【昭和十五年二月二日第七十五回帝国議会 斎藤隆夫質問演説】
私は是より一歩を進めまして少し私の議論を交えつつ政府の所信を聴いて見たい、政府に於ては、斯う云うことを言われるに相違ない、又歴代の政府も言うて居る、何であるか、此の度の戦争は是までの戦争と全く性質が違うのである、此の度の戦争に当っては、政府は飽くまでも所謂小乗的見地を離れて大乗的の見地に立って、大所高所より此の東亜の形勢を達観して居る、そうして何事も道義的基礎の上に立って国際正義を楯とし、所謂八紘一宇の精神を以て東洋永遠の平和、延いて世界の平和を確立するが為に戦って居るのである、故に眼前の利益など少しも顧る所ではない、是が即ち聖戦である、神聖なる所の戦であると云う所以である、斯様な考を持って居らるるか分らない、現に近衛声明の中には確に此の意味が現れて居るのであります、
其の言は洵に壮大である、其の理想は高遠であります、併しながら斯の如き高遠なる理想が、過去現在及び将来国家競争の実際と一致するものであるか否やと云うことに付ては、退いて考えねばならぬのであります、苟も国家の運命を担うて立つ所の実際政治家たる者は唯徒に理想に囚わるることなく、国家競争の現実に即して国策を立つるにあらざれば国家の将来を誤ることがあるのであります、現実に即せざる所の国策は真の国策にあらずして一種の空想であります、先ず第一に東洋永遠の平和、世界永遠の平和是は望ましきことではありまするが、実際是が実現するものであるか否やと云うことに付てはお互に考えねばならぬことである、
古来何れの時代に於きましても平和論や平和運動の止むことはない、宗教家は申すに及ばず、各国の政治家等も口を開けば世界の平和を唱える、又平和論の前には何人と雖も真正面からして反対は出来ないのであります、併しながら世界の平和などが実際えられるものであるか、是は中々難しいことであります、私共は断じて得られないと思って居る、十年や二十年の平和は得られるか知れませぬが、五十年百年の平和すら得られない、歴史家の記述する所に依りますると過去三十五世紀、三千四百幾十年の間に於て世界平和の時代は僅かに二百幾十年、残りの三千二百幾十年は戦争の時代であると言うて居る、斯の如く過去の歴史は戦争を以て覆われて居る、将来の歴史は平和を以て満さるべしと何人が断言することが出来るか、
のみならず、御承知の通りに近世文明科学の発達に依りまして、空間的に世界の縮小したること実に驚くべきものである、之を千年前の世界に比較するまでもなく、百年前の世界に比較しましても実に別世界の感が起こらざるを得ないのである、此の縮小せられたる世界に於て数多の民族、数多の国家が対立して居る、其の上人口は増加する、生存競争は愈々激しくなって来る、民族と民族との間、国家と国家との間に競争が起こらざるを得ない、而して国家間の争いの最後のものが戦争でありまする以上は此の世界に於て国家が対立致して居りまする以上は戦争の絶ゆる時はない、平和運動が何時しか雲散霧消するのは是は已むを得ない次第であります、
若し之を疑われるのでありますならば、最近五十年間に於ける東洋の歴史を見ましょう、先程申上げました通りに、我国は曾つて支那と戦った、其の時に於ても東洋永遠の平和が唱えられたのである、次に露西亜と戦った、其時にも東洋永遠の平和が唱えられたのである、又平和の目的として戦後の条約も締結せられたのでありまするが平和は得られましたか、得られないのではないか、平和が得られないからして今回の日支事変も起って来たのである、
又眼を転じて欧羅巴の近状を見ようではありませぬか、又御承知の通りに二十幾年前に欧羅巴はあの通りの大戦争をやった五箇年の間国を挙げて戦った、戦争の結果はどうなったか、
敗けた国は言うに及ばず、勝った国と雖も徹頭徹尾損得相償わない、其の苦き経験に顧みて、戦争などはやるものでない、凡そ世の中に於て戦争ほど馬鹿らしいものはない、それ故に未来永劫、此の地球上からして戦争を絶滅する、其の目的、その理想を以て国際連盟を作った、我が日本も五大強国の一として之に調印して居るのであります、平和は得られましたか、国際連盟の殿堂はどうなって居るか、民族の発展慾、国家の発展慾は、紙上の条約などを以て抑制することができるものでない、十年経ち二十年経つ間に於て又もや戦争熱が勃興して来る欧羅巴の現状は活きた教訓を吾々の前に示して居るのであります、
或る者は言うて居る、此の度の戦争は「ベルサイユ」条約が因である、「ベルサイユ」条約に於て独逸に向って過酷なる所の条件を課したから、其の反動として、今回の戦争が起こったのである斯う言うて居る、一応理屈であるに相違ない、併しながら「ベルサイユ」条約がなかったならば、戦争は起らなかったと誰が断言することが出来るか、第一次欧羅巴戦争の前に於きましては「ベルサイユ」条約はなかったのでありますけれども戦争は起ったのである、
