これは穏和なイギリス的立憲君主制を採用した憲法草案であった。しかし交詢社系の憲法私案は、明治14年当時の政府の主流を占める岩倉具視をはじめ諸参議には容認されなかった。
しかるに民間では交詢社系の憲法私案のごとき諸主張は、圧倒的に支配的であったばかりではなく、当時参議の主席を占めていた大隈重信は、交詢社系の憲法私案に等しい憲法意見を上奏し、断固として政党内閣制を基本とする立憲政体の即時導入を目論んだのである。大隈の上奏した建議はすべて、交詢社の矢野文雄が執筆したものであった。
これに対し岩倉具視は、我が国がイギリス的議会中心・政党内閣制を採用すべきではない理由を次のように論じた。
「更新以来王化未だ人心に浹洽(註、しょうこう-あまねく行き渡り潤すという意味)廃藩の挙怨望の気まさに政府に集まる今、もし俄か(にわか)に英国政党政府の法にならい、民言をもって政府を更替するの塗轍を踏むときは、今日国会を起して明日内閣を一変せんとするは鏡を懸けて視るに均し。
議者内閣更替の速なるは国の平安を扶ける所以なりという。予は議会の或いは英国の成蹟に心酔して我が国の事情を反照せざるものなるを疑うことを免れず。
立憲の大事まさに草創に属し未だ実際の徴験を経ず。その一時に急進して事後の悔を胎(のこ)し、或いは与えて後に奪うの不得已あらしめんよりは寧ろ普国にならい歩々漸進し、もって後日の余地を為すにしかずと信ずるなり。」
続けて岩倉は交詢社の憲法私案を次のように批判した。
「執政の進退を専ら天子に帰し及び連帯責任を免れしめんとするがごときも、また現今国憲を主唱する論者の説と相反対する者なり。
交詢社において起草せる私擬憲法第九条に『内閣宰相は協同一致し内外の政務を行い連帯して其の責に任ずべし』云々。第十二条に『首相は天皇衆庶の望に依て親しく之を選任し其の他の宰相は首相の推薦に依て之を命ずべし』第十三条に『内閣宰相たる者は元老議員若しくは国会議員に限るべし』第十七条に『内閣の意見立法両院の衆議と相符号せざるときは或は内閣宰相其職を辞し或は天皇の特権を以て国会院を解散するものとす』
以上各条の主意は、内閣執政をして連帯責任せしめ議院と合わさるときは輙ち(すなわち)其の職を辞し議員中衆望あるもの之に代わる所謂政党内閣新陳交替の説にして正に英国の模範にならうものなり。
因て惟う、今日急進の論は漸くに朝野の間に浸染し一時の風潮の勢、積重して昇り必ず最上極体に至て而止まんとす。
予の深く慮る所の者は、当局者或いは理論に心酔して深く各国の異同を究めず永遠の結果を思わずして徒に目前の新奇を悦び内閣の組織をもって衆議の左右する所に任せんと欲するあらば、一たび与えるの権利は流汗の再び回らずべからざるに同じ。ひとり国体を敗ることあるのみならず、其れ世の安寧国民の洪福を図るにおいて、また或いは将に空想臆想の外に出でて悔ゆとも追うべからざるに至らんとす。」
交詢社の憲法私案に対する岩倉具視の批判は、何やら平成の御世を暗黒時代にしてしまった戦後世代の日本政治を批判し、かつ民主党内閣が画策している数々の闇法案がとりかえしのつかない最悪の事態を招来することを予言しているようで、まことに鋭い指摘であるが、この岩倉の憲法論はすべて、井上毅が調査し執筆したものなのである(以上の典拠は憲法制定とロエスレル―日本憲法諸原案の起草経緯と其の根本精神100~148ページ)。
だから井上毅、伊藤博文、金子堅太郎、伊東巳代治ら4人が帝国憲法を起草した際に、交詢社の憲法私案を全く参考にしなかったとは考えられないのである。交詢社の憲法私案第一条と大日本帝国憲法第二条および第十七条を比較すれば、そのことが一目瞭然となる。
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<交詢社の藤田茂吉および箕浦勝人等によって執筆されたと推定される郵便報知新聞紙の私考憲法草案第一條とその注解であ(カッコ内は交詢社の私擬憲法案の條文)>
第一條註解
第一條 皇帝は万機を主宰し宰相並に左右両院に依りて国を治む政務の責は一切宰相に帰す
(第一條 天皇は宰相並に元老院国会院の立法両院に依て国を統治す 第二條 天皇は神聖にして犯すべからざるものとす政務の責は宰相之に当る)
皇統一系万世無窮天地と悠久なるは我日本建国の大本にして敢て臣下の議すべき所にあらず。また皇祚継承の事も皇太子もしく皇嫡女の践祚するは皇帝の特旨に由るといえども古来より慣例ありて皇嗣は自ら御男子と定まりしことなり。
これらは憲法の明文に掲げざるも臣子たるもの固より不文の大典を奉じ敢えて渝ることなきは亦天地と悠久なるべき筈なるをもって余輩の私考に拠れば、皇祚及皇嗣云々を憲法の明文に掲ぐるは故らに尊厳に触るる恐れなきにあらざるをもって敢てこれを記せず。且つそれ憲法を定立するは即ち益々皇室の基礎を鞏固にし国家の安寧を保持するの主意に外ならざるをもって故らに皇祚皇嗣の箇條を明文に記せざるを是とす。
これ余輩が巻首に皇帝陛下の特徴を記載し不文の大典すでに固定し千古に渉りて明々白々たる皇統皇嗣のことを書かざる所以なり。
近来英人が自国の憲法を記したる書冊中には往々帝室の瑣々たる事項を記しあれども、英国は憲法すでに定立せること久し故に、今日その国憲を記すものは唯現時に行わるる実事を掲記するものなれば、我国のごとく未だ立憲の制あらざるにおいて其の参考案を立てるもの之を見て直ちに明文に掲ぐると否との区別を定むべからずを信ずるなり。
