いのちを守るドングリの森は、われわれ日本国民に、日本各地の鎮守の森に残る「潜在自然植生」を活用し、自然が数百年の歳月をかけて育む本物の森を僅か15~25年で再生する方法を教えてくれる。
本物の森をつくりたくなった方は、ブロガーへ執筆意欲を与える一日一押人気ブログランキングをクリック願います。
いのちを守るドングリの森(宮脇昭著/集英社新書/2005年初版発行)の目次
序章 ドングリ苗を植える
1植樹祭
2木を植える目的
3植樹に参加する人たち
4なぜ、ドングリの苗か
第1章 森と人間生活
1森と私のかかわり合い
・周り中、緑
・学問の対象としての緑
・生態学にのめり込む
・現存植生と潜在自然植生の違い
・森の見分け方
・日本各地のマツ、スギ林
・ダイナミックで安定した本物の森
・都市に生活して
2命を守る鎮守の森
・阪神淡路大震災
・ふるさとの森の軽量化できない役割
・体感するふるさとの森
・日本の自然保護の歴史
・自然保護から緑環境再生へ
第2章 植生の研究
1生物圏と植生
2生物圏における人間の位置
3植生と環境
・外因:環境
・内因:社会的な掟
・競争力の強弱と分布
・共生
4植生の区分
・相観的な区分
・優先種による区分
・植物社会学的な群落区分-種の組み合わせによる
5植生の空間的配分
・水平的な配分-植生図
・時間的な配分-遷移
6日本とアジアの植生
7ヨーロッパの植生
8アメリカの植生
9現在の植生学
10森づくりのステップ
・植栽計画
・樹種の選定
・移植を可能にしたポット苗
・種子(ドングリ)集め
・播種の仕方
・ポット苗をつくる
・植栽対象地の準備
・植え方-植樹祭
・植栽後の管理
・森の成長に沿った対応
第3章 ふるさとの森づくり
1斜面の森
・斜面保全
・これまでの実例
2都市・産業立地の森づくり
・産業立地
・道路沿い
・ニュータウン
・公共施設
・商業施設
3水辺の防災・環境保全林づくり
・海浜
・ダムと河川
4鎮守の森、教会の森
・多神教のもつ意義
・二十一世紀の鎮守の森
第4章 世界の森づくり
1東南アジア
2ブラジル・アマゾン
3中国とモンゴル
4人類の未来と森づくり
エピローグ
潜在自然植生とは、現在の人間の影響がすべてストップしたときに、そこの自然環境の総和が終局的に支え得る群落、植生のことである。この潜在自然植生は鎮守の森に残っており、鎮守の森を構成する多様かつ多層な樹種を植えることが、管理費がかからず半永久的に持続し、多彩な防災・環境保全、水源涵養の機能を果たす本物の森づくりであるという。
防災・環境保全林、水源林を形成する際、世界中の木を試験栽培して火にも風にも乾燥にも強そうなものを選び、それを植えるというアプローチがある。これは一見科学的かつ効果的だと思われるかもしれないが、机上の論理にすぎない。
初めの五年か十年はうまくいっても、その後それらの木々が経験したことのないような台風や日照り、地震、火事が起これば、対応できないことが多い。
日本では自然の揺り戻しとして地震や台風が周期的に襲う。最も間違いないのは、それぞれの地域の人たちが長い歴史の中で試行錯誤した結果、屋敷林や社寺林として残してきている、土地本来の森、すなわち潜在自然植生の主木群である。
これらは何百年、何千年の間、台風にも地震にも火事に耐えて生き延びている。したがって、潜在自然植生の主木こそ、防災、環境保全林、今各地で叫ばれている水源林形成の主役として選ぶべき樹種群である(いのちを守るドングリの森112ページ)。
