【不戦条約と極東国際軍事裁判】
33、不戦条約の正当解釈
さて一九二四年のジュネーブ議定書が夭逝した後、列強各国の政治家たちは、改めて「戦争よりも合理的かつ有効な国際紛争を解決する手段」を国際社会に生み出す意欲を喪失してしまい、代わりに国際法学の墓場から正戦論という死骸を掘り起こし若干の修正を加えて不戦条約を作り出し、試みにこれを十九世紀とは様変わりした一九二八年に出現させたのである。しかし果たせるかな、たちまち不戦条約は、かつて正戦論が遭遇した困難に直面してしまい、ケロッグ長官は、不戦条約の調印を勧告された各国政府に宛てた一九二八年六月二十三日の覚書において、四月二十八日に彼が条約に施した自衛権の留保(除外)を明らかにした後、
「かかる事情の下に、予はここに貴政府の考慮をわずらわすため、上述した変更を含む戦争放棄に関する多辺的相互条約の草案を伝達するの光栄を有するものである。」
と述べざるを得なかった。
極東国際軍事裁判では、日本側弁護人の高柳賢三博士が、昭和二十二年二月二十四日第百六十六回公判に提出した「検察側の国際法論に対する弁護側の反駁」の中で、各国の指導的政治家の言明、特にアメリカ上院におけるケロッグ長官およびボラー上院議員の明瞭かつ疑いの余地を残さない条約案の説明に照らして、パリ不戦条約締約国の意思が次のようなものであったことを説き明かした(1)。
1、本条約は自衛行為を排除しないこと。
2、自衛は領土防衛に限られないこと。
3、自衛は、各国が自国の国防または国家に危険を及ぼす可能性あるごとき事態を防止するため、その必要と信じる処置をとる権利を包含すること。
4、自衛措置をとる国が、それが自衛なりや否やの問題の唯一の判定権者であること。
5、自衛の問題の決定はいかなる裁判所にも委ねられるべきでないこと。
6、いかなる国家も、他国の行為が自国に対する攻撃とならざるかぎり該行為に関する自衛問題の決定には関与すべからざること。
アメリカ政府の自衛権の解釈によれば、不戦条約は国家の自衛権の発動を容認し、戦争が自衛戦争か否かの決定権を戦争当事国に与えたのである。当時の国際社会には、平成の日本政府のごとく、「我が国の戦争は侵略戦争であり、周辺諸国に耐え難い苦痛を与えた国家犯罪であります」と公式に繰り返し宣言する、阿呆な売国政府は存在しない。従ってこの条約は事実上すべての戦争を容認したに等しい。戦争当事国の政府が「我が国は、自衛の為の武力行使に訴えざるを得ない情勢にあり、我々の戦争は自衛権の発動であり自衛戦争である」とさえ宣言すれば、自動的に戦争は自衛戦争となり、不戦条約によって容認されるからである。
つまり不戦条約は、ケロッグ国務長官から、表面上すべての戦争を禁止するかのごとき抽象的な条項(無差別平和観)と、事実上すべての戦争を適法の戦争として容認する具体的な解釈(無差別戦争観)を与えられた羊頭狗肉の条約であり、これも一九〇七年の開戦に関する条約と同じく看板に偽りを持つ条約なのである(2)。
極東国際軍事裁判所インド代表判事のラダビノッド・パル博士は、パル判決の中で不戦条約に関し、
「国際生活において、自衛戦は禁止されていないばかりでなく、また各国とも、『自衛権がどんな行為を包含するか、またいつそれが行使されるかを自ら判断する特権』を保持するというこの単一の事実は、本官の意見では、この条約を法の範疇から除外するに十分である。ケロッグ氏が声明したように、自衛権は関係国の主権下にある領土の防衛だけに限られていなかったのである。」
と結論づけたのである(3)。
一九四八年十一月二十九日、デイビッド・スミス弁護人、ジョン・ブラナン弁護人ら被告弁護側がアメリカ連邦最高裁判所に東京裁判の違法性を訴え、被告への人身保護令の適用を申し立てた。人身保護令とは米英の法制度で、違法な拘束に対する人身の自由の最高の法的救済措置である。申し立ては一旦受理されたものの、しかし十二月二十日になって連邦最高裁は、連合国の軍事法廷について審理する権限をアメリカの法廷は持たないという理由から「訴願受理の管轄権なし」として被告弁護側の訴願を却下し(4)、同年十二月二十三日、東条英機元首相ら七人のA級戦犯が絞首刑に処されてしまった。
この却下理由について同裁判所のウイリアム・ダグラス判事は、
「極東国際軍事裁判所は、裁判所の設立者から法を与えられたのであり、申立人の権利を国際法に基づいて審査できる自由かつ独立の裁判所ではなかった。それ故に、パル判事が述べたように、同裁判所は司法的な法廷ではなかった。それは政治権力の道具に過ぎなかった。」