即ち人間の慾望には限りがない、民族の慾望にも限りがない、国家の慾望にも限りがない、屈したるものは伸びんとする、伸びたものは更に伸びんとする、茲に国家競争が激化するのであります、
尚之を疑う者があるならば、更に遡って過去数千年の歴史を見ませう、世界の歴史は全く戦争の歴史である、現在世界の歴史から戦争を取除いたならば、残る何物があるか、そうして一たび戦争が起こりましたならば、最早問題は正邪曲直の争いではない、是非善悪の争いではない、徹頭徹尾力の争いであります、強弱の争いである、強者が弱者を征服する、是が戦争である、正義が不正義を膺懲する、是が戦争と云う意味ではない、先程申しました第一次欧羅巴戦争に当りましても、随分正義争いが起こったのであります、独逸を中心とする所の同盟側、英吉利を中心とする所の連合側、何れも正義は我にありと叫んだのでありますが、戦争の結果はどうなったか、正義が勝って不正義が負けたのでありますか、そうではないでありましょう、正義や不正義は何処かへ飛んで行って詰まり同盟側の力が尽き果てたからして投げ出したに過ぎないのであります、
今回の戦争に当たりましても相変わらず正義論を闘わして居りますが、此の正義論の価値は知るべきのみであります、詰り力の伴わざる所の正義は弾なき大砲と同じことである、争の正義論は狼の前には三文の値打もない、欧羅巴の現状は幾多の実例を吾々の前に示して居るのであります、
斯の如き事態でありますから、国家競争は道理の競争ではない、正邪曲直の競争でもない、徹頭徹尾力の競争である世にそうでないと言う者があるならばそれは偽りであります、偽善であります、吾々は偽善を排斥する、飽くまでも偽善を排斥して、以て国家競争の真髄を掴まねばならぬ、国家競争の真髄は何であるか、曰く生存競争である、優勝劣敗である、適者生存である、適者即ち強者の生存であります、強者が興って弱者が亡びる、過去数千年の歴史はそれである、未来永遠の歴史も亦それでなくてはならないのであります。此の歴史上の事実を基礎として、吾々が国家競争に向うに当りましては、徹頭徹尾自国本位であらねばならぬ、自国の力を養成し自国の力を強化する、是より外に国家の向うべき途はないのであります。
彼の欧米の基督教国、之を見ようではありませぬか、彼等は内にあっては十字架の前に頭を下げて居りますけれども、一度国際問題に直面致しますと、基督の慈善博愛は蹴散らされてしまって、弱肉強食の修羅道に向って猛進する、是が即ち人類の歴史であり、奪うことの出来ない現実であるのであります、此の現実を無視して唯徒に聖戦の美名に隠れて、国民的犠牲を閑却し、曰く国際正義、曰く道義外交、曰く共存共栄、曰く世界の平和、斯の如き雲を掴むような文字を並べ立てて、そうして千載一遇の機会を逸し、国家百年の大計を誤るようなことがありましたならば、現在の政治家は死しても其の罪を滅ぼすことは出来ない、
私は此の考を以て近衛声明を静に検討して居るのであります、即ち之を過去数千年の歴史に照し、又之を国家競争の現実に照らして彼の近衛声明なるものが果たして事変を処理するに付て最善を尽くしたるものであるかないか、振古未曾有の犠牲を払いたる此の事変を処理するに適当なるものであるかないか、東亜に於ける日本帝国の大基礎を確立し、日支両国間の禍根を一掃し、以て将来の安全を保持するに付て適当なるものであるかないか、之を疑う者は決して私一人ではない、苟も国家の将来を憂うる者は必ずや私と感を同じくして居るであろうと思うそれ故に近衛声明を以て確乎不動の方針なりと声明し、之を以て事変処理に向わんとする現在の政府は私が以上述べたる論旨に対し、逐一説明を加えて、以て国民の疑惑を一掃する責任があるのであります。
「国家競争は道理の競争ではない、正邪曲直の競争でもない、徹頭徹尾力の競争である世にそうでないと言う者があるならばそれは偽りであります、偽善であります、吾々は偽善を排斥する、飽くまでも偽善を排斥して、以て国家競争の真髄を掴まねばならぬ、国家競争の真髄は何であるか、曰く生存競争である、優勝劣敗である、適者生存である、適者即ち強者の生存であります、強者が興って弱者が亡びる、過去数千年の歴史はそれである、未来永遠の歴史も亦それでなくてはならないのであります。
此の歴史上の事実を基礎として、吾々が国家競争に向うに当りましては、徹頭徹尾自国本位であらねばならぬ、自国の力を養成し自国の力を強化する、是より外に国家の向うべき途はないのであります。」
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