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彼は「婦人参政権は男女平等を定める日本国憲法の賜物」と述べ、日本を民主化してくれたGHQにあつく感謝していた。拙者はこれを読んで「はぁ」と絶望の溜息をもらさざるを得なかった。
婦人に参政権を与える衆議院議員選挙法改正が公布されたのは昭和20年(1945)12月17日だから、日本の敗戦後に実現した婦人参政権は、昭和22年(1947)5月3日に施行された日本国憲法の賜物ではない。
また昭和20年10月11日、東久邇宮稔彦王に代わって内閣を組織した幣原喜重郎は、マッカーサーを表敬訪問した際、彼から、
「ポツダム宣言の実現に当たりては日本国民が数世紀に亙り隷属せしめられたる伝統的社会秩序は是正せらるるを要す。
右は、疑いもなく憲法の自由主義化を包含すべし。而して右により企図せられたる目的を達成する為、貴下が出来る限り速やかに左の如き日本の社会秩序の改革を実施せられんことを期待す。
1、選挙権付与による日本婦人の解放
2、労働組合の結成奨励
3、より自由なる教育を行う為の諸学校の開設
4、秘密検察及びその濫用に依り国民を不断の恐怖に曝し来りたるが如き諸制度の廃止
5、日本の経済機構を民主主義(デモクラシー)化すること」
という趣旨の要求を伝えられた。しかし幣原は、マッカーサーに対して「この程度の改革なら憲法改正は必要としますまい。第一項の婦人参政権はすでに政府として研究中のものであり、選挙法の改正でことは充分です」と反論し、帝国憲法の改正に極めて消極的な態度を示した。
日本政府はマッカーサーに要求される前から婦人参政権の実現に向けて準備を進めていた。だからGHQの占領作戦を体験した日本の高齢者と現在の女性たちが婦人参政権についてマッカーサーに感謝することは筋違いである。
では誰が婦人参政権の実現を決定したのかと言えば、それは東久邇宮稔彦王殿下である。
陸軍大将の東久邇宮稔彦王殿下は総理に就任した後、直ちに戦時統制を解除、我が国に各種の自由を復活させるとともに、昭和20年9月4日のラジオ演説の中で「選挙制度の大改革を行うにはまず選挙年齢を低下し婦人に参政権を与え、貴族院は廃止して、上院あるいは参議院とする」こと等の政治改革案を公表していた。
我が国はGHQに強制されるまでもなく、帝国憲法に基づきポツダム宣言第10条「日本国政府は、日本国国民の間に於けるデモクラシー的傾向の復活強化に対する一切の障礙を除去すべし。言論、宗教及思想の自由並に基本的人権の尊重は、確立せらるべし」の履行を着実に進めていたのである。
最近とみに反米感情を昂ぶらせている韓国人がマッカーサー銅像の撤去を訴えるデモを行い、韓国、アメリカ、日本で物議を醸したが、実は東京都八王子市の雲龍寺と厚木飛行場にもマッカーサー銅像があり、彼を「民主主義の父」と称賛している(はず)。これは多くの日本国民がGHQと日教組とマスゴミに洗脳されたことを示す象徴、証拠であり、まことに興味深い。
ポツダム宣言を受諾した後の日本に自由デモクラシーを復活させてくれた人物は東久邇宮稔彦王首相であり、東久邇宮殿下と同じ陸軍軍人でありながらポツダム宣言を蹂躙し帝国憲法下の自由デモクラシーを抹殺したダグラス・マッカーサーは、違法な軍国主義者(政治を支配する軍人)であり、本物の戦争犯罪人であった。しかしこの事実を知る日本人およびアメリカ人は、まだまだ少ない。
無念であります…。
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