2009年10月05日

マスコミ煽動の餌食-欠陥国会議員が行う憲法改正の危険性-日本国憲法有効論の弊害3

 西修氏は著書日本国憲法を考える第八章-欠陥品としての第四章国会の結論として次のように述べている。

 以上、国会の国権の最高機関性、法律案の議決手続きにおける両院関係、そして両院の選挙制度に焦点しぼって検討してみた。とくに前二者については、発案者の思いちがいや、大統領と議会との関係を下敷きにしたボタンのかけちがいによることがあきらかになった。また選挙制度については、参議院の政党化にともなう致命的な問題点のあることがわかった。

 結論として、第四章国会は、いわば欠陥品といえる。その欠陥性を認識することなく、ひたすら護憲を唱えている国会議員は、さしずめ欠陥議員というべきか。


 しかし護憲派以外にも、この種の欠陥国会議員は頗る多い。

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 参議院の廃止と一院制の実現を主張した自民党議員や、貴族院の役割とそれを支える貴族制度の存在を無視してイギリス庶民院の政党政治を猿真似しようとする民主党議員などは欠陥議員である。そして彼らを選び国会に送り込んでいる有権者は、さしずめ欠陥国民といえようか。

 それにもかかわらずルソーの主権論を吸収したシェイエスの制憲論を鵜呑みにして国民主権を捨てない占領憲法有効改憲派の西修氏は欠陥憲法学者であろう

 西修氏は、日本国憲法が占領軍製であり多数の欠陥を抱えていることを熟知している。それなのに日本国憲法無効論とそれと一体である帝国憲法復元論を否定し、次の考え方がもっとも妥当だと思うのである。

 五十年以上のあいだに憲法規範と現実との乖離現象がきわめて顕著になってきた。それを修復するためには、憲法を全面的に見直すべきである。憲法見直しにあたっては、現行憲法の国民主権、平和主義および基本的人権の尊重という基本原理を遵守し、一方で世界の憲法トレンドを、他方で日本の独自性を斟酌していくべきであると考えている人たち。複眼的改憲論と呼び得ようか(日本国憲法を考える憲法論議のありようを考える)。

 西修氏は「日本国憲法を考える」のあとがきで次のように自問自答している。

 日本の憲法学界は病んでいるのではないか。そんな声をよくきく。私自身、これに反論する勇気をもたない。

 日本の憲法学界は重病どころか、ポツダム宣言違反、1907年ハーグ陸戦法規違反、大日本帝国憲法違反の日本国憲法の制定を有効とするために、歴史の偽造をほしいままに行う違憲有効論の魔界に変化(へんげ)している。
 
 だからそこに身を浸している西氏は「不愉快!くさいアカの憲法学」の虜になり、我が国が日本国憲法の改正手続きに従い憲法を改正する危険性に気付かずに日本国憲法の全面改正を主張するのである。

 日本国憲法第96条に拠り、欠陥国会が憲法改正の発議を行い、それを欠陥国民に提案して承認を求めるのは、国家の自殺行為ではないのか。

 ザ・フェデラリストの著者アメリカを近代国家につくり上げた天才政治家アレグザンダー・ハミルトンの表現を借りるならば、憲法の欠陥を是正する者は、まずもってその欠陥から免れていないといけないはずだが、憲法改正の発議を行う国会自体が日本国憲法の生み落とした欠陥品である。

 衆参両院からなる実質公選一院制の国会が憲法改正の発議を行うと、公選議院の数々の欠陥となって現れるデモクラシーの弊害が憲法改正作業を覆い、憲法改正案は多人数からなる一院制議会の特徴である「衝動的で過激な情念の刺激に屈しやすく、党派指導者により度を越した有害な決議に引き込まれやすい傾向」に陥ることは必至である。

 憲法改正は国家の延命を図る大手術であるから、絶対に党利党略に巻き込まれてはいけないのに、この手術を行う者は、詐欺政党が跳梁跋扈する欠陥国会である。それなのにデモクラシーの弊害、公選議院の欠陥、政党の偏張と有害な傾向から憲法改正作業を救い出す公的な機関すなわち枢密院と貴族院に相当する機関がない。これは我が国にとって殆ど致命傷である。