皇帝は万機を主催したまうといえども政務の責に任じたまわざる所以は、皇帝は神聖にして犯すべからざるものなるが故に総べて宰相の責任に帰するものなりとす。
<大日本帝国憲法義解第二條および第十七條解説>
第二條 皇位は皇室典範の定むる所に依り皇男子孫之を継承す
恭て(つつしみて)按ずる(註、調査するという意味)に、皇位の継承は祖宗以来既に明訓あり。もって皇子孫に伝え、万世易うること無し。若しそれ継承の順位に至りては、新に勅定する所の皇室典範において之を詳明にし、もって皇室の家法とし、更に憲法の條章に之を掲ぐることを用いざるは、将来に臣民の干渉を容れざることを示すなり。
皇男子孫とは祖宗の皇統における男系の男子を謂う。この文皇室典範第一條と詳略相形(あら)わす。
第十七條 摂政を置くは皇室典範の定むる所に依る 摂政は天皇の名に於て大権を行う。
摂政を置くは皇室の家法に依る。摂政にして王者の大権を総攬するは事国権に係る。故に、後者は之を憲法に掲げ、前者は皇室典範の定むる所に依る。
蓋し摂政を置くの当否を定むるは専ら皇室に属すべくして、而して臣民の容議する所に非ず。そもそも天子違予の事ありて政治を親らすること能わざるは稀に見る所の変局にして、而して国家動乱の機また往々この時に伏す。
彼の或国(註、プロイセン)において両院を召集し両院合会して摂政を設くるの必要を議決することを憲法に掲ぐるごときは、皇室の大事をもって民議の多数に委ね、皇統の尊厳を干涜(註、かんとく-犯し汚すという意味)するの漸(註、ぜん-徐々に進行する物事のきざし、兆候という意味)を啓く者に近し。
本條摂政を置くの要件を皇室典範に譲り之を憲法に載せざるは、蓋し専ら国体を重んじ、微を防ぎ、漸を慎むなり。
明治の自由民権運動を代表した交詢社系の憲法私案と、大日本帝国憲法が、皇統の尊厳を護るために、皇室自律主義(皇室の自治)を採り、皇室の家法を憲法の條章より除外して、皇室の家法に対する臣民の干渉を許さなかったとすれば、それを許す日本国憲法(マッカーサー占領軍憲法)第二条は、まさに「皇室の大事をもって民議の多数に委ね、皇統の尊厳を干涜(註、かんとく-犯し汚すという意味)する」条項と言わずして何と言うのか。
日本国憲法第2条 皇位は世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
この日本国憲法第2条があるかぎり、公選議院の弊害に覆い尽くされた感のある衆参両院の国会議員たち、未だに皇室の廃絶を諦めていない反日左翼議員、日本国の利益を犠牲にして中国・韓国・北朝鮮に奉仕する成りすましの反日売国議員、今だに朝鮮式語呂合わせのトンデモナイ史観である騎馬民族征服説を信じている小沢一郎のごとき朝敵が、皇室の家法である皇室典範に容喙し、皇位継承資格や皇位継承順位を左右し得るのである。
また公選議員はマスコミによって煽動操作される世論に従わざるを得ないから、議員および政党を通じて、朝日新聞社のごとき報道犯罪社やパチンコの傀儡と化しているテレビマスコミ、皇室の伝統を知らず女帝と女系を区別できない盲目的な大衆世論、高齢の今上陛下の御体調を気遣うことなく倣岸不遜に天皇を私的利用した小沢一郎のごとき逆臣が愛人稼業に勤しむ淫乱の青木愛ら小沢チルドレンと一緒に民主党の数をたのんで皇室典範に干渉し、典範を改悪し得るのである。
日本国憲法第2条は、皇室に敬意を払う土着の日本人の発想にあらず、まさに日本国憲法がGHQ製である証しにして、皇室の廃絶を狙い皇室の財産を国庫に召し上げ11宮家を皇籍より離脱させたGHQ民政局のニューディーラー(アメリカの共産主義者)の呪いなのである。
せめてこの呪いの効果を緩和するために、国会議員には、皇室の伝統に従い皇族方の御意見を最大限に汲み取り、皇室典範の改正議論に臨んでほしいが、小泉純一郎、谷垣禎一、小沢一郎のごとき朝敵は、もの言えぬ天皇皇后両陛下に代わり三笠宮寛仁親王殿下が旧宮家の皇族復帰を御希望されていることさえ平然と無視し、皇室の伝統を踏み躙ろうとする。
彼奴ら非礼きまわりない朝敵逆臣どもを跳梁跋扈させている者は、我々有権者に他ならない。だから所長は有権者の一人として、皇室の原状回復が達成されるまで、すなわち旧宮家の方々が皇族に復帰し皇室の自治が復活するまで、井上毅が成文化した皇室の伝統に則り皇室典範の改悪に反対し続ける。このこと自体が皇室の家法に対する臣民の干渉であるから、まことに心苦しいが止むを得ない。
皇室の「古来より慣例」と「不文の大典」を奉じた明治の自由民権派は、皇室の尊厳を貴重し、国家の利益を重んじ、法(伝統的根本的慣習法)の支配を理解していた。彼等は明治政府の指導者より万事に急進的であったとはいえ、現在の国会議員よりよほど文明人であった。
<現在の日本政府は頼りにならない!我々有権者が人殺しの大好きな疫病神の中国人と日本人を打ったらハマるパチンコの罠に陥れている貧乏神の南北朝鮮人から日本の女性と子供を守るしかない!>
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