したがって人間が人間の上に立って政治を行うにあたっては、統治機構が被治者を抑制し得る権力を持たなければならないが、同時に、統治機構が統治機構自体を抑制し得る構造をも持たなければならない。それは権力均衡分立主義である。統治機構の各部門に権力を分立し相互に牽制させ均衡を取らせなければならない。
しかし帝国憲法は帝国議会に強大な権能を与えた(日本民主主義の起源「五箇条の御誓文」と帝国憲法)。さらに日本国憲法が国会に与えた権能は帝国議会より強大である。したがって立法部の権能は必然的に行政部門および司法部門より優位に立つことになる。そこでこの不都合を修正し、立法部による他部門への権力侵害の危険性を軽減するためには、立法議会を二つの議院に分割することが必要である。
そして互いに異なる選挙方法や異なる運営原理をもって、この両院をして、立法機関としての共通の機能やともに社会に依存しているという性格の許す限り、できるだけ相互に関係ないようにしておく必要がある。もし国家が以上の配慮を怠ったまま議会制デモクラシーを導入すると、「選挙による専制政治」が出現するのである。
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立法・行政・司法に分かれている政府(註、統治機構)のすべての権力は、結局は立法部(註、議会)に帰属することになる。同じ手中にこれらの権力が集中していることは、まぎれもなく専制政治に他ならない。これらの権力が行使されるのが多数の手によるのであって、一個人の手によるのではない、ということは、事態を少しも緩和するものではないのである。一七三人の専制君主は、一人の専制君主とまったく同じように、間違いなく圧制的となるであろう。そのことを疑う人々はベニス共和国へ眼を向けるがよい。
議員たちは我々自身によって選ばれるのだ、というようなことは、我々にとってほとんど何の役にも立たないであろう。
選挙による専制政府というようなものは、我々がそのために戦って勝ち取った政府ではない。単に自由な諸原則に基づいて樹立されるばかりでなく、そのなかで政府の諸権力が数部門の権力の間に分散され、適度の均衡を保ちながら、それぞれの部門が他の部門を効果的に制約し、抑止しあうことで、その法律上の限界を越えられないような政府こそ、我々が勝ち取るために戦った政府なのである(ザ・フェデラリスト第48篇「立法部による権力侵害の危険性」230ページ)。
ザ・フェデラリストが引用した以上の「ヴァジニア覚え書」と、議会二院制の意義を説く以下の憲法義解第三十三条解説を比較すると、ザ・フェデラリストが伊藤博文と帝国憲法に多大な影響を与えていたことが一目瞭然となる。
而して勢力を一院に集め、一時感情の反射と一方の偏向とに任じて、相互に牽制その平衡を持する者なからしめば、たれか其の傾流奔注の勢い容易に範防を踰越し、一変して多数圧制となり、再変して横議乱政とならざることを保証する者あらむや。
そして我々日本国民は、今まさに自分自身がアメリカの歴史あるいは大日本帝国の歴史を解説する書籍ではなく現在の日本国の中で「選挙による専制政治」に遭遇していることに気づく。
所長だけでなく多くのブロガーが選挙前から指摘していた通り、鳩山民主党の友愛革命とは、外国および外国人への出血大サービスであった。
鳩山由紀夫は在日外国人参政権付与法案の是非を日本人の自信の有無に摩り替え、法案に猛反対する意見を「それは日本人に自信がないからだ」と一蹴したぐらいだから、いくら日本国民が悲鳴を上げても有権者が民主党に抗議しても、鳩山首相を翻意改心させられないだろう。おそらく鳩山の考え方は以下の通りだ。
民主党に反対する日本国民「日本企業が外国に大金を支払い、二酸化炭素排出権を購入することになると、日本企業の設備投資と技術開発が停滞し、ますますデフレ不況がひどくなります」
鳩山首相「それは日本人に自信がないからだ。自信があれば日本企業は必ず二酸化炭素の排出と排出権の購入費を減らすことができる」
