2012年08月01日

政治論略第一回-金子堅太郎によって邦訳されたフランス革命の省察

 我が国の唯一無二の正統憲法たる大日本帝國憲法の起草に多大な影響を与えた外来の思想は、伊藤博文の座右の書であったアメリカ合衆国憲法の解釈書「ザ・フェデラリスト」(1787年)と、金子堅太郎によって邦訳されたエドマンド・バークの「フランス革命の省察」(1790年)であった。

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政治論略(金子堅太郎著/元老院/明治十四年(1881年)十一月初版発行)第一回

緒言

 北米合衆國上院の議員にして政治家の標準と尊称せられたるチャールズ・サムナーかつて曰く、

「数百の星霜も昨日の古昔と変じ、来者の新世は政治の門戸を敲き、吾輩まさにその閾(シキイ)を踰(コ)えんとするの今日、政治の針路を経画するにあたりては、決して先代の旧業遺跡を軽視せず又これを妄信してその慣例に拘泥せず専ら将来進歩の基礎を確定するに注目すべし。

 故に政治の学識および経験に富める者は、常に往古の事跡と将来政治の目的とを併観対比して中正不偏の精神に依るべきは、あたかも米國政治堂の堂宇に在るゼイナス(羅馬國において尊崇せし両面の神体なり)の一面は経験および徳望に富める往古の時世を回顧し、他の一面は功名声誉の事業あるありて人心を誘導し各自進取に汲々たる所の将来に注目するが如くなるべし」と。

 蓋しこの言たるや現今米国の政事家が施政の格言として服膺する所なり。而してサムナーは又常に人に語て曰く、

「余が志を政治に傾向せしより深く英國の政事家にして天下に雷名あるエドマンド・ボルクの論説は誠忠愛國の衷情に出でて真に公平無私なることを欽慕し居常その政治論集を座右に置き縦い公務の繁忙なるも毎年必ず全部を熟読せり。後の学者いやしくも真正の政治論を読まんと欲せば宜しくボルクの政治論集を閲覧すべし」と。

 以てボルクその人の一班を推知すべし。伝を按ずるに、エドマンド・ボルクは、一七三〇年アイルランド「ダブリン」府に生れ、幼少より法律学に志し、つとに英名を法廷に輝かせんことを企望して黽勉(ビンベン-勉め励む)これを研究せり。

 しかるに学識の漸く進達するに従い自らその性質および学才の政治学に適することを覚り、翻然その志を転じて政治学を講究し、独り英國の政治のみならず普(アマネ)く欧州政治の大政を観察し、異日大いにその志を逞(タクマシク)して功名を政治壇上に奏するの時会を期望せしに、千七百六十五年英國改進党の首魁「ロキンガム」侯宰相の顕職に登るの時にあたり「バキンガム」州の改進党はボルクを推して英國下院の議員に撰挙す。

 時に年三十六ボルク初めて宿論を述ぶるの時を得て爾後二十八年間常に議員の巨擘(キョハク、意味は親指、衆にすぐれた人、人の上に立つ人、領袖、親分)となり、機知雄弁以て事理を説明し不撓不屈以て論敵を挫折し衆議員をして皆舌を巻て辟易し、同意者と反対者とを問わず拍手喝采して殆んど議院をの堂宇を震動せしむるに至れり。

 今その一例を挙げれば千七百八十八年において英領印度の太守ワーレン・ヘイスチングが驕慢の虐政を以て人民を塗炭に苦しめ、大いに英國の名声を貶辱せり。これにおいて英國上院にその弾劾を開く時に、ボルクは下院の告発委員として上院に出席し、楼上階下に星列するの上院の議員および数万の傍聴人の面前において、先ずヘイスチングの罪案状を朗読し尋て雄弁を奮て、彼が印度太守の重職を掌握しながら専ら私欲を営み暴政を恣にせしより、かの大陽東洋の海門に出て万頃の沃田に輝き、草木森茂し山川富饒にして、世間須需の物品は一として備わらざるなき実に天府の無尽蔵と云うべき印度の沃土も忽ち荒蕪の原野と変じ、朱門金閣壊頽して蓬蒿叢裡に埋没し、老弱は溝壑に転じ、餓莩(ガヒョウ-餓死者)は道路に載ち、悲風凄雨至るところ断腸の状を現さざるはなし。

 然らばすなわちヘイスチングは宇内人類の大罪人なりとの主旨を演説せしに、その形容の慷慨なる、その語気の悲壮なる、痛く実況に迫り、聞く者皆身自ら印度の惨状を目撃するが如き感触を起し、老人婦女の輩はその面を掩ふて歔欷(キョキ-すすり泣く、むせび泣く)流涕し、或いは悲歎悶絶して戸外に携出せらるるものあるに至れり。

 而してこの告発演説は四日間に跨り、なお又ヘイスチングの答弁に対する所の演説は九日間継続せしも、聴衆は日一日よりも多く未だかつて欠席倦厭の気色なく常に静粛としてこれを聴聞せしは独りボルクが博識雄弁の致す所にして、豈に他人の能く為し得べき所ならんや。


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