2009年08月28日

近衛内閣の再来-鳩山民主党内閣という悪夢 日本国憲法下の異常な権力集中現象

 所長の分析は甘かった。民主党が掲げる温暖化ガスの削減目標について産経新聞が真を穿った分析を行っている。

【温室効果ガス 30%削減の衝撃】大減産迫られ雇用に打撃(産経新聞)

 今月4日に東京・大手町の経団連会館で開かれた民主党のマニフェスト(政権公約)説明会。会場には1千人以上の企業関係者らが詰めかけ、壇上の岡田克也幹事長の発言に聞き入っていた。

 「これは達成しなければならない目標だ。そのためにはどういう知恵を出すのか。地球温暖化対策税だけでなく、(企業に排出上限を割り当て過不足を取引する)排出権取引制度など、想定されることはすべてやらなければならない」

 岡田氏が2020(平成32)年に二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出量を1990年比25%(05年比30%)削減するという民主党の目標を語った場面では、その厳しい姿勢に出席者の多くが息をのんだ。

 日本の産業界のエネルギー効率は世界最高の水準を誇る。それだけに会場からは「これから30%も削減するには、欧米の7倍の費用負担が必要になるとの試算もある。民主党はこうした温暖化対策の影響をどうみているのか」と疑問の声が上がった。

 これに対して岡田氏は温暖化の進行で人類が直面する脅威を強調し、「温暖化対策を進めることで新たな需要を起こす」と答えるのにとどまった。説明会に出席した企業関係者は「民主党が政権についた場合、日本企業は大変な負担を強いられる」と天を仰いだ。

 民主党がマニフェストで掲げる30%削減は、政府内でも検討されたことがある。20年に05年比で15%削減するとの政府の中期目標を設定するにあたり、4%減から30%減までの6案を選択肢として示し、必要な対策などを試算した。

 試算には地球環境産業技術研究機構(RITE)や国立環境研究所、日本エネルギー経済研究所など一級のシンクタンクが協力したが、30%削減という高い目標を実現するには「産業活動量を削減する」という強制的な措置が必要だとされた。

 中期目標を策定する検討委員会のメンバーとして参加した茅陽一RITE副理事長は「どの研究機関もそうした実現不可能な案しかつくれなかった」と振り返る。

 試算で示された産業活動量の削減とは、特定の業界に生産量を割り当てるなどで減産を求めることだ。この試算では30%削減を実現するには、例えば年間1億トン強の粗鋼生産量を2割弱減らしたり、同7000万トン強のセメント生産量を25%カットすることなどが盛り込まれた。これはJFEスチール西日本製鉄所と太平洋セメントの生産を止めるのに等しい水準だ。

 標的になりそうな鉄鋼やセメント、化学などエネルギー多消費型産業の生産拠点は、瀬戸内海沿岸や太平洋沿岸部などに分布している。もし本当に強制的な減産を実行に移した場合、こうした地域を支える産業を直撃し、雇用に深刻な影響を与えるのは避けられない。

 経済産業省幹部は「生産量を強制的に割り当てて減産を迫る。それは社会主義国家そのものではないか」と批判する。

 30%削減という民主党の目標に危機感を募らせる産業界ではいま、衆院選後の民主党政権発足をにらんだ意見書づくりが水面下で進んでいる。

 主要な業界団体が民主党に目標の見直しを求める内容だ。そのたたき台の中では「実現可能性や国民生活への影響を考慮せず、ただ高い削減率のみを提示すれば、雇用も国富も海外に流出し、私たちはこの国で生産活動ができなくなる」と訴えている。

 また、民主党の支持基盤の一つである労働組合も、民主党の公約で雇用を失う恐れがあると懸念を強めている。業界関係者は「有力な労組を通じて民主党の真意をただしたが、思うような回答は得られなかった」という。

