「本文でも触れたように、私は少年のころから日本神話を楽しんできましたが、それを楽しめなくさせるもろもろの理屈が、どうも嘘くさく感じられて仕方がありませんでした。もやもやしながら長い時をすごしてしまったのですが、そのうち大林太良先生や吉田敦彦先生の御著書、また本居宣長、デュメジル、エリアーデ、レヴィ・ストロースなどを読みふけることになって、気持ちもだんだん晴れてきました。」
所長も不死と性の神話(吉田敦彦著)を読み大いに納得できた。
・日本が誇る美少女フィギュア豊満な乳房を揺らす古代の王女も大地母神信仰の名残かもしれない

不死と性の神話(吉田敦彦著/青土社2004)の目次
第一章 不死の神話と洪水伝説「ギルガメシュ叙事詩」と『旧約聖書』
1 不死を求めたギルガメシュの冒険の旅
2 旧約聖書に物語られた、天地の始まりから大洪水とノアの箱舟までの話
3 真四角な箱の船に乗って大洪水から逃れたウトナビシュティムの話
第二章 性と豊穣の神話「ギルガメシュ叙事詩」と『旧約聖書』
1 エンキデゥとシャムハト
2 アダムとエヴァ
3 ギルガメシュとイシュタル
4 先史時代のヴィーナス像
5 洞窟壁画の表現するもの
6 ヴィーナス像の変化
7 ふたりの女神
8 豊穣をもたらす聖婚
9 旧約聖書の雅歌に歌われた聖婚
10 大地母神から竜へ
11 大地母神から娼婦へ
12 聖婚から人間の始祖の男女の結婚
第三章 三つの宝物がつなぐ東西の神話
1 スキュタイの三つの宝物
2 三つの宝と祭司・戦士・生産者の働き
3 日本神話の三種の神器
4 高句麗建国伝説の宝物
5 ケルト神話の宝物
第四章 母神信仰に見る神道の源流
1 縄文の土器
2 縄文中期のヴィーナス像
3 農耕(芋栽培)の始まり
4 記紀神話の中の縄文信仰
5 世界の作物起源神話
6 出産する女神
7 火の神の出現
8 記紀神話の中の縄文の女神たち
9 縄文の聖なる館
10 死と再生の祈り
第五章 海の恵みの神話
1 母神としてのヴィーナス像と縄文土偶
2 生命の源・水
3 水に始まる、世界のさまざまな創世神話
4 海から美の女神の誕生と文化の起源
5 海の女神たちとゼウス
6 海の助けで琉球の王になれた思金松兼の話
7 海からの奇跡の種子とスクナビコナ
8 オホタニヌシが繰り返し得た、海からの助け
9 山幸彦のホヲリが受けた海からの助け
10 ウガヤフキアヘズ・カムヤマトイハレビコ・ホノニニギに対する海の貢献
11 昔話に語られた海の力-日本
12 昔話に語られた海の力-ヨーロッパ
あとがきと注
今から3万5千年前ぐらい前に始まった後期旧石器時代に、現代人の祖先にあたる太古の人類は、動植物を生み育む大地そのものを母なる神と崇め、大地母神を実際に子を孕み生む妊娠中の女性に擬人化した。それが先史時代のヴィーナス像と呼ばれる女神像である。
この後期旧石器時代の大地母神信仰は新石器時代にも受け継がれ、人類の拡散とともに世界の各地に様々な女神を生み出した。
そのうちの一人がギルガメシュ叙事詩に登場するメソポタミア神話の女神イシュタル(イナンナ)であり、次の挙げる詩は、シュメール人の王様がイシュタルと結婚する祭りの際に歌われたものである。
女神「私のために、私の陰門を、私のために、うず高くもり上がった小丘を、私-処女である私のために、誰がそこを耕してくれるのでしょう?
私の陰門は水分で潤った土地―そこを私のために、私-女王である私のために、誰がそこに牡牛を放牧してくれるのでしょう?」
人々「おお気高い貴婦人よ、あなたのために王がそこを耕すでしょう。あなたのために、王であるドゥムジがそこを耕すでしょう。」
女神「私の愛する人よ、どうか私の陰門を耕して下さい!」
男性をタネ、女性をハタケというのは大地母神信仰の名残かもしれない。このギルガメシュ叙事詩のメソポタミア神話が旧約聖書に強い影響を与えたのである。
我が国では縄文時代の土偶の特徴が先史時代のヴィーナス像とぴったり一致しており、縄文時代の我が国にも大地母神信仰があった。そして女性に擬人化された縄文時代の女神たちが日本書紀と古事記の日本神話に受け継がれるのである。
神道の源流は大地母神信仰であり、我が国の神道は太古の人類の素朴な信仰の性格を色濃く受け継いでいるといえよう。これはおそらく我が国が日本神話に直結する皇室を戴く世界最古の王朝であることと無関係ではないだろう。だから11月23日の勤労感謝の日は、やはり天皇と日本国民が君民一体となって秋の収穫を神々に感謝する新嘗祭でなければならない。これが日本の国柄に相応しい祭日である。
もういいかげん日本人がGHQの尻馬に乗って、日本の神話や神道を誹謗中傷したり、GHQの勘違いの産物である神道指令と占領憲法の政教分離規定にもっとらしい理由を付けて、これを根拠にして新嘗祭の復活や靖国神社の参拝を妨害したりするのは、止めるべきである。
政治家が靖国神社に参拝し、勤労感謝の日を新嘗祭に改めたところで、一般国民が参拝や祭祀を強制される訳でもなく、誰の信仰の自由をも侵害しないのだから。
歪められた日本神話の解説どおり、政治的プロパガンダは、日本の神話ではなく、記紀を貶めてきた戦後の左翼系古代史学者の学説であったことを教えてくれる比較神話学の名著が不死と性の神話です。
<関連ページ>
・大地母神信仰の名残かもしれない

・李登輝さんの靖国神社参拝 政教分離は有害無用
・戦前の神道と帝国憲法 後学のメモ 靖国参拝はローマ教皇庁も認めた慣行 米ジョージタウン大 ケビン・ドーク教授
・外国人を感激させるCOOLJAPANのペンダント



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私は真の政教分離は宗教法人に対する税制優遇の
撤廃だと思います。国内のカルト勢力が数の力でもって政治に介入するのを防ぐことこそ、真の政教分離ではないでしょうか。ところで、イシュタルは豊穣の女神であると同時に、戦いの神でもあったわけでして、そう考えると日本における農業の衰退は実は平和憲法が原因なのかもしれません。
占領憲法の政教分離の起源が神道指令で、左翼勢力がGHQ民政局の子供だからでしょうね。
小堀桂一郎先生が書かれていたように、神話を史実説で持っていくのは、やめておいたほうが適切です。
小堀先生が指示する萩野先生こそはその点を強調したわけですが、残念ながら小林よしのりさんには通じませんね。
何でこんなに彼はぶれちゃったんだろうと、正直がっかりです。男系男子の皇室ではない方法を肯定する漫画の書き方がかなりセコいです。保守系批判をするのが一番になっていて、女系が肯定されることは、ほとんど描かれていない。無理押しです。