2011年01月12日

小林よしのりが歪曲した北畠親房の神皇正統記

 愚管抄ならびに神皇正統記の現代語訳日本の名著<9>慈円・北畠親房(1983年)の冒頭に現代語訳を担当した永原慶二(一橋大教授)の「神皇正統記について」という解説文が載っている。

 永原氏は神皇正統記を現代語に訳するに当たり、底本には岩佐正氏校注『神皇正統記 増鏡』(日本古典文学大系87)を用い、皇紀2600年の昭和15年から神宮皇學館大学学長を務めた国語学の大家の山田孝雄著『神皇正統記述議』等を参照にしたということである。永原慶二の解説文は大変わかりやすいので以下に引用する。

 小林よしのり「ウソ・詐欺全集」を広く世間一般に知らしめるために、ブロガーへ執筆意欲を与える一日一押人気ブログランキングをクリック願います。

 神皇正統記の論理的運びを忠実にたどってみると、君徳の強調は、後村上天皇に対して、帝王の心得を説くためというよりは、君徳ある天皇の子孫が栄える、皇位がいったんは傍流に移っても結局は君徳豊かな天皇の流れに戻る、君徳のない天皇は人民の支持を失ってもいたし方ないといった、正しい皇位の伝わり方の歴史を説明するためなのである。

 親房がもっともいいたいのは、そのような「正統」の歴史であり、いまの後村上天皇がいかに「正統」の天子であるかということである(中略)。

 親房は南朝の天子が「正統」であることを主張したが、天皇のあり方や皇統の継承については独特の考え方を持っていた。彼は君徳のない天皇は長続きしないし、その子孫は皇統を継承できないと主張する。

 だから、ある天皇の子孫が絶え、傍流の皇族が皇位につく場合でも、それが君徳の有無という観点で肯けるものなら積極的に当然としてゆくのである。

 光孝天皇が即位したことについて「陽成悪王にて、しりぞけられ給しに、仁明第二の御子にて、しかも賢才諸親王にすぐれましましければ、うたがいなき天命とこそみえ侍し」(現代語訳403ページ)と説明しているのがその例である。

 親房はこの場合「正理にかえる」ともいっているが、「正統」とはまさしくこのようなことなのであって、それは血統における嫡流の絶対ということではなく、有徳の皇族のなかに皇位が伝えられてゆくことにほかならない。

 それゆえ親房にとって天皇の地位は、人民が一指もふれえぬ絶対者ではなかった。むしろ、君徳がなければ人臣がこれを降位させるし、皇統の近い遠いにかかわらず、有徳の皇族を選び出して、これを皇位につけることさえ積極的に肯定されるのである。


 その点で、親房の考え方は儒教の放伐思想に近い面をもつといわなければならない。天子にして君徳がなければ追放されて当然としているのである。

 ただ、それが儒教思想と区別されるのは、皇位につく人が天照大神の子孫、すなわち天皇家一族に限られねばならないとしている点である。その点ではまことに日本的であるが、皇族の枠内では君徳を備えたものに皇位が伝わるのが妥当と考えているのである。

 親房の立場からすれば、神武以来、皇位は途中いくたびか傍流に移るが、それには皆いわれがあるのであって、結局はすべて「正路」「正統」であり、その結果が今日の後村上天皇に至っているのだといわねばならない。それを合理的に説明する尺度が君徳の有無であったのである。

 しかし親房が『神皇正統記』を書いた年、後村上天皇はまだ十二歳にすぎないのであって、君徳という視点だけからその正統を論証し、人々を説得することは甚だ困難であった。そこに親房の苦衷があるが、それを解決するために持ち出されたのが神器論にほかならない。

 三種の神器に関する記述は『神皇正統記』の随所に見られるが、親房によれば、鏡は正直、玉は慈悲、剣は知恵(決断)をあらわすものであり、それらは政道にたずさわる帝王のつねに備えるべき根源的な徳目であった。

 だから「正統」の天皇は当然神器を持たねばならず、神器なき天皇は「正統」と認めるわけにゆかない(日本の名著<9>慈円・北畠親房53~55ページ)。


 北畠親房が「正統」と認める天皇は、

1、神武天皇に連なる皇統に属すること
2、君主に相応しい徳を備えていること
3、三種の神器を保持していること

である。この三条件が満たされた時に親房のいう天皇の正統性が担保されるというのである。だから北畠親房の神皇正統記は皇位の傍系継承を否定していない。男系より直系が優先されるから直系であれば女系は容認されて構わないという高森勅明と小林よしのりの論理は神皇正統記には全く無い。

