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政治論略(金子堅太郎著/元老院/明治十四年(1881年)十一月初版発行)第五回
爾来英國の輿論は囂々(ゴウゴウ-やかましく)「ボルク」を責めて改進党の主義を抛棄して保守党に変じたりと云うも「ボルク」は確固として精神を動かさず節操を変ぜず一身を以て英國政治の犠牲と為し憲法を維持し英帝をして永く英國に君臨せしめんとし自ら奮て一種の政論を主唱し着実主義を標準となし、麁暴急劇なる論説を排撃して大いに英國の輿論を鼓舞誘導したり。
然れども古来の保守党論者が惟因循に流れ旧慣に泥み(ナズミ-とどこおる)天下の大勢を熟察せず苟且偸安の政略を墨守する者の如きは決して取らず。
深く古来の経歴と先哲の遺業とを回顧し現時の形勢を洞察して政治を改良するの目的を確守し、その旨趣を詳か(ツマビラカ)に著述して新旧の改進党に訴るの書と題し之を天下に頒布したり。
その論旨は、普く英國政治の沿革史を渉猟し、従来の改進党が確守する所の政略は着実適切にして今の所謂改進党の如く空論に誘惑せられ急劇の挙動を以て政治を改革せんと企つるものの類に非ず。今の改進党が仏國の革命を賞讃するが如きは是れ啻に黄泉の下にある改進党たりし祖先の遺業を遵守せざるのみならず実に英國憲法を破壊するものなりといえり。
その言や慇懃反覆一字一涙誠忠文面に顕われ且つ身を以て國に任じ盛暑の炎熱を厭わず冱寒の凛冽を畏れず日夜奔走し鞅掌尽力至らざるなきを以て、遂に英國人民の迷夢を警醒(ケイセイ-警告して迷いを覚まさせる)し、全國の政治家をして「ボルク」の論説に循うこと水の低きに就くが如くならしめ、大廈を未だ傾覆せざるに支え、狂瀾を未だ頽倒せざるに回し、仏國革命の毒気をして英國の邦土に侵入せしめず以て英國の憲法を千百歳の後に維持し今に至るまで確固不抜の地位を保ち英國帝王をして殆んど五大州裏に君臨たらしむるの形勢をなし、宇内の政治家をして常に英國の政体を称して真正の立憲政体なりと賞讃し往々その模範に倣い政体を改良せんと欲するに至らしめたるものは是れ将た誰の功ぞや。
全く「ボルク」の一身を以て天下の犠牲と為し英國の安危を以て己の任となして鞠躬尽力せしに因ると云うもまた溢言にあらざるべし。
蓋し「ルーソー」の政治論たるや当時仏國人民が永く君主圧制の下に苦しめられたるを翹げて乱を思うの機会に投じ自己の声望を得んと欲して主唱せしものなれば、その説新奇なるも一己の空論にして政治の実際に適用すること能わざるものなり。故に千七百年代に於ては一時宇内の人心を撹乱するの勢力を逞しうせしも、急進過激の迷夢は千七百年代の歳月と共に経過消散して現今千八百年代に至ては、欧米の政治家は古今の事蹟を竝観対比し秩序を逐い(オイ-追い)次第に進み因て以て政機を運転するにあらざれば、政治を改良し國民をして開明の域に進達せしむること能わざるを悟り、常人といえども多くは「ルーソー」の政論は空中架楼の論説にして啻に(タダニ-単に)政治の実際に適用すること能わざるのみならず大いに社会を擾乱せしものなることを覚知せり。
然り而して「ボルク」の論説たるや当時あるいは「ルーソー」派の政論に排撃せられしといえども、その主義固より平和に出て深く政治の理論と実際とを比較し古来の旧典に拘泥せず現今の好尚(コウショウ-時代の好みや流行)に眩惑せられず政治壇上の閾に跨り古今を竝観して急劇に走らず因循に流れず常に中正(チュウセイ-偏らず正しい)不偏の精神に因て政治の機関を運転せんことを注目せしは即ち米國政事堂の堂宇に在る「ゼイナス」に似たるものなれば、「ボルク」はこれ即ち政治壇上の「ゼイナス」と讃賞するも決して過言に非ざるべし。然れば則ち方今米國の政治家は仰て堂宇の「ゼイナス」を望み以て軽躁急進の弊害を戒め俯して「ボルク」の政論を熟読し誠忠確実の主義に依り國政を商議するものなり。
独り米國の政治家のみ然るにあらず。千八百年代欧州政治の「ルーソー」を取らざるに至りしものは蓋し「ボルク」與つて(アズカッテ)力あるものならん。嗚呼匹夫而為百世師、一言而為天下法とはそれ「ボルク」の謂乎。
余かつて米國に在るの日親しく「サムナー」の言を聞き「ボルク」の書を読み、その世に益あるを知ること茲に年あり。因て今仏國革命論及び新旧の改進党に訴うる書中よりボルクの主義とする所の政論の一斑を撮択し、之に加うるに米國の学士「ウルゼー」の著す所の政治論より「ルーソー」が議論の要領を抜萃し、その精神に基き之を意訳して一小冊を作り同感の人に示さんと欲し、名けて政治論略と云う。これ固より略論たるに過ぎざれども元来これらの書たるや数十百葉に渉るを以て、その中、世人の熟知せる英國の歴史及び爰(ココ)に関係なき所のものは之を略し専ら「ルーソー」と「ボルク」との政論の主義を抄訳したるものなれば、あるいは重複に渉り、あるいは欠乏を憾む所あるべし。殊に余が浅学非才なるを以て訳語及び文章の妥当ならざるもの少なからざるは謹んで識者の校正を待て而してのち改訂せんとす。
明治十四年九月 金子堅太郎識
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<関連ページ>
・革命勢力は自由平等博愛を蹂躙し毒ガスまで使用して反革命勢力を大虐殺した・・フランス革命を問い直すヴァンデ戦争
・中世から第二次世界大戦まで全戦争を網羅-戦史研究に欠かせないヨーロッパ史における戦争
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