【温室効果ガス 30%削減の衝撃】排出枠取引 産業界は反対

 7月初旬。日本経団連の御手洗冨士夫会長と名誉会長の今井敬新日本製鉄名誉会長(元経団連会長)は、都内の料亭で民主党の岡田克也幹事長と向き合っていた。

 今井氏らは「世界全体の温室効果ガス排出量のうち、日本の排出量は4%に過ぎない。中国やインド、米国などの主要排出国がポスト京都議定書の枠組みに参加せず、日本だけが高い目標を掲げても意味がない」と切り出した。そのうえで「日本が高い目標を掲げるのは、あくまでもこれらの国が参加する枠組みを前提にしたものにしてほしい」と求めた。

 民主党が今回の衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)では、温室効果ガスの排出量を2020(平成32)年までに90年比25%(05年比30%)削減するとの目標を打ち出した。しかし、すでに同党は昨年6月と今年4月、この目標を盛り込んだ「地球温暖化対策基本法」を国会に提出している。

 この法案は2回とも廃案になったが、法案づくりは同党の地球温暖化対策本部長を務める岡田氏が中心となって進められた。マニフェストに盛り込まれた目標も同法案を踏襲したといえる。今井氏は会談で、民主党の環境政策の中心人物である岡田氏に基本的な姿勢をただしたのだ。

 これに対し、岡田氏も中国や米国などの参加を前提とすることには理解を示したという。岡田氏は財界へのマニフェスト説明で「私たちは日本だけがやせ我慢で25%(05年比30%)削減でいくと言っているわけではない。米国や中国、インドが入ることを前提にしている」と述べ、関係者はひとまずほっとした。

 だが、民主党がマニフェストで掲げた環境対策は、温室効果ガスの削減目標だけではない。この目標を達成するため、各企業に排出量の上限(キャップ)を課し、キャップを超えて排出する企業には排出枠の購入を求める「キャップ・アンド・トレード方式」と呼ばれる排出枠取引市場の創設も打ち出している。

 欧州で導入が進む排出枠取引に日本の産業界は強く反対してきた。排出枠を売買するだけでは実質的な排出削減につながらないだけでなく、取引そのものに重点が置かれて環境技術の開発促進を阻害しかねないとみているからだ(中略)。

 また、企業に課す排出上限をどう公正に決めるかという問題もある。財界幹部は「個別企業に排出上限を課す排出枠取引が導入されれば、それを決める政府が企業の生死を左右することになる」と懸念する。厳しい上限枠を課せられた企業は海外に生産拠点を移転し、「国内に残るのは海外に移転できない電力会社などの一部にとどまるのではないか」(経済産業省幹部)との見方すらある。
 
 わが国の産業界は、日本経団連の自主行動計画にもとづいて各業界が削減目標を掲げ、温室効果ガスの排出削減を進めている。

 この結果、省エネ化を進めた工場などの産業部門の排出量は、平成19年には京都議定書の基準年である平成2年と比べて2・3%の削減を達成した。エアコンなど家電製品の導入が進んで2年比で40%以上も増えた家庭部門と大きな違いをみせた。

 日本経団連や鉄鋼業界などは昨年5月、民主党の要請に応じ、環境・エネルギー問題などの合同会議に出席し、温室効果ガスの排出削減に向けた自主的な取り組みなどを詳しく説明した。だが、民主党側からは何の質問も出ず、出席者からは「産業界の努力は評価されないのか」と落胆の声が漏れた。

 日本経団連や業界団体はその後も機会をみつけて民主党に対して産業界の意見や要望を伝えている。だが、「民主党からは具体的な反応は何もない」(鉄鋼業界関係者)という。衆院選後に民主党が政権についた場合、産業界の声はどこまで届くのか。企業関係者は憂慮の色を深めている。


 なぜ民主党は産業界の声を無視し続けたのか?それは社会主義革命を諦めていない極左が民主党の主導権を握っているからであろう。連中は財界を敵視しこそすれ財界の意向などに配慮しない。

