高橋(亮人)には次第に分かってきた。新聞・マスコミは、「真実を報道する」といわれ、信じられている。しかし、正しくは、「真実の一部を脚色し、報道する」のである。
シェアを拡大するためには、ゴシップを自ら作ることも厭わない。大衆はゴシップが大好きなのである。ゴシップになれば、よく売れる。
常温核融合は、エセ科学ではないかとロチェスター大教授のホイジンガー(ERABの調査委員長だった)が、著者「常温核融合の真実」に書いた。幻想を信じるエセ科学者たちが、ありもしない夢を追っている。大予算を消費する高温熱核融合研究と対比して書けば、面白いゴシップ記事が出来る。マスコミの動きの本質は、このあたりにあったと高橋は今でも信じている。
「マスコミの良心」を過信してはいけない。有名なピュリツァーは、ゴシップを作り上げることで大成功した。しかし彼は、マスコミの良心、すなわち「真実の報道」で浄化されるプロセスの必要性を痛感して、ピュリツァー賞を真実報道の記者に与えることを考えたと言われる。
1992年、名古屋の第3回常温核融合国際会議での、NHKのやり口は、ヤラセのゴシップ作りを通り越した、モラルのないものだった。
抗議すると、「そのような発言が録音に残っているから真実だ」という。
確かにその発言はしたのである。しかし報道されずカットされた発言を総合すれば、180度違った結論の意見になる。マスコミは、あらかじめシナリオを作っておき、シナリオに合致する発言の部分をつなぎ合わせて、記事を作り報道する。真実を捻じ曲げるのは御手の物である。官営テレビだからとNHKを信じていると、とんでもない落とし穴にハマる(常温核融合―研究者たちの苦闘と成果119~120ページ)。
だから殆どのマスコミは常温核融合研究の著しい進展を決して報道しない。報道すると、常温核融合研究を誹謗した自らの過去の誤ちを視聴者に伝えることになり、信用を失うからである。
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常温核融合-研究者たちの苦闘の成果(水野忠彦著/工学社/2005年5月初版発行)の目次
はじめに
1章「常温核融合」の始まり(1989年3月)
研究スタートの問題点1989年
原子力1967年
おかしな発熱1978年
不思議なガンマ線の検出1981年
常温核融合の追試実験1989年
中性子の測定1989年
初の追試実験、地下室での中性子測定1989年
混沌1989年
北大工学部の対応1989年
中性子検出1989年
中性子検出の発表
学会の対応1989年
閉鎖セル1989年10月
2章試行錯誤
阪大、高橋1989年
追試フィーバー1989年
中性子の検出1989年
NTTの山口、中性子を確認1989年
山口、常温核融合を知る1989年
山口、試料の異常発熱1989年
岩手大学、山田の常温核融合研究1989年
山田の独自な放電法
苦労と意思
東工大、沼田と常温核融合1989年
沼田、研究の始まり
名大、鎌田の取り組み1989年
静岡大学、小島のスタート1989年
科学する心の芽生え
第1回常温核融合国際会議(ソルトレークシティ・米)1990年3月
水野の閉鎖セル1990年6月
水野の閉鎖セルから異常発熱1991年3月
第2回常温核融合国際会議(モナコ・モナコ公国)1991年5月
水野、閉鎖セルからのトリチウム発生1992年2月
高橋とマスコミ1992年
高橋とセルからの過剰熱1992年
岩村と常温核融合への取り組み1992年
第3回常温核融合国際会議(名古屋・日本)1992年10月
水野の固体電解質による実験1992年5月
プロトン導電体
3章ついに実現した制御可能な核変換
三菱重工、岩村のスタート1989年
岩村の本格的な参入1993年
日本の新水素エネルギーの取り組み1995年
岩村、独自の重水素透過制御法1996年
日本常温核融合会議の設立、山田の強い意視力1997年
水野、固体電解質からの異常発熱1993年6月
第4回常温核融合国際会議(ハワイマウイ島・米)1993年12月
水野とオリアニの共同研究1994年
固体電解質からの反応生成物1994年5月
大森、電極に使った後の金属の表面1995年11月
第6回常温核融合国際会議(北海道・日本)1996年10月
反応生成物とその発生機構1996年
