況で、しかも予の見聞の及ぶ区域内に局られているから、日本全國の悲惨、状態を推知し、以て仏教、過去の遭難に鑑み、現在及び将来に対し、厳護法城の資糧に蓄積せられんことを切に庶幾うのである(仏教遭難史論238~239ページ)。

 さらに羽根田は明治十七年に内務卿の通達により信教の自由が公認されたことを強調した後、帝國憲法を次のように評した。

 既に、自葬の禁を解き、信教自由を公認したる上は、転宗、改式を政府に届出る要のないことは、勿論である。然らば、僧侶が檀徒に、信用を失う時は、離檀は素より、転宗、改式も、無届で自由に、之を為すが、之に反して、僧徒に学識、徳望あって、衆人の帰向する所とならば、檀徒以外に、幾多の信徒も、得ることが出来る。実に優勝劣敗の世態である。同二十二年、二月十一日、千載不磨の大典である憲法が発布となり、其の第二十八条に曰く「日本臣民は安寧、秩序を妨げず、又國民たるの義務に、背かざる限りに於て、信教の自由を有す」

 徳川幕政時代より、因襲する所の信教の束縛も、時勢の風潮に由り、漸次に解き放され、茲に明確に、國民の自由信教を、保障せられて、全く自由信教の、國民となったのである。然れども、國家の安寧、社会の秩序を妨げ、又は納税、徴兵等、國民たるの義務に背きての信教自由でないことは本文の如くである(仏教遭難史論250~251ページ)。


 枢密院議長の伊藤博文が枢密院帝國憲法制定会議において「神道は祖宗の遺訓に基づきこれを祖述するといえども、宗教として人心を帰向せしむるの力に乏し、我が國にあって機軸とすべきは、ひとり皇室あるのみ」と説明し、また伊藤博文の大日本帝國憲法義解が第二十八条を「國教を以て偏信を強うるはもっとも人知自然の発達と学術競進の運歩を障害する者にして、何れの國も政治上の威権を用いて以て教門無形の信依を制圧せむとするの権利と機能とを有せざるべし」と解説した。

 伊藤博文の法理論は明治政府の苦い経験にも基づいていると理解した方は、ブロガーへ執筆意欲を与える一日一押人気ブログランキングをクリック願います。

<関連記事>

現人神と国家神道という幻想

・身近にいる日教組の洗脳狂育の被害者にプレゼントすると「真実を知りWGIPを引き継いで日本人を狂わせている朝日の定期購読を止め新聞代を節約できた」と心から感謝されますわーい(嬉しい顔)虚偽の巨塔である反日新聞社を崩壊させる大東亜戦争史を広めるためにブロガーへ執筆意欲を与える一日一押人気ブログランキングをクリック願います。
↓↓↓

【関連する記事】
posted by 森羅万象の歴史家 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 所長が選ぶ名著と迷著の紹介 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック
左翼歴史学者が顔面蒼白次項有幻の名著!戦争と共産主義-大東亜戦争とスターリンの謀略の目次韓流を楽しくする朝鮮民族を読み解く7つの鍵古代史学者は韓国人のなりすましか継体新王朝説を斬る「歪められた日本神話」とんびがタカを生むスーパー日本人を育てる適才教育・戦後民主主義の終着点は家族の解体と日本国の滅亡-なぜマルクスレーニン教は地獄の門を開くのかバカげた舛添要一の女性女系天皇容認論ナチスを愛した沢田研二の窮状・日本の国益を破壊する朝から晩まで反日新聞の錯覚商法天照大神は男系(父系)の女神小林よしのりの欺瞞皇室典範の改悪と日本版「文化大革命」を促す
本当は怖い日本国憲法の話次項有福島瑞穂の政治生命を奪う悪魔の憲法問答・日本国憲法の性格を映す災害基本法-菅直人が嘲笑される理由・韓国の邪悪な野望を打ち砕くアダム・スミスを超える日本の社会思想家・韓国人を震え上がらせるための日本憲法学の密教諸君が愛してくれた日本国憲法は施行前に死んだ!なぜだ!?逆賊の憲法改正案に御用心憲法の本質を示す憲法改正の手続き神州不滅思想が妨害する真正の法力(憲法の非常事態対処能力)再生方策・神か人か天皇とは何か・恐るべき小沢一郎の憲法論日本がアブナイ!日本国憲法の改正が日本国の自殺になる理由・日本国憲法の追認を戒める昭和天皇のおほみうた昭和天皇と憲法改正-エセ民族派が行っている最悪の天皇利用旧宮家の皇室復帰意義は30年前の予言書が指摘する日本の最悪危機の克服・小泉内閣の大罪女系天皇は憲法違反
教科書が教えられない日本の近現代史次項有韓国が日本の皇室を侮辱する歴史的理由・在日パチンコに魂を売った朝敵歴代天皇を論外の男系カルトに貶めたギャグ漫画家堀栄三元参謀の情報戦記が触れない大本営の奥の院の所在と正体・軍紀厳正を誇った日本軍の強姦、韓国軍のレイプ、支那軍の洗城・ああ惜しかったふらふら大日本帝国唯一の勝機・あなたの知らない石原莞爾の対アメリカ政戦略吉田茂が現役復帰させた史上最悪の反日的日本人日本共産党の反日史観によれば志位和夫の祖父は慰安婦強制連行の実行犯・パル判決が語る朝鮮人慰安婦強制連行説の虚構浄土真宗親鸞原理主義者が隠蔽する本当は恐ろしい国家神道の正体日本経済を破壊する辛坊治郎の狂態・人間の屑集団マスゴミが隠蔽する南京大虐殺が法的に成立しない理由捏造と自虐の昭和史を打ち破る日本人に知られては困る歴史
日本人が元気になります!知らないと損する情報次項有・あなたの新聞定期購読は国民生活と国家経済の自殺経済失政はなぜ繰り返すのかインテル長友佑都が実践日本人の潜在能力を引き出すトレーニング方法読み書き運動が苦手なのには理由があった学ぶことが大好きになるビジョントレーニング人生の無駄遣いテレビの視聴を止めて実践すれば病み疲れた体を癒す力を呼び覚ます驚愕の気功法