と述べたのである(5)。つまり東京裁判は正式な裁判ではない以上、被告の再審請求は成立しないという意味である。
驚くべきことに、連合軍最高司令官マッカーサー元帥の命令によって開廷された東京裁判の合法性は、その閉廷直後に、日本と未だ講和条約を締結していなかったアメリカ合衆国の連邦最高裁判所によって完全否定されたのである!これは日本国民がすべからく知らなければならぬ歴史の真実である。
翌年には、国際法の権威であるイギリス枢密院顧問官のハンキー卿が「戦争裁判の錯誤」を著し、「裁判官パル氏の主張が、絶対に正しいことを私は全然疑わない」と明言し、イギリスではパル支持論が大勢を占めたのであった。
第二次世界大戦後、パル判決は米英以外の外国の碩学や国際法の泰斗によっても支持され、今や国際法の定説となった。
哀れ不戦条約は、これが制定された一九二八年から極東国際軍事裁判所の判決が下された一九四八年まで二十年の間、いわば生きる屍として国際社会を闊歩したものの、戦争の抑止にも平和の克復にも全く貢献できないまま国際法学の墓場に埋葬され、故の木阿弥となったのである。しかし事態はそれで済まなかった。この条約は人類に負の形見を遺したのである。あたかも肉牛の肉骨粉が家畜飼料に加工され、肉牛に与えられた結果、狂牛病が発生し世界各国の牛肉愛好者に厄災をもたらしたごとく、正戦論の死骸が不戦条約に加工され、戦争の廃止を求めて止まない第一次欧州大戦後の平和愛好諸国民に与えられた結果、人類の戦争観に大混乱が生じ、戦争はすべて国際紛争を解決する為の最終手段であり、戦争を消滅させ恒久平和を実現するには、戦争よりも合理的かつ有効な国際紛争を解決する手段を創造するか、もしくは国際紛争そのものを消滅させる以外にないという戦争と平和の関係の真実が見失われ、国際社会は或る深刻な問題を抱える羽目に陥ったのである。それは、不戦条約が厳格に解釈され、また同様に自衛権が厳格に解釈されると、武力攻撃や武力侵入を形成しない悪質な国際法違反行為を繰り返す無法国によって、法益を侵害され苦痛に喘ぐ被害国を救済するための手段が消滅してしまうということであった。
不戦条約上、被害国は、加害国に対して武力を行使して自己の救済を図ることは許されず、加害国と直接的に外交交渉を行うか、この国交断絶に至る虞れのある国際紛争を、仲裁裁判、司法的解決、連盟理事会の紛争審査のいずれかに付し、平和的に加害国の国際法違反行為を停止させ自国の法益の原状回復を図らなければいけない。ところが加害国はそれらの平和的手段を用いる解決を拒否することができるのである(26項の一九二四年ジュネーブ議定書を参照)。そうなると被害国は泣き寝入りを余儀なくされてしまうのである。
ガリュースは、不戦条約が国際社会の法的機構に改良を加えないでそのままにしておきながら、武力行使を全面的に禁止し、ただ正当防衛(自衛)の場合、すなわち攻撃を受ける国がこの攻撃に対して自国を守る場合の武力行使だけを認めようとしていることに対して、一九三〇年に次のような批判を加えた(6) 。
「このような法的状態から生ずべき結果は重大である。ある国が国際法を侵し、自分の結んだ条約を恣に破り、また国際慣習として確立していることの疑いない諸原則を足下に蹂躙したとしても、この国によって権利を侵され、その利益に重大な侵害を受けた国から、陸軍または海軍のいかなる武力行動をも加えられる恐れはない。この国の態度は、いかに傍若無人であるとはいえ、攻撃を構成しない。従って被害国へ武力に訴える権利を与えない。この権利は正当防衛の場合より外には与えられないからである。」
そしてガリュースが批判した当時の法的状態から、まさに彼が警告した通りの重大な結果が極東地域に出現していた。それは、革命外交を標榜した中華民国の無法な排日運動の激化と、これに法益を侵害された日本の国民感情の尖鋭化であった…。
(1)小堀【東京裁判日本の弁明】一七二頁。
(2)信夫【戦時国際法講義1】七〇二~七〇三頁。
(3)【パル判決上】三二六頁。
(4)富士信夫【私の見た東京裁判下】五二〇~五三一頁、「米大審院への訴願」
(5)佐藤【憲法九条・侵略戦争・東京裁判】九十四頁。
(6) 田岡【国際法上の自衛権】三〇三頁。
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