安倍首相は憲法改正の実現に情熱を燃やしているようだが、果たして現在の自民党議員の中に、自民党の新憲法草案各条項の由来と立法趣旨を日本国の歴史から説き明かす「新憲法義解」を執筆し公刊できるだけの碩学がいるのだろうか?
安倍首相および自民党各議員が、伊藤博文と井上毅の共著「憲法義解」より優れた新憲法義解を執筆する器量と見識を持ち合わせていないのに、拙速に憲法改正を目指しているのならば、それは亡国の憲法改悪になるだけであろう。
残念ながら筆者の危惧は現実化しつつある。
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筆者は、「憲法改正詐欺に御用心!占領軍憲法第9条より恐ろしい財政均衡主義の憲法条項化」で次のように書いた。
自民党内の違憲有効界改憲派に属する邪な連中が企てている「財政均衡主義の憲法条項化」など言語道断である。これは、憲法の運用から伸縮自在の柔軟性(フレキシビリティ)を奪うだけでなく、現在日本の最高法規の地位を違法不当に占領している日本国憲法第9条より効果的に我が国の武力を封印する危険な構想である。
自衛戦争の遂行とは、政府が戦争終了まで財政均衡主義を放棄し、大規模な財政出動を行い戦勝を期すことだからである。
周辺諸国が我が国を奇襲してきた場合、あるいは国際犯罪組織が我が国に大規模テロを仕掛けていた場合、あるいは巨大な自然災害が日本列島を直撃した場合、政府が財政均衡主義を維持しながら、敵国あるいは国際犯罪組織あるいは自然災害と戦えば、日本国防軍や憲法の緊急事態対処規定が存在しても、我が国の敗北は必至である。
そこで安倍自民党は再び改憲要件の緩和を主張し始めているが、1907年ハーグ陸戦法規第43条違反にして大日本帝国憲法第七十五條違反である日本国憲法の有効論者は、国家の非常事態における憲法改正の危険性を全く考慮しない。
財政均衡主義の憲法条項化と改憲要件の緩和という組み合わせがどれほど恐ろしいことか、安倍自民党支持者には全く想像できないのである。
この組み合わせが実現すれば、政府が財政均衡主義を放棄しなければならない戦時や災害時といった非常時に、多くの国民が冷静な判断力を喪失している最中に、政府国会の政治勢力は、国家の一大事である憲法改正を強行する絶好の口実を得、尚且つ憲法改定を強行し易くなってしまう。
すなわちルーピーこと鳩山由紀夫民主党政権の誕生を許したほど我が国の有権者の政治能力は著しく低下しているのにもかかわらず、憲法改定によるショック・ドクトリン(惨事便乗型の国内構造改革)が生じ易くなってしまうのである。
自民党の小泉純一郎は内閣総理大臣として、皇室の伝統と皇族の御意見を無視して平時における構造改革の対象に皇位継承法を含めたのである。財政均衡主義の憲法条項化と改憲要件の緩和の組み合わせから生じ易くなる憲法改定によるショック・ドクトリンの矛先が天皇陛下および皇室に及ばないと、誰が保証できようか。
稲田朋美、高市早苗、西田昌司といった自民党の有志が我が国の歴史とマッカーサー占領軍憲法の制定過程から憲法第2条の「皇位の世襲」が皇位の男系継承を意味していることを説き明かして、女性女系天皇を出現させる皇室典範の改悪を阻止したとしよう。
そして彼等が昭和天皇の御子孫にあたる東久邇家をはじめ菊栄親睦会を通じて皇室と親交している旧宮家の皇室復帰を実現して皇室の再興を成し遂げ、我が国において神武肇国以来億兆の先人達が守り継いできた最も由緒ある慣習法である皇位の男系継承を保守し、それによってエンペラーという尊称を持つ世界で唯一の国家元首を戴く、現存する世界最古の王朝という我が日本国の栄誉を後世の国民に譲り渡そうと尽力したとしよう。