北畠親房―大日本は神国なり
北畠親房―大日本は神国なり (ミネルヴァ日本評伝選)
「日本人は自分の目でわかりやすい神皇正統記の現代語訳を読み朝敵の小林よしのりを討つべし!」

小林よしのり「ウソ・詐欺全集」を広く世間一般に知らしめるために、ブロガーへ執筆意欲を与える一日一押人気ブログランキングをクリック願います。
↓↓↓


<役に立つPR特集>
【関連する記事】
posted by 森羅万象の歴史家 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 所長が選ぶ名著と迷著の紹介 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック
左翼歴史学者が顔面蒼白次項有幻の名著!戦争と共産主義-大東亜戦争とスターリンの謀略の目次韓流を楽しくする朝鮮民族を読み解く7つの鍵古代史学者は韓国人のなりすましか継体新王朝説を斬る「歪められた日本神話」とんびがタカを生むスーパー日本人を育てる適才教育・戦後民主主義の終着点は家族の解体と日本国の滅亡-なぜマルクスレーニン教は地獄の門を開くのかバカげた舛添要一の女性女系天皇容認論ナチスを愛した沢田研二の窮状・日本の国益を破壊する朝から晩まで反日新聞の錯覚商法天照大神は男系(父系)の女神小林よしのりの欺瞞皇室典範の改悪と日本版「文化大革命」を促す
本当は怖い日本国憲法の話次項有福島瑞穂の政治生命を奪う悪魔の憲法問答・日本国憲法の性格を映す災害基本法-菅直人が嘲笑される理由・韓国の邪悪な野望を打ち砕くアダム・スミスを超える日本の社会思想家・韓国人を震え上がらせるための日本憲法学の密教諸君が愛してくれた日本国憲法は施行前に死んだ!なぜだ!?逆賊の憲法改正案に御用心憲法の本質を示す憲法改正の手続き神州不滅思想が妨害する真正の法力(憲法の非常事態対処能力)再生方策・神か人か天皇とは何か・恐るべき小沢一郎の憲法論日本がアブナイ!日本国憲法の改正が日本国の自殺になる理由・日本国憲法の追認を戒める昭和天皇のおほみうた昭和天皇と憲法改正-エセ民族派が行っている最悪の天皇利用旧宮家の皇室復帰意義は30年前の予言書が指摘する日本の最悪危機の克服・小泉内閣の大罪女系天皇は憲法違反
教科書が教えられない日本の近現代史次項有韓国が日本の皇室を侮辱する歴史的理由・在日パチンコに魂を売った朝敵歴代天皇を論外の男系カルトに貶めたギャグ漫画家堀栄三元参謀の情報戦記が触れない大本営の奥の院の所在と正体・軍紀厳正を誇った日本軍の強姦、韓国軍のレイプ、支那軍の洗城・ああ惜しかったふらふら大日本帝国唯一の勝機・あなたの知らない石原莞爾の対アメリカ政戦略吉田茂が現役復帰させた史上最悪の反日的日本人日本共産党の反日史観によれば志位和夫の祖父は慰安婦強制連行の実行犯・パル判決が語る朝鮮人慰安婦強制連行説の虚構浄土真宗親鸞原理主義者が隠蔽する本当は恐ろしい国家神道の正体日本経済を破壊する辛坊治郎の狂態・人間の屑集団マスゴミが隠蔽する南京大虐殺が法的に成立しない理由捏造と自虐の昭和史を打ち破る日本人に知られては困る歴史
日本人が元気になります!知らないと損する情報次項有・あなたの新聞定期購読は国民生活と国家経済の自殺経済失政はなぜ繰り返すのかインテル長友佑都が実践日本人の潜在能力を引き出すトレーニング方法読み書き運動が苦手なのには理由があった学ぶことが大好きになるビジョントレーニング人生の無駄遣いテレビの視聴を止めて実践すれば病み疲れた体を癒す力を呼び覚ます驚愕の気功法