宮脇昭氏の提唱する本物の森づくりは、保守主義の哲学や軍事学における兵要地誌に通じており、所長は本書を読んで大いに感激し、且つ自分の独善に恥じ入った。
所長が漠然と描いていた森づくり構想は、中山間地の荒廃した里山に、アーモンド、菓子クルミ、チョコレートの木、サトウカエデ(メープルシロップの木)、トチノキを植えて「御菓子の森」を造れば、春には桜に似たアーモンドの花が里山を覆い、秋にはチョコレートの木とサトウカエデの紅葉が里山を真赤に染め、胡桃とアーモンドとハチミツが採れるのではないか、というものだった。
しかし潜在自然植生を無視する人工林は、資金と人手がかかるだけでなく持続しないという。過疎に悩む中山間地の再生は、あくまで潜在自然植生の主木を植えつつ、潜在自然植生の許容範囲内で、観光資源となる美しい景観を生み、農産物となる果実を育む樹種を選定しなければならないということである。
いのちを守るドングリの森は、1.5メートルほどの幅の土地にも本物の森をつくる方法を読者に教え、家の庭造りや神社の参拝を楽しくしてくれる森林再生の参考書である。
・日本のたから鎮守の森
「しかし美味しい菓子クルミと一緒にこれは植えたい!春と秋に赤くなるシャア専用カエデ出猩々はカッコイイ」
4千万本の木を植えた男が残す言葉を胸に刻んで本物の森をつくりたくなった方は、ブロガーへ執筆意欲を与える一日一押人気ブログランキングをクリック願います。
↓↓↓
<サービス情報>
【関連する記事】
- 石原莞爾と尾崎秀実の対決-戦史修正と謝罪のお知らせ
- 大日本帝国の勝負手「対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案」-戦史修正のお知らせ
- 本郷和人が知らない支那事変勃発直前の陸軍中央の総合国防力拡充政策-戦史修正のお知..
- 帝国憲法下における立憲議院内閣制を実現する好機-戦史修正のお知らせ
- 近衛文麿の韜晦工作(近衛上奏文)の動機-戦史修正のお知らせ
- 朝日新聞社の捏造報道五十年史-戦史修正のお知らせ
- 満蒙領有論から満蒙独立論へ転向した石原莞爾の心変わり-戦史修正のお知らせ
- NHKが報道できない1938年の宇垣・孔祥煕工作-戦史修正のお知らせ
- 斎藤隆夫代議士の反近衛演説と畑俊六陸軍大臣の無惨な答弁―戦史修正のお知らせ
- もっと入国者数減らすべき!尾身茂会長
- 青天を衝く渋沢栄一の尊皇護国の志に満ち溢れた「論語と算盤」
- 類は友を呼ぶ猪瀬直樹の「昭和16年8月の敗戦」
- 石原莞爾と尾崎秀実の戦い-戦史修正のお知らせ
- ジャパンライフと朝日新聞社の蜜月関係
- 満洲国とアメリカ合衆国との貿易-戦史修正のお知らせ
- 反日種族主義-日韓友好を破壊したマルクス・レーニン主義と朝日新聞社の大罪
- 満洲事変時の予算編成と衆議院選挙-戦史修正のお知らせ
- 朝日新聞社がナチス化する理由-石原莞爾のマインカンプ批判と戦史修正のお知らせ
- 朝鮮ウリスト教の由来
- 戦後世代が気付かない教育勅語の欠陥
ドイツ仕込みの植生学と徹底したフィールドワークで日本の本来の自然の姿をなんたらかんたら、と。地味な話なので当時はあまり興味が持てませんでしたが、この本を読んでから、ビデオをほじくりだして見てみようと思います。「命を守る鎮守の森」なんて何かグッとくるものがあります。所長さまによると「1.5メートルほどの幅の土地にも本物の森をつくる方法を読者に教え」てくれるらしいので、ちょうどそのくらいの領地をもつ自分としてはすぐにでも読んでみたくなりました。長さも1.5ですがw