第7回常温核融合国際会議(バンクーバー・加)1998年4月
第8回常温核融合国際会議(リレーチ・伊)2000年5月
第9回常温核融合国際会議(北京・中国)2002年5月
第10回常温核融合国際会議(ボストン・米)2003年8月
4章ここまで解明された反応機構
種々の常温核融合実験
常温核融合反応とは
制御可能な核変換
アーサー・C・クラークの予言2001年1月
バブル核融合2002年
5章着実に進む常温核融合研究
凝集体核科学国際学会の発足2004年3月
第11回常温核融合国際会議(マルセイユ・仏)2004年11月
岩村の研究が日経新聞に2004年12月
コラム事故
コラム常温核融合研究者
常温核融合研究は大いに進展し、ついに制御可能な核変換を実現した。
16年前の常温核融合現象の発見以降、異常発熱反応や通常の学説では説明不可能な現象を確認した研究者がいた。彼らは世間や学会主流派の否定と、多くの差別を受けながらも、諦めることなく、常温核融合研究を続けてきた。
従来の常温核融合研究で最大の難点は、再現性の悪さだ。そのため、病的科学と呼ばれた。しかし、多くの研究者の地道な努力で、その再現性は着実に向上してきた。
最も再現性が高いのは、三菱重工業が研究している方法である。パラジウム膜間に酸化カルシウムをはさんだ素子を用いて、100%の再現性で核変換反応を起こすことができる。
この素子の表面には、変換させたい反応元素を付着する。重水素ガスを透過すると、表面の元素が他の元素に変換される。同時に、エックス線がバースト的に発生する。
この場合、電極表面の反応元素が、より重い元素に変化する。質量は8増加し、原子番号は4大きくなる。反応後の元素の同位体分布は、初めの元素と同じ形をしている。この反応は再現性が100%である。すでにJJAP誌(英文の日本応用物理学会誌)に論文として発表された。
核変換は、その精度、再現性、理論的背景の完全さから、すでに実用化への道を進んでいる。これは、もし実用となれば、多くの廃棄物や、放射性物質の処理に道を開くものとなり、その発展性は大きいものがある。
この分野では当初から日本が大きくリードしており、固体内核反応研究会の役割の正しさが証明された例である。
しかしながら常温核融合研究に対する偏見と差別は今だに根強い。
日本の現状
常温核融合研究は大きく進み、論文も次々と発表されている。特に米国での論文や報告書、さらには核変換反応に関する論文の内容は、従来の科学を変える可能性を持つ重要なものだ。しかし、残念ながら、日本のマスコミや学会に取り上げられることはない。
大学の先生でも常温核融合にかかわる認識は、1989年当時からまったく変わらない。
これはその後の常温核融合の進展を知らないためなのだが、常温核融合の研究者のほとんどがイヤな思いをしているはずだ。
「彼は常温核融合の研究をしている。あの研究は詐欺のようなものだから、彼とは付き合わないほうがいい」
こういった話は、本人に直接くるのではなく、常温核融合研究者の親しい友人に対して行われてくる。それも、相当しつこく繰り返し行われてきた。
こうなると、いかに親しい友人であっても、だんだん関係がおかしくなっていき、そうするうちに完全に疎遠になってしまって、研究その他で多くの問題が出てくる。
我々は、日本で「固体内核反応研究会」(JFC)を設立した。毎年ミーティングを開き、研究発表をし、研究者相互の情報を密に交換して研究を進展している。
ほとんどの研究者は、研究資金として、基本的に自分のポケットマネーを使っている。中には今まで4000万円使った研究者もいる。企業と財団の資金を得られているものでも15年間で各2000万円程度である。
資金は毎年500万円は必要なのだが、ほとんどの研究者は半分は自己資金である(常温核融合―研究者たちの苦闘と成果245ページ)。
日本政府が科学分野のノーベル受賞者を増やしたければ、従来の科学-既成概念を覆す可能性を秘めた異端の科学者-迫害に耐え苦闘の末に凝集核融合のメカニズムを追究し確実に成果を上げている物理化学の科学者たちに資金援助すべきであると思う方は、ブロガーに執筆意欲を与える1日1押人気ブログランキングをクリック願います。
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