戦後日本人の大きな勘違い！女性参政権を実現した大日本帝國憲法第三十五條－明治流憲法学奥義秘伝の原稿

　日本国憲法無効・帝國憲法復元増補（改正）論を支持する人の中に、統帥権独立の原則を廃止し、憲法に女性参政権を明記すれば、帝國憲法は現代の日本の最高法規として立派に通用すると主張する人がおられる。我が国が帝國憲法に女性参政権を明記するならば、併せて男性参政権をも明記しなければならない。

　そうしないと帝國議会が衆議院議員選挙法の改定により女性から参政権を剥奪することは違憲無効になるが、男性から参政権を剥奪することは合憲有効になる。これは深刻な男性差別である。

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枢密院帝國憲法制定会議憲法草案第三十五條　衆議院は選挙法の定むる所に依り公選せられたる議員を以て組織す

【枢密院に提出された草案第三十五條注解】

　衆議院の議員は、其の資格と其の任期とを定めて、広く全國人民の公選する所を取らんとす。本條議員選挙の制規を以て之を別法に譲る者は、蓋し選挙の方法は時宜の必要を将来に見るに従い、之を改正し之を増補するの便を取ることあらんとす。故に憲法は其の細節に渉ることを欲せざるなり。

　衆議院の議員は総て皆、國の代議士たり。而して衆議院選挙の法に選挙区を設くるは、代議士の選挙をして全國に普通ならしめんとする目的に外ならず。故に代議士は即ち國の人民を代表する者なり。而して其の所属選挙区の人民の為に一地方の委任使となり其の依嘱を代行する者には非ざるなり。

【枢密院に提出された草案第三十五條参照】

葡（ポルトガル）第三十四條　代議士院は公選にして有期たり。
増補第四條　代議士を命ずるは直接選挙を以てす。
第九條　選挙法は左の條件を規定すべし。
第一　選挙の程式及び王國の人口に比例する代議士の数
第二　代議士と兼務すべからざる職務
第三　國民公務に服する為に代議士に選まれざる場合
第四　王國大陸の諸州王國附近の諸島及び海外の所属地に於いて選挙税額の証明をなすべき方法及び程式
第五　選挙人たるべき年齢を補足し及び選挙税額の証明を免ざるべき大学校の品級

仏（フランス千八百三十年）第三十條　代議士院は将来法律に従い設くる所の選挙会より選挙したる代議士を以て編成すべし。
白第四十九條　選挙法は人口に従て代議士の数を定む。此の数は人口四万に付一員の比例を越ることを得ず。又選挙法は選挙人たる為の要件及び選挙の方法を定む
伊（イタリア）第三十九條　代議士院は法律に定めたる選挙区より選挙したる代議士を以て編成す。
荷（オランダ）第七十七條　第二院の数は人口四万五千に付一員の比例を以て之を定む。選挙の権に係り遵守すべき他の條則は選挙法を以て之を定む。
丁（デンマーク）第三十二條　代議士院代議士の数は凡そ人口一万六千に付一員の比例とす。選挙区及び選挙の方法は選挙法を以て之を定む。各選挙区は選挙に応ぜんことを求むる候補人の内に付一員を選挙す。
西（スペイン）第二十七條　代議士院は選挙会の法律に依り定めたる規程に循い選命する所の議員を以て編成す。但し人口五万に付き少なくとも代議士一名を出すべし。代議士院の議員は全國人民の代議人たる参照。
仏（フランス千七百九十一年）代議士任命の部第七　各州より選派する代議士は一州の名代にあらずして全國民の名代たり。故に州より代議士に委托を付することを得ず。
伊（イタリア）第四十一條　代議士は全國民の名代にして之を選派したる一州の名代に非ず。選挙人は代議士に一の委托を付することを得ず。
荷（オランダ）第七十四條　國会は荷蘭國民を代表す。
普（プロイセン）第八十三條　両院の議員は全國人民の名代たり。議員は其の自由なる信心に従て発言し嘱托及び訓令を以て拘束せらるるものに非ず。
丁（デンマーク）第五十六條中　國会の議員は専ら自己の良心に従い選挙人の訓令に従わず。
墺（オーストリア）國会憲法十六條中　代議士院の代議士は其の選挙者より訓状を受くべからず。
独（ドイツ）第二十九條　國会の議員は全國人民の名代たり。嘱托及び訓令を以て拘束せらるるものに非ず。
瑞（スイス千八百四十八年）第七十九條　両議会の議員は訓令なく発言す。

