しかしこの効果と状態は多分に机上の空論の産物という謗りを免れない。君主国が一たび議会制デモクラシーを採用すると、君主は議会に対して拒否権を行使し難くなるようである。イギリスでは1707年にアン女王がスコットランド民兵法案を拒否して以来、国王が拒否権を発動した例はなく、帝国憲法下の我が国では天皇の拒否権不行使が慣例化していた。
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しからば君主の拒否権の代わりに如何なる措置が、法律承認権と国政全般を支配する予算承認権という強大な権限を持つ議会を抑制し、統治機構のあいだの権力均衡分立状態を作り出すのか。伊藤博文の座右の書アメリカ合州国憲法の解釈書ザ・フェデラリストは次のようなヒントを読者に与えている。
しかし、政府各部門に、自衛のための同等な力を与えるということは不可能である。共和政府にあっては、立法部の権能は必然的に優位に立つことになる。そこで、この不都合を修正するために、立法議会を二つの議院に分割することが必要である。
そして、異なった選挙方法や、異なった運営原理をもって、この両院をして、その(立法機関としての)共通の機能や、ともに社会に依存しているという性格の許す限り、できるだけ相互に関係のないようにしておく必要がある。
しかしそれだけなく、さらに慎重な警戒的措置によって立法部による危険な権力侵害に対抗する必要があるかもしれない。立法部はその強力さのゆえに前述したように二院に分割する必要があるとすれば、行政部はその脆弱のゆえに強化する必要がある。その点、議会に対する絶対的な拒否権は、一見、行政部にとり、立法部に対して身を守るごく自然の防御装置のごとく見えよう。
しかし、実はそれをもってしても、おそらく全く安全ともいえず、またそれだけで十分ともいえないであろう。というのは、通常の場合には、拒否権は必要とされるだけの頑固さをもって行使されないかもしれないし、また逆に異常事態の場合には、拒否権は信頼を裏切って悪用されるかもしれない。
この絶対的な拒否権のもつ欠陥を、弱い部門(行政)と、強い部門(立法部)の弱いほうの議院との間に、一定の関係を持たせることによって補うことはできないであろうか。そうすれば、立法部の一院は、立法部自体の権利をあまり捨てることなくして、行政部の憲法上の権利を支持することができるようになるであろう(ザ・フェデラリスト241ページ)。
ザ・フェデラリスト第51篇「抑制均衡の理論」が提案する立法部(議会)による危険な権力侵害に対抗するための慎重な警戒的措置を念頭に置いて、伊藤博文が憲法義解稿本に挙げた貴族の素質第一「王室に密邇(註、みつじ-間近く接するという意味、邇は近)し上流の位地に居る」を読むと、帝国憲法第34条の規定する貴族院の構成分子として皇族と華族が存在するいる意義が明らかになる。
すなわち天皇に密邇する皇族および華族が帝国議会の貴族院に加わり、貴族院がいわば天皇の名代となって、衆議院が可決する危険な衆愚法案を否決する等、天皇が議会に対して拒否権を行使しなければならない非常事態の発生を未然に防ぎ、議会の権限を減らさずに、立法部による危険な権力侵害を自己抑制しようというのである。
繰り返し強調するが、議会の分割方法に関して、自由民権運動を代表する交詢社系憲法私案、大日本帝国憲法、日本国憲法を比較すると、帝国憲法がアメリカ合州国憲法の解説書ザ・フェデラリストに最も忠実で、マッカーサーらGHQが我が国に押し付けた日本国憲法はフェデラリストに背反しているのである。
マッカーサーの命令により日本国憲法案を起草したGHQ民政局員は「米国籍であったが英米系の法思想から逸脱していた、アメリカニズムではなくアメリカン・コミュニズムの人々」(正統の哲学異端の思想)だったからであり、議会二院制の意義すら知らなかった無知蒙昧な軍人だったからである。
それを如実に示している日本国憲法の規定が衆議院の優越(第59条~第61条)である。もし現在の国会が衆議院と貴族院からなる二院制であれば、あるいは参議院がGHQに潰された職能代表制を採っていれば、衆議院の優越は、その善悪は別にしても、公選議院の選挙によって示された民意を優先し重視するということであろう。
しかるに日本国憲法の規定する国会は、衆参両院いずれも公選議院である。衆議院に属する政党が参議院にまたがって存在しているのに、日本国憲法第59条2項「衆議院で可決し、参議院でこれを異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる」が規定する衆議院の優越は、いったい何を優先し重視しているのか、三分の二以上という数字は何を意味しているのか不明瞭である。