しかし安倍自民党が画策している改憲要件の緩和とは、憲法第2条「皇位の世襲」を変更し、神武天皇に連なる皇位の男系継承を破壊し易くしてしまうのである。
金子堅太郎の恩師であるオリバー・ウェンデル・ホームズJr(ハーバード大学教授、マサチューセッツ州大審院判事、アメリカ連邦最高裁判所判事を歴任)は大日本帝國憲法を次のように評価した。
「予が日本憲法を熟読するに当たり、天皇及び其の政府において保守主義を以てこの憲法を制定せられたる精神の全篇に充満するを祝賀するものなり。
何となれば予は明治四年以来日本人と交わりを結び其の国の将来に向って大いに嘱望するが為に、時々その政治の変遷するを見ては常に日本政府及び其の人民の旧態を破壊し新制を創設するに急激なるを恐れ、其の前途を誤らざるかと憂慮せしが、今やこの憲法を見て明治四年以来の杞憂は全く消散すればなり(中略)。
この憲法に付き予がもっとも喜ぶ所のものは、日本憲法の根本古来の歴史制度習慣に基づき、而して之を修飾するに欧米の憲法学の論理を適用せられたるにあり。欧米の憲法は欧米国に適するも日本国に適用せず、日本の憲法は日本の歴史制度の習慣より成立せざるを得ざるものなり。
故に本年議会開設の後は日本の政治家たる人はこの憲法の精神に基づき、行政上においても古来の法律、習慣を研究し、国家の歴史慣例を標準として漸次欧米の立憲政治の論理を適用せられんことを望む」
安倍自民党は保守政党を名乗りながら保守主義とは正反対の憲法改悪を画策している。伊藤博文は憲法改悪に国体破壊を未然に防止するために、皇室の自治を憲法条項化し、尚且つ改憲要件の超硬性と憲法改正そのものを不必要にする憲法運用の柔軟性(詳細は現代日本に甦る美濃部達吉の遺言-立憲議院内閣制の理想型)を見事に止揚したのに、伊藤博文の後輩である安倍晋三は少しも比較憲法学の成果にして歴史憲法学の結晶である大日本帝國憲法を学ばない。
筆者は「逆賊の憲法改正案に御用心!憲法の本質を示す憲法改正の手続き」の中で次のように書いた。
憲法が規定する「憲法改正の手続き」は、憲法中の最も重要な規範であるが故に、憲法の本質-憲法起草者の思想や憲法制定の目的-は、「憲法改正の手続き」に現れる。
明治の自由民権運動を代表する交詢社系憲法私案、大日本帝國憲法、日本国憲法(マッカーサー占領軍憲法)の「憲法改正の手続き」の比較から浮かび上がる歴史の真実は何か。
それは、明治の自由民権運動の流れを汲む憲法は大日本帝國憲法であり、マッカーサー占領軍憲法(日本国憲法)は皇室の尊厳を汚す二段階革命戦術憲法であり、「それ憲法を定立するは即ち益々皇室の基礎を鞏固にし國家の安寧を保持するの主意に外ならず」(郵便報知新聞社説私考憲法草案第一條註解)という起草者の尊皇護国思想から生じた交詢社系憲法私案から懸け離れているということである。
いま「ザ・フェデラリスト」の指摘する公選議院の弊害を体現する諸政党が憲法改正案なるものを発表しているが、有権者がその本質を看破する簡便な方法は、憲法改正案に盛り込まれる「憲法改正の手続き」を分析することである。
日の丸君が代の憲法化などは、皇室の伝統と皇族の御意見を一切無視し、皇室の家法たる皇室典範を改悪しようとして、三笠宮寛仁親王殿下の御寿命を縮めてしまった逆賊小泉純一郎の靖国参拝と同じく、露骨な保守票集めの方便にすぎない。
マッカーサー占領軍憲法第96条を改正し改正要件を緩和することは、国民の代表機関である議会が天皇を無視して憲法中の天皇と皇室に関する規定を変更するための憲法改正を発議し易くするということである。
それは、尊皇護国の思想を持つ日本人によって起草された交詢社系憲法私案と帝國憲法と全く異なり、そのような皇室に対する議会および国民の傲慢不遜無礼不敬な振る舞いを現行の占領軍憲法よりもっと積極的に許容するということである。まさにフランス暴力革命のイデオロギーであるルソーの国民主権の弊害をもっと酷くするということである。
