2011年11月18日

TPPの本質はヤンキー帝国主義の再来(笑)地政学入門―外交戦略の政治学

 田母神歴史エッセイ騒動の際、ソ連陰謀説を嘲笑した所謂「ミリオタ」の連中は、有名な地政学入門(曽村保信)すら読んだことがなかった。

 地政学入門を読みたくなった方は、ヤンキー帝国主義わーい(嬉しい顔)とTPP加盟推進派から我が国の独立主権と「日本国民の日本国民による日本国民のための自由デモクラシー」を防衛するために、ブロガーへ執筆意欲を与える一日一押人気ブログランキングをクリック願います。

地政学入門―外交戦略の政治学(曽村保信著 中公新書 1984年初版発行)の目次

はじめに

序章 地球儀を片手に

第一章 マッキンダーの発見
1地政学の起こりと古典
2英国の海上権の衰退
3西欧シーパワーの期限と由来
4ハートランドの動向
5ヨーロッパ半島の運命
6自由社会の処方箋
7最後の論文

第二章 ハウスホーファーの世界
1ハウスホーファーと日本
2生活圏の哲学
3広域の思想
4太平洋の地政学
5大東亜共栄圏との関連
6悲劇の結末

第三章アメリカの地政学
1モンロー主義の発展過程
2西半球防衛の展望
3汎米主義と二つのアメリカ
4アルフレッド・マハンの遺産

終章 核宇宙時代の地政学
1ソ連と地政学
2アフリカおよび中近東の地政学
3危機の弧
4インド洋ー世界の地中海


 所長は、中村粲の大東亜戦争への道を読んだものの、中村粲史観に全く納得できず、自分で大東亜戦争の真相を調べてみようと思い立ち、様々な文献を読み漁っていたところ、この地政学入門の以下の記述を読み、ニュータイプのようにピキーンと閃いたのである。

<マルクス主義と大東亜共栄圏>

 ただ大東亜共栄圏の思想の形成にマルクス主義が与えた影響だけは、ぜひとも知っておく必要がある・・・ヒトラーのナチズムがワイマール共和制下における共産主義運動への反動として起ったことはよく知られている・・が、ちょうど似たようなことが、日本ではまさに逆の現象として起った・・・つまり右翼または国家主義運動団体などと呼ばれるものにたいしてのマルクス主義思想の浸透である・・・大東亜共栄圏とマルクス主義のかかわりを歴史的に立証した本としては、三田村武夫の『戦争と共産主義―昭和政治史秘録』がある・・・コミンテルンの方針からすれば、近衛内閣がスタートした新体制の運動ぐらい、まさに合法組織の目的にかなったものはなかっただろう・・・とどのつまり戦前および戦中の日本では、地政学は日本に対英米開戦を迫る国際共産主義の一手段として、いいかえればすなわちスターリンの対外政策の実現のために、知らず知らずのうちに利用されていたという、あまり香ばしくない過去の経歴をもっている・・・結論として、歴史的にみて、日本の大陸政策に最も大きな影響を与えた外来の思想は、実はマルクス主義であって、本来の意味の地政学ではなかったようにおもわれる(地政学入門―外交戦略の政治学130~134ページ)。


 所長は、三田村武夫の『戦争と共産主義―昭和政治史秘録』を探し回り、その復刻版の『大東亜戦争とスターリンの謀略ー戦争と共産主義』を入手し、大東亜戦争の真相を知ることができた。

 今この地政学入門第三章アメリカの地政学を読み返してみると、TPPの本質は、新しい国際自由貿易の潮流ではなく、世界史に度々登場する「アメリカのアメリカによるアメリカのための門戸開放・機会均等主義」の焼き直しに過ぎないことに気づく。

 1823年にアメリカ政府はモンロー宣言を発表したが、これはアメリカ合衆国による南北アメリカ両大陸の独占支配宣言であり、19世紀中頃から現代に至るまで、アメリカ合衆国は中南米諸国に対して執拗に軍事介入を繰り返してきた。さらに1904年にはアメリカ政府は所謂「ルーズベルト・コロラリー」を発表した。

 ただ右のルーズベルト声明のなかで、いまひとつ見逃せないのは、「われわれは、モンロー主義を主張し、極東において戦場を限定するために努力をし、さらに中国の門戸開放を維持することによって、合衆国自身と人類全体の利益のために行動した」とある部分である。

 ハウスホーファーは、これをモンロー主義を太平洋にまで拡大したものであると解釈した。なぜならば、この頃からアメリカの極東外交のスローガンになり始めた中国の領土保全と政治的独立の維持という表現は、そっくりそのままのかたちで両米大陸に対するモンロー主義の方針にあてはまるからである。

 みずから国債警察軍の役割を買って出たルーズベルトの以上の態度が、いわゆるヤンキー帝国主義の到来として、南米ばかりではなく一般に世界の人々から大きな反発を買ったことはいうまでもない。それで後につづく歴代アメリカの大統領たちは、とりわけその印象を和らげるために、さまざまな苦労を重ねなければならなかった(地政学入門―外交戦略の政治学152ページ)。


 今日のアメリカ合衆国の外交方針は、アメリカの政官業癒着の利権構造体に奉仕する門戸開放・機会均等主義をアジア太平洋諸国に強制する21世紀版「モンロー主義のアジア太平洋への拡大」であり、それに対して「ヤンキー帝国主義の再来」という反発が一般人から沸き起こることを防ぐために、オバマ大統領はTPPをアメリカの狙いを包む隠れ蓑として利用し、なぜか日本の大手新聞社はアメリカの野望に奉仕しているのである。

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posted by 森羅万象の歴史家 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 所長が選ぶ名著と迷著の紹介 | 更新情報をチェックする
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