日本国憲法を考える(西修著)によれば、日本国憲法第59条はアメリカ合州国大統領の法案拒否権規定の劣化コピーであった。アメリカでは、大統領は法律案の提出権を持たないが、上下両院を通過した法律案に拒否権を発動することができる。しかし上下両院はそれぞれ三分の二以上の多数をもって法律案を再可決すれば、大統領の拒否を覆し法律案を正式の法律とすることができるのである。
下院および上院を通過したすべての法律案は、法律となるに先立ち、合州国大統領に送付されることを要する。大統領はこれを可とすれば、これに署名する。否とすれば、これに拒否理由をそえて、これを発議した議院に還付する。
その議院は、その拒否理由の全部を議事録に記録し、法律案を再議に付する。再議の結果、その議院が三分の二の多数をもって、その法律案の通過を可決したときは、法律案は大統領の拒否理由書とともに他の議院に回付され、他の議院でも同様に再議に付される。
そして再び三分の二の多数をもって可決された場合には、その法律案は法律となる。すべてこれらの場合に両議院における表決は、指名による賛否の表明によってなされ、法律案に対し賛否の投票をなす人々の氏名は、それぞれの議院の議事録に記載されるものとする。
もし大統領が法律案の送付を受けてから十日以内(日曜日を除く)にこれを還付しないときは、その法律案は署名を得た場合と同様に法律となる。ただし、連邦議会の閉会により法律案を還付することができない場合は法律とならない。
すべて両議院の同意を必要とする命令、決議もしくは表決(休会の決議をのぞく)は、これを合州国大統領に送付する。その効力を生ずるためには、大統領の承認を得ることを要する。もし大統領の承認のない場合には、上院および下院の三分の二の多数により、法律案の場合と同様の規則および制限に従って、再び可決されることを要する(ザ・フェデラリスト付録アメリカ合州国憲法案)。
ザ・フェデラリストの著者の一人であったアレグザンダー・ハミルトンはウイリアム・ブラックストンの「英法釈義」から大きな影響を受けており(アレグザンダー・ハミルトン伝アメリカを近代国家につくり上げた天才政治家)、アメリカ大統領はいわばイギリス国王の代替人であるから、日本国憲法下において国家元首である天皇が立憲君主として行政権と立法機関の国会に対する拒否権を持ち(内閣は天皇の行政大権を輔弼する機関となる)、衆貴もしくは衆参の両院は、それぞれ三分の二以上の多数をもって、天皇に拒否された法律案を再可決すれば、天皇の拒否を覆し、天皇の裁可を経ることなく法律案を正式の法律とすることができるというなら、日本国憲法は、アメリカ大統領と上下両院のアメリカ議会との間で意見の不一致が生じた際の解決方法を、天皇に拒否された法律案を国会が法律として成立させるための規定として採用したイギリス系の憲法と言えただろう。
それは帝国憲法に比べて議会の権限を強化する代わりに、播磨風土記にある第十五代応神天皇の大法山(おおのりやま)の故事から復元された法律王命主義(帝国憲法第六条-天長節に思う応神天皇の遺業と日本の国柄)を否定し、「日本らしさ」を捨てるものであるが。
しかるにGHQ民政局は、ザ・フェデラリストに背反して、日本の国会を衆参両院からなる実質公選一院制にしてしまったばかりか、アメリカ大統領と上下両院のアメリカ議会との間で意見の不一致が生じた際の解決方法を衆議院と参議院の関係規定に無理やり捻じ込んだものだから、日本の国会は極めて歪(いびつ)で不合理な欠陥品となってしまったのである(ねじれ国会を克服する正道と三橋貴明さんへエール)。
本来ならば、我が国は上下朝野一致団結してデタラメな日本国憲法とこれを押し付けたGHQを徹底糾弾し、日本国憲法の無効破棄と帝国憲法の復元改正に必要な措置を講じるべきだろうに、日本国憲法13の無効理由を隠蔽する占領憲法有効論が我が国を覆い尽くしてしまい、各政党は、立法権の完全掌握のために或いはそれの絶対阻止のために、参議院に知名度の高いタレントやスポーツ選手を擁立したり、衆議院の三分の二議席を獲得するための離合集散を繰り返したり、ひたすらマッカーサーの命令-日本国憲法に従い不毛な政争に明け暮れている。
日本の若者が、極左の死刑囚を保守主義者に転向させた正統の哲学をもって心身のアカをさっぱりと洗い流し、アカにまみれた臭い元全共闘の政治家とは桁違いの志操と見識を身につけても、ひとたび政界に足を踏み入れれば、自動的にマッカーサーの手のひらの上で狂い踊るアホウとならざるを得ないのだから、我が国は救い様がない。
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