反民主党の国民「鳩山内閣が資金だけでなく日本の高い環境保全技術や省エネ技術を、中国をはじめ諸外国へ積極的に提供すれば、外国企業は日本の高い技術と自国の安い労働力を使い、高品質の安い製品を開発し販売するから、それと競合する日本企業は市場を失い、技術開発資金を捻出できなくなります」
鳩山首相「それは日本人に自信がないからだ。自信があれば日本企業は今以上に高い技術を開発できる」
反民主党の国民「日本国は疲弊しきっており、日本国民は鳩山内閣と外国と外国人に献血できる状態にありません。これ以上やると、日本国が失血死してしまいます!!」
鳩山首相「それは日本人に自信がないからだ」
反民主党の国民「自信の有無の問題じゃないだろ!」
鳩山首相「自信の問題なんです。自信さえあれば、まだまだ日本人は献血できるのです。だから鳩山内閣は友愛の精神をもって日本国民から血(税)を搾り取り、外国と外国人に出血大サービスします」
ぎゅうぅぅぅぅぅぅぅぅ…うっ
民主党が選挙公約に反する政策、選挙公約にない政策、そして有害な選挙公約を実現する政策を強行しても、それを阻止するための公的機関と有効な合法手段がない。だから民主党は法律上の限界を越える政策-表現の自由を抹殺する人権擁護法案と日本国の分解に直結する在日外国人地方参政権付与法案を準備し始めた。
民主党が次の通常国会に両法案を提出すれば、公明党は賛成にまわるだろうから、国会は易々と法律上の限界を越えてしまうのである。
次に来る危機的事態は、神武肇国西暦181年(古代天皇はなぜ殺されたのか)以来約2000年のあいだに自生的に形成され遵守されてきた歴史的慣習法にして時効の憲法である「皇位の父系相続」を覆す皇室典範の改悪であろう。これが強行されると、もはや法の支配も文化の継承も死んでしまう。しかしマッカーサー占領軍憲法である日本国憲法はそれを許してしまう。日本国憲法が定める国会の分割方法は間違っていたのである。
<関連ページ>
・鳩山内閣が続く限り、民主党応援団のテレビに登場しないCO2地球温暖化説を懐疑する日本の賢人たち
以下は朝日新聞天声人語2009年9月24日(木)付
日本語にしにくい英単語がある。「イニシアチブ」は率先、主唱、主導権などと訳すが、どうもしっくりこない。そういう振る舞いは私たちの柄でないのかもしれない。とかく「出るクイ」を疎む国民性である。
▼ゆえに新鮮、かつ胸のすく姿だった。国連の気候変動サミットで、温暖化ガス削減の新目標を打ち上げた鳩山首相だ。前政権の3倍超という野心的な数字は、喝采の中で国際公約になった。
▼大排出国の米国、中国は牽制(けんせい)し合い、大した約束をしていない。新首相のスタンドプレーで国民や企業が不公平に泣くことはないか。そんな懸念もあろう。外交舞台では人気者より、ずる賢い嫌われ者が国益を守ることがままあるからだ
▼だが、人類の存亡にかかわる危機は切迫している。主要国のどこかが「地球益」を抱えて駆け出さなければ何も動くまい。そして日本が走るなら、政権交代に世界の目が集まる今である。途上国支援を鳩山イニシアチブと自称したのも、日本の型を破る自己主張だった
▼もちろん、欧州勢は絶賛だ。海千山千たちにハシゴを外されないよう用心しながら、これからも得意の「非軍事」で汗をかくのが日本の正道だろう。そうして蓄えた国際社会の尊敬と信用は、いずれ国を救う。目先の、ちまちまとした損得よりよほど意味がある。
▼この国が、慣れぬ手で握りかけた主導権だ。かくなる上は米中や途上国を動かし、国内の説得に努めるしかない。「格好よさ」に見合う責任が鳩山政権にのしかかる。追従しない外交とは、本来そういうものである。
・以上のように鳩山イニシアチブを絶賛した朝日新聞社よ、お前らは痴呆症か!?
つくられた「環境問題」―NHKの環境報道に騙されるなで「二酸化炭素は今の五倍ぐらいあった方が良い」と言い放った武田邦彦氏の「食糧がなくなる!本当に危ない環境問題 地球温暖化よりもっと深刻な現実」の出版社を見ろ!
自民党を批判し、民主党を擁護するためならあらゆるデマを飛ばす朝日天声人語の執筆者は暴走する「地球温暖化」論―洗脳・煽動・歪曲を犯す狂人ではないか!
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