すなわち帝國憲法第六十二條の新規の課税と税率の変更は、帝国議会の協賛(承認)を必要とする法律事項であるがゆえに帝國議会の認可事項であり改正可能事項である。これを租税法律主義という。
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枢密院帝國憲法草案第六十二條 新に租税を課し及税率を変更するは法律を以て之を定むべし 國債を起すは帝國議会の承認を経べし
【枢密院に提出された第六十二條注解】
新に租税を課し及び税率を変更するに当りて、議会の承認を必要とし、之を政府の専行に任せざるは、立憲政の一大美果にして直接に臣民の幸福を保証する者なり。
蓋し國家経費の源は租税に取る。故に臣民は國家の経費を弁給する為に、租税の義務を負担する者なり。然るに既に定まれる現税の外に新に徴額を起すに当て、臣民の生計と國家の必要とを比照して適当の程度を決定するは、専ら議会の公論に倚頼せざることを得ず。
故に本條において、新税は必ず議会の承認を経ざるべからざることを定めたり。若し此の有効なる憲法上の防範なかりせば、臣民の富資は永久の安固を保証すること能わずして容易に減耗の惨状に陥るべく、而して民利の増進、民業の発達は将来に冀望することを得べからざるなり。
租税は以て経常の國費を供給し、國債は以て特別の需要を補弁す。國債は将来に臣民の負担義務を約束し、一種間接の租税たる者なり。故に新に國債を起すには、必ず議会の承認を取らざるべからず。独り國債のみならず、凡そ将来に政府の法律上の負担たるべき資金は、皆此の類に属する者なり(補助、保証の類を云)。
各個人の要求に依り、又は各個人に利益を予うる為に納完せしむる手数料にして、普通の租税と其の性質を殊にする貨幣鋳造料の類、及び私法上の明約又は黙約に属する郵便料、電信料、電話料、鉄道切符料、通川料、燈台料、入港料、水先案内料、倉庫料、学校授業料の類は、其の國費又は地方費の為に徴収するを問わず、総て法律の制定に依るべきの限りに在らざる者とす。但し郵便料、電信料は便宜に依り、各国に於て多くは法律を以て之を定めたり。
若し夫れ、収税官、出納官又は官金取扱人において、法律の正條に依るの外に、手数料又は報酬を徴収するは、憲法の許す所に非ず。然して刑法の禁ずる所なり(刑法二百九十條)。
【枢密院に提出された第六十二條参照】
仏(千八百十四年)四十八條 一の租税も両院之を叶賛し國王之を裁可したるに有らざれば之を新設し及徴収すべからず
白(ベルギー)百十條 國税は法律に依るに非れば之を設くることを得ず
荷(オランダ)第百七十一條 法律に由るに非れば國庫の利益の為に國税を徴収することを得ず
丁(デンマーク)第四十七條 法律の力に依るに非ずして租税を設け或は之を変更し或は之を廃除することを得ず
巴(バイエルン)第七章第三條 國王は一切直税の徴収及新起の間税の賦課又は現在間税の増加変更の為に國会の承認を求むるを要す
(第二項参照)
瑞典(スウェーデン)第七十六條 王は議院の允准を得るにあらざれば内外において負債を起すことを得ず又新債を以て國の負担と為すことを得ず
普(プロイセン)第百三條 法律に由るに非ざれば國債を起すことを得ず○國の負担たるべき保証に於ても亦之に同じ
独(ドイツ)第七十三條 非常の需要ある場合に於ては帝國の法律を以て國債を起し又は帝國の負担を以て保証を與うることを得
巴(バイエルン)第七章第十一條 凡そ新に國債を起して現在の債額の元額又は年利を増加するには國会の承認を要す
【自由民権運動を代表する交詢社系の明治十四年郵便報知新聞社説-私考憲法草案(カッコ内は交詢社の私擬憲法案)】
第四十七條 総て租税に関する議案は本院に於て之を起草するを得又其議案は左院に於て之を修正することあるも本院之を再議し出席議員三分二以上の同意を以て之を決すれば其議決の左院修正と一致すると否とを問わず直ちに本院議長より上裁を仰ぐを得べし(第五十條 総て租税に関する議案は本院若くは内閣の他之を起草するを得ず又其議案は元老院に於て之を修正することあるも本院之を再議し出席議員三分二以上の同意を以て之を決すれば其決議の元老院修正と一致すると否とを問わず又直に本院議長より上裁を仰ぐを得べし)
帝國憲法草案第六十二條は、枢密院の審議によって、「新たに租税を課し及税率を変更するは法律を以て之を定むべし 但し報償に属する行政上の手数料及其の他の収納金は前項の限に在らず 國債を起し及予算に定めたるものを除く外國庫の負担となるべき契約を為すは帝國議会の協賛を経べし」という三項から成る一條に修正された。この修正案が明治天皇の御裁可を得て帝國憲法第六十二條となった。
2012年1月24日から開かれた国会において、自民党の谷垣禎一総裁は、イギリスのマグナカルタ(これは君民協約憲法である)、アメリカの独立革命、フランスの人権宣言を挙げて、これら先人の積み重ねが日本国憲法第八十四条の租税法律主義であるといい、そこからこの租税法律主義と国民主権を結びつけて、主権者の国民に対する野田佳彦首相と民主党の背信行為を批判していた。
しかし帝國憲法第六十二條は、租税法律主義が国民主権とは全く無関係であることを証明している。だからなのか国民主権を信奉する谷垣総裁は、先人たちの積み重ねとして帝國憲法第六十二條を挙げなかった。
日本国憲法の制定は形式的に帝國憲法の改正であったにもかかわらず、谷垣総裁は日本国憲法第八十四條を解説するにあたり、伊藤博文や明治天皇をはじめ正に先人たちの積み重ねである帝國憲法を無視したのである。憲法改正に熱をあげている自民党長老の中山太郎のふざけた憲法論のみならず、谷垣総裁の質問演説にも、自民党の帝國憲法を無視する態度が現れている。
それにしても谷垣禎一総裁のくどくて小難しい演説に比べて、伊藤博文の大日本帝國憲法義解第六十二條解説は何と簡潔明瞭なことか。自民党議員が伊藤の第六十二條解説を引用し、
「憲法の規定する租税法律主義は、まさに国民の幸福を保護するためにある。ゆえに我々政治家は、憲法の立法趣旨を尊重し、六重苦に喘ぐ日本経済を容易に更なる減耗の惨状に陥れ、国民を不幸のどん底に突き落とすデフレ不況下の消費税率の引き上げには、断固として反対するのである!!」
と演説すれば、自民党の支持率は少しは上がり、また帝國憲法に対する戦後世代の偏見と誤解も少しは解消するだろうに。
野田佳彦首相が「それは帝國憲法第六十二條の立法趣旨であって、日本国憲法の話ではありません」と答弁したら、すかさず自民党議員が「日本国憲法第八十四条の立法趣旨は国民の幸福を保護することではないのか!?ならば日本国憲法第八十四条は帝國憲法第六十二條の改正条項ではないというのか!?」と反論して、野田首相を憲法効力論争に引きずり込めば、野田首相はまともに答弁できないだろう。
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考えてみれば、明治23年はケインズ経済学や現在の不換紙幣発行の時代ではありませんでした。
「國債は以て特別の需要を補弁す。」とあるように、デフレ脱却のために需要喚起として国債が必要なんだ、と明治元勲の論を読んで思う次第です。