 しかも国民投票は公選議院の選挙と同等以上にマスコミの影響を受けざるを得ないから、巨大な煽動力を持つマスコミは必ずスルーの詐術を駆使し、憲法改正を争点とする公選議院の選挙と憲法改正の是非を問う国民投票に干渉し、国民から冷静な判断力を奪い、マスコミのスポンサーが望む選挙結果を生み出そうとするに違いない。

 国会が発議する憲法改正案が我が国の国力を回復し日本の再興を成し遂げるに足るものであればあるほど、周辺諸国とくに中国韓国北朝鮮はマスコミを通じて気まぐれな国民世論を操作して憲法改正を妨害してくるだろう。

 国家の制度や組織は自らの「出生の秘密」につきまとわれるという。戦時国際法に精通する色摩力夫氏は自衛隊の鵺的な性格について次のように述べている。

 もし自衛隊が正真正銘の軍隊であれば、あのような議論は起こる余地がないのです。軍隊の権限規定はネガリスト方式ですから、原則無制限です。国際法で明示的に禁止されていない限り、法的には何でもできる筈です。軍事的必要に応じて、刻々変化する客観的情勢に応じて、いかようにも対処できる筈です。そうでなくては、軍隊の態をなしません。役に立ちません。ひょっとすると無用の長物になってしまいます。法的に明示的に認められていない限り何もできないのであれば、それは警察であって軍隊ではないのです。

 それでは、わが国の自衛隊は国際通念上は軍隊でありながら、いまだに警察的体質を色濃く持っているのは何故でしょうか。それは不幸な生い立ちによるところが大きいと思います。

 すなわち出生の秘密です。昔、ドイツの哲学者にして数学者のライプニッツは、ラテン語でstatus nascensと表現しました。私は、この言葉をわかりやすく出生の秘密と訳してみました。

 出生の秘密は一生を通じて執拗についてまわるものです。いくら微調整を試みても、出生の秘密は消え去りません。それは、その存在の本質の一部となっているからです。生まれ損なった者はもう救いようがありません。生まれ変わる以外に抜本的な救いはないのです。残念ながら、現在の自衛隊の宿痾はそれに酷似しています(国民のための戦争と平和の法―国連とPKOの問題点)。


 日本国憲法の出生の秘密は、占領軍が我が国に強制したベルサイユ条約の対日版であり、日本民族の力を封印する占領軍製の対日懲罰的不平等条約である。これが日本国憲法の本質になっている。

 そしてこれを作った占領軍民政局のニューディーラーは陰湿卑劣な検閲を行ってマスコミを操り、世論の左傾化を煽動し我が国を共産革命の実験場としようとしていたのだから、日本国憲法の規定する議会政治と憲法改正手続きがマスコミに操られ易い性格を帯びているのは当然で、対日懲罰条約たる日本国憲法は、「日本国を再興する憲法改正」を簡単には許してはくれないのである。

 以前にも述べた通り、日本国憲法は日本民族を封印する監獄である。監獄に閉じ込められた囚人たちが、監獄から抜け出して自分たちの故郷に帰るのではなく、獄中に留まり監獄の規則に従って獄内環境を改善しようとすると、占領軍が監獄に仕掛けたトラップが発動し、獄内環境の改善を妨げるのである。

<関連ページ>

自民党のバカ息子はGHQの申し子 公選議会一院制の危険性を知らない石原伸晃

歴史を偽造する魑魅魍魎の跳梁跋扈-日本国憲法有効論の弊害1

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ラベル:憲法 政治
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posted by 森羅万象の歴史家 at 21:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 本当は怖い憲法のはなし | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
そろそろ戦後も65年経とうというのに安倍政権以来、一向に改憲の動きが見られません。自主憲法制定という自民党の結党理念はどこにいったのか。日本国憲法こそ戦後ルサンチマンの根源なのに、それに気がつかない。上っ面だけのChangeに踊らされる。もし、日本が自主憲法を制定するときがきても、私が生きているうちにそれを見ることはないかもしれません。
Posted by 保守主義者 at 2009年10月08日 10:01
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