2010年11月29日

三島由紀夫の憂国忌40年と大日本帝国憲法の施行120周年-緑風会の挫折

 所長が繰り返し主張しているように、日本国憲法(マッカーサー占領軍憲法)の規定する衆参両院からなる実質公選議院一院制の国会こそ日本国憲法の大欠陥である。この欠陥を是正しようとする運動が日本国憲法の制定から間もない時期に起きた。それは保守系無所属議員らが結成した緑風会である。

 1947年5月20日に第1回参議院本会議が召集されると、緑風会は92人に増大し参院の最大勢力となった。主な内訳は、旧華族を中心とした貴族院議員からのスライド組、官僚出身者、文化人などである。

 元貴族院勅選議員の山本有三の手による緑風会の結成趣旨は以下のようなものであった。

「第一院の独走を防ぐには、どうしても第二院が必要である。そのためには、第二院の議員は党派の利害にまきこまれない、公正な人でなければならない。参議院は、衆議院と一緒になって政争をこととするようであっては、第二院としての存在価値はなくなると思う。」

 緑風会の結成は、衆議院に対する貴族院の役割を参議院に継承させ、日本国憲法の運用を工夫して何とか日本国憲法の欠陥を是正しようとする試みであった。それは戦後日本の憲政において一定の役割を果たしてものの、緑風会は政党間の政争に巻き込まれ、1965年に消滅してしまった。それから5年後の1970年11月25日に三島由紀夫が同志を率いて自衛隊東部方面総監部を占拠し、自決したのである。

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 三島由紀夫は日本国憲法の制定が大日本帝国憲法第75条違反であることを指摘していたという(三島由紀夫と「憲法無効論」)。三島には、法学の素養と未来を予見する洞察力があり、公選議院の弊害に覆われた欠陥国会が、日本国憲法の改正あるいは日本国憲法の破棄あるいは大日本帝国憲法の復元を行うことは、もはや不可能であり、自衛隊という武力が日本民族の力を封印する日本国憲法というGHQ製監獄を破壊しなければ、「日本」がなくなってしまうという危惧と焦燥があったのではないか。

 所長は、前首相の鳩山由紀夫と現首相の菅直人のコントを見ていると、40年前に日本の滅亡を直感した三島由紀夫の憂国の至情に共感せざるを得ない。

 鳩山前首相が講演で「来年選挙かもしれない」「『1%でも辞めぬ』は首相の言葉ではない」(産経新聞) 

 鳩山由紀夫前首相は28日、茨城県守谷市などで講演し、仙谷由人官房長官らへの参院問責決議により厳しい政権運営を強いられるとの見通しを示し、「このままいくと来年選挙かもしれないという状況になりつつある」と述べ、菅直人首相が早期解散を決断する可能性を示唆した。

 その上で「私や小沢一郎民主党元代表も役割があればがんばりたい」と語り、鳩山、小沢両氏を要職に起用する「トロイカ体制」復活が挙党態勢構築には不可欠だとの考えを示した。

 また、首相が27日の鳩山氏との会談で「支持率が1%になっても辞めない」と語ったとの報道について、「首相が言ったのではない。友達から『1%になっても辞めるな』と激励されたという話を首相から聞いた」と説明、「私が首相のときに『0%になっても辞めないでくれ』と言ったのはあなたですよ」と激励したことも明かした。

 一方、実母からの偽装献金事件について「常識を欠いたファミリーだと言われればそうかもしれない」と釈明し、自らの退陣については「内閣改造前に私自身が改造されてしまった」と自嘲(じちょう)した。


 大日本帝国憲法の施行から120周年にあたる2010年11月29日、議会開設120年記念式典に御臨席された天皇陛下は次のような御言葉を述べられた。

 議会開設120年記念式典に臨み、皆さんと一堂に会することを誠に喜ばしく思います。わが国の議会は、明治23年、大日本帝国憲法の下で開会された第1回帝国議会に始まり、中断されることなく、戦後は、日本国憲法により設立された国会に引き継がれ、今日に至っています。この間、昭和21年に実施された帝国議会最後の総選挙において、初めて女性議員が選出され、また、新しい国会の開設に当たり、貴族院は廃され、参議院が設立されました。

 今や、第1回国会の召集以来63年がたち、国会の時代は、57年にわたった帝国議会の時代を超えるものとなりました。さまざまな時代を経たこの長い歳月を顧みるとき、議会が、わが国における議会政治の確立に努め、国の発展と国民生活の安定向上に力を尽くしてきたことに深い感慨を覚えます。

 現下の内外の諸情勢に思いを致すとき、国会が、国権の最高機関として、国の繁栄と世界の平和のため果たすべき責務は、いよいよ重きを加えていると思います。
 ここに、関係者一同が、先人の努力をしのぶとともに、決意を新たにして、国民の信頼と期待にこたえることを切に希望します。


 近現代日本の民主主義の起源は「五箇条の御誓文」と大日本帝国憲法である。我が国は帝国憲法のもとで普通選挙法の制定(1925~)、陪審制の施行(1928~1943)、婦人への参政権付与(1945~)を実現したのであって、婦人参政権付与は日本国憲法と無関係である。天皇陛下がそのことをさりげなく指摘されたのは、さすがと言わざるを得ない。

 しかし同時に大日本帝国憲法の施行日(1890年11月29日)ではなく、13もの無効理由(1907年ハーグ陸戦法規違反、ポツダム宣言違反、大日本帝国憲法違反)を抱える諸悪の元凶-日本国憲法の施行日(5月3日)が憲法記念日として祝日になっていることは、本当に悲しい。

 三島由紀夫の自決から40年の歳月が経っても、なお帝国憲法の違憲改正施行日(1947年5月3日)が祝日になっていることは、我が国が深刻な免疫拒絶症候群に罹患している瀕死の重病人である証拠であろう。



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posted by 森羅万象の歴史家 at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 本当は怖い憲法のはなし | 更新情報をチェックする
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