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ネオ・ジオン軍残党「袖付き」を率いたシャアの亡霊フル・フロンタル大佐はバナージ・リンクスに次のように語った。
「かつてジオン・ダイクンは、宇宙に出た人は革新し得ると言った。環境に適応して進化した新たな人のかたち…ニュータイプ。余剰人口を宇宙に追放して、地球に居残った特権階級者たちにとって、この考え方は自分たちの立場を覆すものに思えた。だからジオニズムと、その発祥の地となったサイド3を弾圧した。君の言う発明や発見が世界のバランスを崩した。これもひとつの事例だ。
やがてジオンは暗殺され、ザビ家一党がジオン公国を立ち上げた。連邦政府の弾圧に対して、彼らは武力で応じた。モビルスーツやコロニー落としという発明が、ジオン公国に連邦と敵するだけの力を与えた結果だ。人類は総人口の半数を失ったが、これはジオニズムを選民思想にすり替えたギレン・ザビが、意図的に人減らしをやったせいだとする見方もある。
ジオンの暗殺も、いまではザビ家が企てたことだと知られている。根底にそのような後ろめたさを持ったジオン公国は、一年にわたる戦争の後に負けた。しかしそれで連邦政府は増長をして、地球中心政策をますます推し進めるようになった。
いったん宇宙に上がらされた者は、政府の許可がない限り二度と地球の土は踏めない。サイドごとの自治が認められてはいても、首長の任命権は中央政府に独占されている。その上、中央政府の選挙権も与えられないというのでは、スペースノイドは参政権を剥奪されたも同然だ。
地球は戦後復興の名目で再開発が進み、宇宙で生産される資源や食糧が二十億あまりの地球居住者を養っている。地球の自然を回復させるために移民させられた百億のスペースノイドが、いまや地球の破壊に手を貸しているというわけだ」
しかしUC0105年にはスペースノイドは中央政府の選挙権を持っていたようである。機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ下13~19ページには次のように書かれている。
『ああいう世間を知らん連中が、法律をつくるというのが許せねぇ…』
ケネスは、つくづく、世襲制におちいった閣僚たちの存在が厭になった。後部シートにのこしておいた乗馬用の鞭を手にすると、ビシッと自分の掌をうった。
『スペースノイドは、自分たちの地盤に利益導入をしてくれる候補者を選ぶから、こういうことになるんだ。外のことをみていねぇ…』
絶対民主政治を支える多数決制度の面倒さと危険な面が露呈したのが、現在の連邦政府の制度なのである。
「まったくよ…マフティーに、寝返るか?」
地球連邦軍キルケー部隊司令のケネス大佐が吐き捨てた「こういうことになるんだ」とは、地球連邦政府要人の暗殺を重ねた反地球連邦秘密結社マフティーナビーユ・エリンの宣戦布告が暴露した事態のことを指している。
「自分が、マフティ・ナビーユ・エリンであります。きょうまで、自分を中心とした組織が、地球においでになった連邦政府の閣僚たちを粛正してまいりました。そして、そのたびに、なぜこんな暗殺団まがいのことをしてきたかを、説明してきました。それについては、かなりの世論の支持を得ていることは、連邦政府の関係者もご存知のはずです。にもかかわらず、連邦政府は反省の色もみせずに、ここアデレードでは、さらに、地球汚染を再開するような法案の成立をもくろんでいます。
本格的な閣議は、明日からはじまり、マフティー掃討のためには、どのような支援も行われるであろうという合意がなされます。しかし、それは、連邦政府の関心がわれわれに向けられているという程度の問題でしかありませんから、それについて糾弾いたしません。テロは、あらゆるケースであろうとも、許されるものではないからです。
我々はマフティーの名前のもとで、クスィーガンダムとともに、連邦政府と戦うのは、組織におぼれた人々を粛正する目的があるからです。これが、理想の戦いでないのは知っているのですが、宇宙移民法にあるとおり、すべての人々が宇宙に出なければ、地球は、ほんとうに浄化されることはありません。現在、人類は、宇宙で平等に暮らしていけるのです。オエンベリでは、地球に不法居住しようとする人々が、軍を組織しようとした非はあります。しかし、それを力ずくで排除したのは、幾多の種を絶滅させた旧世紀人のやり方と同じではないでしょうか?
