2015年04月05日

不毛な戦争責任論争に終止符を打つ帝國憲法第五十五條と昭和天皇の御聖断

 昭和20年(1945)8月14日午前10時50分から始まった御前会議において、昭和天皇に対し、鈴木貫太郎内閣総理大臣は、閣議では約八割五分がポツダム宣言およびバーンズ回答の受諾に賛成しているものの全員一致を見るに至らず、重ねて叡慮を煩わせる重罪を陳謝した後、改めて反対の意見ある者より親しく御聞き取りの上で重ねて御聖断を仰ぎたい旨を申し上げた。

 昭和天皇は内閣国務各大臣の輔弼に依り大権を行使する立憲君主であったから、鈴木総理大臣の助言を受け容れ、御自身の御考えを述べられた上でポツダム宣言およびバーンズ回答の受諾を表明された(終戦工作の記録下488~489頁)。

 しかし昭和天皇の御聖断が我が国の国家意思として確定するには、昭和天皇が臣民に我が国のポツダム宣言受諾を告げる所謂「終戦の詔書」に鈴木内閣閣僚全員の副署(同意のサインつまり承認)が必要であった(大日本帝國憲法第五十五條および内閣官制第五條)。

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 そこでソ連の勢力拡大に奉仕する革新将校の巣窟であった陸軍省軍務課の竹下正彦中佐が御前会議の終了後、阿南惟幾陸軍大臣の元に駆けつけ、阿南陸相に「辞職して副署を拒んでは如何」と進言した。この進言に動揺した阿南陸相は、林三郎秘書官に辞職の用意を命じたものの、すぐに翻意して辛うじて辞職を思いとどまり、同日午後7時20分から始まった閣議において他の閣僚とともに詔書に署名した(大本営陸軍部戦争指導班機密戦争日誌昭和二十年八月十四日の条)。

 かくして昭和天皇の御聖断は終戦の詔書として実施の効力を得、我が国の国家意志として確定したのであった。まさに我が国の土壇場であった昭和20年8月14日の昭和天皇の御聖断ですら、輔弼を担当する内閣国務大臣の副署を得なければ、我が国の国家意志として国策の最終決定として有効にならなかったのである。

「大臣の副署は二様の効果を生ず。一に、法律勅令及び其の他国事に係る詔勅は大臣の副署に依て始めて実施の効力を得。大臣の副署なき者は従て詔命の効なく、外に付して宣下するも所司の官吏之を奉行することを得ざるなり

 二に、大臣の副署は大臣担当の権と責任の義を表示する者なり。蓋し国務大臣は内外を貫流する王命の溝渠たり。而して副署に依て其の義を昭明にするなり。」
伊藤博文著大日本帝國憲法義解第五十五條解説)

 帝國憲法第五十五條「国務各大臣は天皇を輔弼し其の責に任ず 凡て法律勅令その他国務に関る詔勅は国務大臣の副署を要す」はこれほど厳重に天皇の統治権行使を制限するのである。

 だから帝國憲法はその代償として天皇を無答責(法的政治的無責任)の地位に置き(憲法第三條、天皇の神聖不可侵)、天皇を輔弼(助言)し、天皇が裁可し公布する法律勅令その他国務に関る詔勅に副署(同意)する国務大臣に天皇に対する直接的責任と人民に対する間接的責任を負わせるのである。

 従ってポツダム宣言受諾の責任は、昭和天皇に御聖断を仰いだ内閣総理大臣と終戦の詔書に副署した内閣閣僚に有り、昭和天皇には無い。開戦の責任も同様である。

 帝國憲法の第四條と第五十五條が立憲君主制と国務大臣輔弼副署制を明規している以上、昭和12年3月に文部省が発行したパンフレット「国体の本義」が天皇を現人神と尊称しようが、昭和天皇は独自に如何なる法律勅令その他国務に関る詔勅も制定できない立憲君主であった。

 そして帝國憲法の第三條と第五十五條が天皇の無答責と国務大臣の責任を明規している以上、戦時中に昭和天皇が臣下の者と如何なる質疑応答を交わそうとも、昭和天皇は敗戦責任を負わない。

 支那事変を大東亜戦争に発展させ我が国を敗戦に導いた責任は、1937年7月7日の盧溝橋事件の勃発から1945年9月2日のポツダム宣言の正式調印まで天皇を輔弼する国務大臣に就任した文民および軍人に有るのである。とくに近衛文麿の責任が最重大であることは筆者が論証した通りである(ひと目でわかる近衛文麿の正体-大東亜戦争史書の選び方)。

「大臣政事の責任は独り法律を以て之を論ずべからず、又道義の関る所たらざるべからず。法律の限界は大臣を待つ為の単一なる範囲とするに足らざるなり。

 故に朝廷の失政は署名の大臣其の責を逃れざること固より論なきのみならず、議に預かるの大臣は署名せざるも亦其の過を負わざることを得ざるべし

 専ら署名の有無を以て責任の在る所を判ぜむと欲せば、形式に拘り事情に戻る者たることを免れず。故に副署は以て大臣の責任を表示するべきも副署に依って始めて責任を生ずるに非ざるなり。」
伊藤博文著大日本帝國憲法義解第五十五條解説)

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