【自由民権運動を代表する交詢社系の明治十四年郵便報知新聞社説－私考憲法草案（カッコ内は交詢社の私擬憲法案）】　

第三十七條　右院議員は全國人民中撰挙権を有する者の公撰する所にして四年間其職に在るものとす（第四十條「國会議員は」以下同じ）

第三十八條　右院議員の撰挙区は各州を以て一区若しくは数区に別ち人口八万人毎に一人の割を以て公撰するものとす但し八万人に満たさる端数四万人に満る分は同じく一人を公撰す四万人に満たざる分は之を除くべし但し一州を成すものにして人口二万に満る分は一人を公撰すべし（第四十一條「國会議員の」以下同じ）

第三十九條　人口二万人以上の都市は別に一選挙区となし一区二万人以上四万人以下は各一人を公選し四万人以上八万人以下各二人を公選し八万人以上は六万人を増す毎に各一人を公選すべし（第四十二條全文同じ）

第四十條　右院議員選挙人名調査の期限に其撰挙区内に於て郡村は地税五円以上納むべき土地を所有し若しくは價直金二百円以上の所有家屋に住居し人口三十以上の郡市は地租村二円以上を納むべき土地を所有し若しくは價直金二百円以上の所有家屋に住居し又は價直金四百円以上の家屋を既に十二ヶ月借住して其年齢二十一歳に達したる男子は左に記載する者を除き総て其の撰挙区内の撰挙人たるの権を有すべし

処刑中の者
嘗て重罪に処せられ未だ政権を復せられざるもの及身代限の処分を受け未だ弁償の義務を経ざる者
白痴及風癲を病む者
日本國内に住居せざる者
府知事県令及右院議員選挙掛
神官僧侶（第四十三條「國会議員」以下同じ）

第四十一條　日本國民に生れ年齢満二十五歳以上の男子は左に記載する者を除く外凡そ何れの撰挙区を問わず其被候補と為り右院議員に撰挙せらるるを得べし但し府知事県令郡区長及右院議員撰挙掛は其撰挙区内に被撰候補たるを得ず

処刑中の者
嘗て重要（罪？）を犯し未だ政権を復せられざるもの及身代限りの処分を受け未だ弁償の義務を終らざる者
白痴風癲を病む者
日本国内に住居せざる者
判事及判事補
神官僧侶（第四十四條「國会議員に撰挙せらるるを」以外皆同じ）

　帝國憲法草案第三十五條は枢密院第一審会議第二読会によって修正されることなく可決され、明治天皇の裁可と公布を経て、帝國憲法第三十五條「衆議院は選挙法の定むる所に依り公選せられたる議員を以て組織す」となった。　
　
　明治の自由民権運動を代表する交詢社系の憲法私案は、参政権（公選議院選挙における選挙権と被選挙権）の範囲を憲法に明記したために、この憲法私案の場合、普通選挙と女性参政権を実現するには憲法の改正が必要であった。

　これに対して伊藤博文ら帝國憲法の起草者は、将来における民権の拡張に配慮し、敢えて参政権の範囲を法律に譲ったので、大日本帝國憲法下で普通選挙と女性参政権を実現するにために憲法改正は全く不必要になった。帝國憲法は福沢諭吉の設立した交詢社系の憲法私案より民権の拡張性（拡張し易さ）を重視しているのである。

　だから我が國は大日本帝國憲法の下で、憲法の改正を待つことなく、同憲法第三十五條に基づく衆議院議員選挙法の改正により1928年から普通選挙を実施し、1945年12月17日に女性参政権を実現し、1946年4月10日に実施された最後の帝國議会衆議院議員選挙の結果、日本初の女性議員39名が誕生したのである。

　大日本帝國憲法の施行から120周年にあたる2010年11月29日、議会開設120年記念式典に御臨席された天皇陛下はサラリとその事実を述べられたにもかかわらず（三島由紀夫の憂国忌40年と大日本帝国憲法の施行120周年－緑風会の挫折）、我が国の国民の中には、女性参政権がマッカーサー占領軍憲法（日本国憲法）の施行（1947年5月3日）の一年と六ヶ月前に実現したことに気付いていない人や、内閣総理大臣の東久邇宮稔彦王殿下が戦時統制を解除した直後に、日本国民から表現の自由と知る権利を剥奪する検閲を開始したＧＨＱが日本に民主主義をもたらしたと信じている人がいる。