問題は、新しい差別を発生させて、連邦政府にしたがう者のみが、正義であるという一方的なインテリジェンスなのです。
今回のアデレード会議が、この連邦政府の差別意識を合法化するための会議であることは、どれだけの方がご存知でしょうか?アデレード会議二日目の議題のなかに、地球保全地区についての連邦政府調査権の修正という議案がありますが、これはとんでもない悪法なのです。
この第二十三条の追加項目にある文章は、官僚の作文なので意訳しますが、たとえば、連邦政府からの要請があれば、オーストラリア大陸に土地を所有している方々からも、任意にそれらの土地を提供しなければならないことになります。もちろん、正規の居住許可をもっていらっしゃる方からでも、土地を取り上げることができます。代償は収容する土地と同じ面積の土地を所有者の指定するスペース・コロニーに請求することができるというものです。
これらの法案が、アデレードで可決されれば、地球の自然が復活する芽も摘み取ることになります。それでは人類が苦難を乗り越えてスペースコロニーに移住した意味がなくなるのです。考えてみてください。特権階級の数万の人々が、地球に戻りたいための法案が可決されれば、地球にもどる人々が、数十倍になることは簡単なことなのです。
もう一度、思い出してください。旧世紀の最後の一世紀だけで急増した人類が、地球そのものにも、瀕死の重傷をおわせたのです。しかも、スペース・コロニー移民がはじまって一世紀もたっていない現在、地球の海は、まだまだ化学薬品が残留しているのです。雨にも、まだ化学物質が混入したままなのです。
まして、植物と小さい生命たちの命は、じゅうぶんに復活していません。それは何を意味するか?そうです。地球には、まだ人類はもどってはならないということです。なのに地球連邦政府は、人類が地球に戻れる準備をはじめて、その前に、自分たちの既得権を手に入れようとしているのです。それが、このアデレードで行われようとしている会議の真相なのです」
また機動戦士ガンダムF91上29ページには、「マイッツァーの兄のエンゲイストは、地球連邦政府の中央議員をつとめ、一度は中央議会の閣僚もやった手堅い政治家として、その名前を知られていた。選挙本部はサイド2にあるものの、地球連邦政府の中央議員の選挙区は、全コロニーを対象にした全区であるため、独自の活動基盤をもっていなければ、政界に出馬することなどはできなかった」と書かれている。
UC0096年にバナージ・リンクスとミネバ・ザビが決行したラプラスの箱-オリジナルの宇宙世紀憲章の公開は、連邦政府と連邦議会を揺り動かし、スペースノイドに連邦政府に対する参政権をもたらしたのであろう。
しかし全人類の宇宙移民と地球の聖域化は実現しなかった。それどころかスペースノイドが選んだはずの連邦政府の政治家たちが、人類を地球に戻し地球の汚染を再開する「地球帰還に関する特例」法案を作ったのである。なぜか。かつてホワイトベースの難民たちが地球帰還を望んだように、それが宇宙に強制移民させられた人々とその子孫の欲求であり本音であったからである。
ジオン・ダイクン、ジオン公国、エウーゴ、そしてシャア・アズナブルを支持したスペースノイドの大半の心情は、自分たちの欲求を認めない地球の特権階級に対する嫉妬と憎悪であって、それらは彼らに対する羨望の裏返しにすぎず、ジオン主義という理想への共感ではなかった。
だから多くのスペースノイドは参政権を獲得したとたん、本音を剥き出しにして、懇意の政治家を動かし、自分たちも地球に居住する特権を確保しようとしたのである。
デモクラシー(大衆参加政治)は大衆の欲望とエゴに奉仕する制度であり、地球連邦政府に対する参政権が宇宙の各サイドに拡大した結果、スペースノイドの欲望が地球圏を覆い、地球連邦政府の腐敗をさらに進め、地球帰還に関する特例法を生んでしまったのである。
バナージとミネバは、ラプラスの箱を開いてしまった自分たちの若さ故の過ちを悔やみ、
「人や世界に過分な可能性を期待するのは間違いだ。人は変わらない。学ぼうともしない。闇から生まれて闇に帰る、一瞬以下の光に過ぎない」
というフル・フロンタルの言葉をかみしめ、シャアの亡霊が語った人類への絶望感に包まれたに違いない。
そして宇宙と地球を往来し連邦政府とコロニー公社の腐敗を直視したジャンク屋ブッホの社長シャルンホルスト・ロナも宇宙空間に大量の廃棄物を垂れ流す人間の愚昧さに絶望し、その子孫であるマイッツァーロナとハウゼリー・ロナの父子は、「人類は限界を超えた」と語ったギレン・ザビの犯した大量虐殺を自然界にとっては正しかったことだと痛感するに至り、コスモ貴族主義を掲げて私兵組織「クロスボーン・バンガード」を結成し、過剰人口の掃討と人類の欲望を統制する社会の実現を目指したのである。
UC0123年以降の戦乱は、増えすぎた人類の存在そのものを地球圏を荒廃させる元凶害悪とみなし人口の徹底削減をもくろむ絶望派と、どこまでも人類の叡智を信じ人類の繁栄を維持しようとする希望派との抗争となり、富野版より遥かにガンダムらしい福井版月に繭地には果実―From called “∀”Gundamでは、ついに絶望派が勝利を収め、地球圏に築かれた宇宙世紀の文明を埋葬し、地球と月に僅かな人々を残して、人類の存在を外宇宙に広がる無限の闇の中に消散してしまった。
X(エックス)は反転(ターン)してもX、ターンXは永久不変の象徴である。ターンAに敗れたターンXは、人類の叡智を信じ文明の永続的な繁栄を願った希望派を代表するモビルスーツであり、その禍々しいシルエットと最期とは裏腹にアムロ・レイの遺志を継承するマシーンであった。
・科学がSFを超える日に備えてスペースコロニーのシミュレーション結果を分析している宇宙の騎士

「閃きが止まらなくなる脳視力トレーニングがニュータイプを育てるのだ!」
所長の主張は「民主制と貴族制の折衷こそ中庸を得た国家の統治制度だ」と閃いた方

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