こんなものに喜びはしゃぐ有権者は、2005年の郵政民営化詐欺、2009年の政権交代詐欺に引っ掛かった有権者の如く、保守風味を装うGHQ継承系憲法改正案に釣り上げられて、後悔するのみである。
安倍晋三は、GHQの戦争犯罪を正当化し続けた憲法学における悪名高い戦後犯罪人の一人である芦部信喜の名前さえ知らなかった。これは奇跡的な無知である。
虚偽に虚偽を重ねる八月革命説に代表される芦部憲法学こそ国際法違反にして帝國憲法違反の日本国憲法を無理やり有効と言いくるめる戦後レジーム(マッカーサー占領軍憲法体制)の弊害そのものである。
それなのに芦部の名を知らぬほど無知蒙昧な人が内閣総理大臣になり、教養・見識・経験・尊皇護国の志のいずれにおいても、伊藤博文や井上毅の足下にも及ばないくせに、戦後レジームからの脱却を叫び、法の支配の尊重を叫びながらマッカーサー占領軍憲法(日本国憲法)有効論に立脚する憲法改正に執念を燃やしている。
これはもはや笑うしかない日本国の悲劇である。やんぬるかな。
<関連ページ>
・韓国人を震え上がらせるための日本憲法学の密教-現憲法無効論 憲法恢弘の法理(井上孚麿著)
・今こそ「法の支配を尊重する平和主義」を実現する秋-大日本帝國憲法義解第七十七條解説案
・神州不滅思想を捨てよう!真正の法力(憲法の非常事態対処能力)再生方策
・ゴジラが日本の領海に浮上した時の政府の権限(帝國憲法第七十條)-明治流憲法学奥義秘伝の原稿
<日本国民を戦後民主主義洗脳狂育から覚醒させる名著>
・正統憲法復元改正への道標が記録する憲法学界の真相は、法曹関係者の間では有名な東大憲法学教授の芦部信喜と小林直樹は、昭和三十八年に、帝国憲法擁護派の小森義峯教授によって彼等の憲法論の誤謬を厳しく指摘され公開論争を挑まれたが、一言半句の反論もできず、沈黙を余儀なくされたことである。
宮沢俊義によって捏造され、樋口陽一に継承された東大法学部マルクス憲法学は、すでに論破され大敗北を喫した真赤なウソ学問なのである。
・こうして日本人は国を愛せなくなった・・・日本が二度と立ち上がれないようにアメリカが占領期に行ったこと
<おまけ、大日本帝國憲法暗黒史観を砕く選択問題>
・問題1 1890年11月29日(大日本帝國憲法の施行日)から1947年5月3日(日本国憲法の施行日)までの日本國で実現しなかった政策はどれか。次の中から該当するものを選びなさい。
1、普通選挙法の施行
2、陪審制の施行
3、大政翼賛会の一党独裁
4、婦人参政権の付与
正解は3。ワイマール憲法は国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)の一党独裁を許してしまったものの、大日本帝國憲法はソ連共産党を模倣した大政翼賛会の一党独裁を許さず、近衛新体制運動を推進していた朝日新聞社出身のソ連スパイ尾崎秀実ら近衛文麿の革新幕僚(昭和研究会に参集していた共産主義者)の無法な野望を粉砕した(詳細は近衛新体制を参照)。
また婦人参政権は1945年12月17日に帝國憲法第三十五條にもとづく衆議院議員選挙法の改正により実現した。
・問題2 伊藤博文、井上毅、金子堅太郎、伊東巳代治が大日本帝國憲法の起草のために参考にした外国の憲法はどれか。次の中から該当するものを選びなさい。
1、プロイセン憲法
2、ベルギー憲法
3、スウェーデン憲法
4、イギリス憲法
5、アメリカ憲法
正解はこちらです。
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