　ポツダム宣言を蹂躙したＧＨＱの検閲下で誕生したマッカーサー占領軍憲法（日本国憲法）は、国会議員の任期を憲法（第四十五条、四十六条）に明記している。ゆえに国会議員の任期満了に伴う国政選挙とくに衆院選挙の実施時期が疫病の流行時に重なる場合、国会に政治的空白を生み出すことなく疫病蔓延中の選挙実施を回避するために、国会議員の任期を臨時延長することは、占領軍憲法下では不可能である。

　なぜなら国会議員の任期を延長するには占領軍憲法の改正が必要であり、それ自体が極めて困難であるばかりか、占領軍憲法の改正には特別の国民投票ないし国会の定める選挙の実施が必要であり（占領軍憲法第九十六条）、憲法改正のための国政選挙（国民投票）自体が疫病蔓延中の選挙になってしまうからである。

　だから2009年の衆議院選挙は新型インフルエンザの流行中に実施され、2010年の参議院選挙は口蹄疫の流行中に実施され、我が国では二年連続で疫病選挙が続いたのである。
　所長は、「二年連続の疫病選挙－大日本帝国憲法の起草原則が告げる日本国の危険」という記事（2010年6月21日）の中で、日本国憲法の致命的な欠陥－日本国憲法は大日本帝國憲法の特長である非常事態対処規定と伸縮自在の運用性（フレキシビリティ）を相続していない－が既に露呈していることを指摘して次のように危惧した。

　我が国は、憲法起草の第三および第四原則が帝国憲法に付与した伸縮自在「フレキシビリティー」の運用性を用い、帝国憲法第三十五条に拠り、衆議院議員選挙法の改正をもって普通選挙と婦人参政権を実現し、また戦時中は臨時に衆議院議員の任期を一年延長した。

　しかし日本国憲法（マッカーサー占領軍憲法）の下で我が国が衆参議院議員の任期を延長するには、わざわざ憲法の改正を行わなければならない。

　占領軍憲法の下では、我が国は疫病の拡大を防ぐために法律の改正をもって臨時に議員任期を延長することすらできない。おかげで去年の衆議院選挙では新型インフルエンザ、今年の参議院選挙では口蹄疫という疫病拡大のリスクを犯してまで、我々日本国民は公選議院の選挙を行わなければならなくなった。

　日本国憲法の運用性は大日本帝国憲法の運用性に比べて硬直的で伸縮自在「フレキシビリティー」を欠き、危機に対して頗る脆弱なのである。

　しかし二年連続で日本国憲法の欠陥が露呈しているにもかかわらず、一般国民はもとより菅直人首相以下政治家の大半もこのことに気づいていないだろう。

　最悪危機想像能力がスッカラ菅の首相在任中に、日本国憲法の欠陥が取り返しのつかない大惨事を引き起こさなければよいのだが・・・。

　案の定というべきか、不幸にも所長の危惧は的中し、2011年3月11日に東日本大震災と福島第一原発事故が発生し、菅内閣は被害を拡大してしまった。

　所長が予言めいた記事を上げて日本国が直面している危機を警告できたのは、大日本帝國憲法義解と枢密院帝國憲法制定会議資料を活用して日本国憲法を分析し糾弾するという比較憲法学のささやかな成果なのだが、我が国の憲法改正議論の大半はマッカーサー占領軍憲法第九条と第九十六条の是非に埋没している。

　今更ながら所長は戦後民主主義狂育の洗脳効果が強烈であることを痛感せざるを得ない。

　ＧＨＱの方針に反逆し歌舞伎を救った男マッカーサーの副官フォービアン・バワーズは大日本帝國憲法を「完全に有効でかつ実際にきわめて立派な明治憲法（the perfectly valid and really very beautiful Meiji constitution）」と称賛した。


　今度は日本国民自身が、ＧＨＱによって違法不当に最高法規の地位から追われた我が国の正統憲法たる大日本帝國憲法を救済しなければならない。

　「中国が攻めてくる！日本が憲法で滅ぶ」前に、日本民族がＧＨＱによって僅か一週間の間に建設された粗末な違法監獄から集団脱走して明治の偉人が叡智を結集して建立した素晴らしい故郷の旧家に戻り、井上孚麿が「いくそたび　かき濁しても　澄みかへる　水やみくにの　姿なるらむ　」という歌に込めた「日本民族の正統憲法復原力」を生み出すために（現憲法無効論－憲法恢弘の法理）。

・本当は絶世の美女だった上杉謙信（折れそうになる男子の心を再び萌え起たせる上杉謙信のヌードはこちら）



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