第一、皇室典範を制定して皇室に関係する綱領を憲法より分離する事
第二、憲法は日本の国体および歴史に基づき起草する事
第三、憲法は帝国の政治に関する大綱目のみに止め、その条文のごときも簡単明瞭にし、且つ将来国運の進展に順応するよう伸縮自在たるべき事
第四、議院法、衆議院議員選挙法は法律をもって定むる事
第五、貴族院の組織は勅令をもって定むる事ただしこの勅令の改正は貴族院の同意を求むるを要す
第六、日本帝国の領土区域は憲法に掲げず法律をもって定むる事
第七、大臣弾劾の件を廃し上奏権を議院に付与する事
金子堅太郎は、第三原則について次のように解説している。
第三、欧米各国の憲法は多くは帝王の圧制を検束し、又は人民の権利を保護する為に制定せられたものであるから、その条項は頗(すこぶ)る多数にして、議員の資格権利、議事の方法等に至るまで詳細明記している。
しかしながら我が憲法においてはこれ等の条項は憲法付随の法律、勅令に譲り、憲法には帝国政治の大綱目のみに止め、又その条文のごときも簡単明瞭を主とし、将来国運の発展に伴い、伸縮自在「フレキシビリティー」にして、しばしば憲法の改正を要せざるように起草せられた(金子堅太郎著1938年版憲法制定と欧米人の評論116~120頁。133~141頁)。
我が国は、この第三原則が帝國憲法にもたらした伸縮自在の運用性(フレキシビリティー)を活かして帝国憲法の改正を待つことなく、軍部大臣武官文民制度(内閣官制第9条の解釈変更により、文民総理大臣の原敬と浜口雄幸が海軍大臣を兼任した)、政党内閣、普通選挙、陪審制、女性参政権等を実現した。
この帝国憲法起草方針の第三原則は、伊藤博文の独創ではなく、伊藤の座右の書「ザ・フェデラリスト」第49編「権力簒奪防止策」である。
はじめにブロガーへ執筆意欲を与える一日一押人気ブログランキングをクリック願います。
岩波文庫のザ・フェデラリストは、次のように第49篇「権力簒奪防止策」の梗概(こうがい、意味はあらすじ)を記すのみである。
憲法の正統な源泉は人民であると論じつつも、憲法上の問題をあまりにも頻繁に人民の判断に委ねることは適当ではないと述べている。ここでのマディソンの議論の叩き台となっているのは、ジェファソンの『ヴァジニア覚え書』の憲法会議論である(岩波文庫ザ・フェデラリスト235頁)。
アメリカ合州国憲法の解説書ザ・フェデラリスト第49篇「権力簒奪防止策」は長い論文ではないのに、なぜ岩波書店はこれを省いたのか。筆者は、第49篇がマッカーサー占領軍憲法(日本国憲法)の正当性を粉砕しているからではないか、と邪推してしまう。
それはともかく、伊藤博文が提示した7つの憲法起草原則と大日本帝国憲法から導き出される伊藤博文の憲法観は、「憲法はとかく軽佻浮薄な傾向を持つ時代の変化や流行に追随して改正されてはならない政治に関する大綱目にして最重要規範であるが故に一国の最高法規の地位にあり、憲法の下位規範である法律は時代の変化や国運の進展に対応しなければならないが故に、法律制定(改正)要件は憲法改正要件より緩い」といったところであろう。
安倍晋三を支持する違憲有効界改憲派には、憲法と法律を混同している人がすこぶる多い。実に先が思いやられる・・・。
・伊藤博文 近代日本を創った男
有権者は口角泡を飛ばして憲法改正の是非を論ずる前に、アメリカ合州国建国の父の英知であるザ・フェデラリストと伊藤博文ら明治日本の偉人の英知である憲法義解を熟読すべきであると思う方は、ブロガーへ執筆意欲を与える一日一押人気ブログランキングをクリック願います。
<関連記事>
・反日新聞社の盆暗史観を斬る!現代の共産中国に無く戦前の大日本帝国に有ったもの
・現代日本に甦る美濃部達吉の遺言-立憲議院内閣制の理想型
・帝國憲法復元後の新生日本國防軍の編制は伸縮自在
・「占領憲法の正体」新無効論-歴史を偽造する魑魅魍魎が跳梁跋扈する日本国憲法有効論の弊害
<戦後民主主義洗脳狂育から児童生徒学生を救い出す名著>
・敗戦後の日本の共産主義者は「われわれは断乎戦争に反対した」「軍閥戦争に反対したのは共産党だけだ」と言うが、共産主義者の主張が真赤な虚偽であり、彼らこそ世界資本主義体制に代わる共産主義的世界新秩序を構成する東亜新秩序-東亜共産主義社会を実現するために、戦争の拡大を煽動していた張本人であることを多数の第一次史料を挙げて完璧に証明する大東亜戦争とスターリンの謀略―戦争と共産主義
<消費税対策>
・日本が世界に誇る機能食品歯周病菌と虫歯菌を退治するハニワコレ8020
・朝日新聞定期購読者にプレゼントすると朝日に騙されている読者から「真実を知り朝日の定期購読を止め新聞代を節約できた」と心から感謝されます虚偽の巨塔である某反日新聞社を崩壊させる大東亜戦争史を広めるためにブロガーへ執筆意欲を与える一日一押人気ブログランキングをクリック願います。
↓↓↓
【関連する記事】
- 都市封鎖はマッカーサー占領軍憲法(GHQ製日本国憲法)下で可能
- GHQ製日本国憲法の検閲禁止条項とその解釈は欺瞞と虚偽ばかり
- 軍法会議を開けない自衛隊は軍隊ではない(大日本帝國憲法第六十條)-明治流憲法学奥..
- 青山繁晴という虚人-戦史修正のお知らせ
- 民主独裁の恐怖-戦史修正のお知らせ
- 仕方がない高橋純子ら反日左翼勢力のアベ批判は護憲運動を殺害する
- GHQに呪われた日本国憲法の欠陥を示す蓮舫と安倍晋三
- 臣民(subject)の意味-大日本帝國憲法第十八條と教育勅語
- 破綻したGHQの偽装工作-占領軍による違法検閲下の日本国憲法制定
- マッカーサーの責任回避と歴史偽造-戦争を放棄しなかった幣原喜重郎
- 芦部信喜をウソ吐きに変える鈴木安蔵の大日本帝国憲法への賛辞
- 朝鮮人へ貴族に立身出世する機会を付与した貴族院令
- 復活の意味-ジョセフ・グルーとポツダム宣言第10条the revival and..
- 民主党と社民党は戦後のドイツを見習え!国民の自由を制限するドイツ連邦共和国憲法
- イギリス法に由来する大臣と責任(ダイシー)
- 不毛な戦争責任論争に終止符を打つ帝國憲法第五十五條と昭和天皇の御聖断
- 環境権・緊急事態・財政均衡主義・改憲要件緩和-安倍自民党の憲法改正構想は亡国のシ..
- 北海商科大学をNグループに転落させる堂徳将人
- 連合国による憲法第九条の解釈変更を無視する反似非立憲主義の蔓延
- 集団的自衛権の由来とその行使の禁止から生じる日本国憲法第9条の新解釈