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 政府がマルクス・レーニン主義を表に出さず、一般国民が反対し難い大義名分を掲げ、それを口実にして、企業統制を行う。これはソ連の統制経済を模倣した1938年の国家総動員法の発動と同じ遣り口である。

 驚くほど鳩山民主党は近衛内閣に酷似している。ブレーンとして多数の極左を抱え、マスコミの大衆煽動力を取り込み、国民の表現の自由を否定し企業を生産活動を統制する危うい法案(人権擁護法案と地球温暖化対策基本法案)を用意し、亡国の「東アジア共同体」を掲げる鳩山民主党内閣は、近衛内閣の再来ではないか!

 民主党が衆院選挙の大勝を収めた後、原理主義者と揶揄される頑迷固陋な岡田克也が鳩山内閣の外務大臣となり、中国共産党の要望に沿い、温室効果ガス排出量1990年比25%(05年比30%)削減を発表し、これを国際公約化してしまえば、民主党内閣崩壊後の次の内閣といえども、これを容易には覆せない。

 中国共産党に漁夫の利を与えた1938年の第一次近衛声明が以後の内閣を拘束して我が国を敗戦へ導いたように、鳩山内閣の桎梏は永く我が国の政治と経済と生活を苦しめることになるだろう。現に韓国および中国共産党に対日強請(ゆすり)の口実を与えた1993年の河野談話および1995年の村山談話が依然として今日の我が国を拘束し続けているではないか。

 そして鳩山内閣が「地球温暖化対策基本法」を国会に提出すれば、帝国議会の猛反発を受けた国家総動員法の現代版であるこの法案は、簡単に至極あっさりと国会によって可決されてしまうだろう。これが施行されれば、政府は企業の生殺与奪権を掌握し、企業の生産活動を統制し得るから、それは鳩山由紀夫のいう政権交代という一種の革命-環境保全の口実にした血塗らざる上からの革命の完成である(詳細はこちら)。

 その時に「構造改革」と同じ現状変革を意味する「政権交代」という四文字熟語のスローガンに酔い痴れた有権者が民主党の正体(詳細はこちら)に気付いても手遅れである。自由民主党が衆参両院を制することと自由のない民主党が衆参両院を制することは違う。前者より後者の方がはるかに危険なのだ。

 帝国憲法は貴族院に衆議院とほぼ同等の権限を与え、法律は必ず両院の同意を経なければならない。

伊藤博文の憲法義解

第三十三条 帝国議会は貴族院衆議院の両院を以て成立す

 貴族院は貴紳を集め衆議院は庶民に選ぶ。両院合同して一の帝国議会を成立し、もって全国の公議を代表す。故に両院は或る特例を除く外平等の権力を有ち、一院独り立法の事を参賛すること能わず。もって謀議周匝にして輿論の公平を得るを期せむとす。

第三十七条 凡そ法律は帝国議会の協賛を経るを要す

 法律は国家主権より出る軌範にして、而して必ず議会の協賛を経るを要するは之を立憲の大則とす。故に議会の議を経ざる者はこれを法律とすることを得ざるなり。一院の可とする所にして他の一院の否とする所は又これを法律とすることを得ざるなり。


 有権者の数が増えれば、有権者の政治家を選択する能力の平均値は低下するのだから、有権者が公選議院の選挙において投票判断のミスを犯し、有権者を含む国民に損害を与える政策を持つ政党に勝利を与えてしまうことがある。また政党および代議士は落選を恐れ自己の保身を図る余り、マスコミの言論暴力に屈服し、あるいはマスコミに操作される世論や気まぐれな民意に迎合して大局を見失い、国益を害し、国家の将来に禍根を残すことがある。

 だから貴族院は、伊藤博文の憲法義解のいう「政党の偏張」、フェデラリストに言い換えれば頻繁に選挙を行う公選議院の欠陥-「衝動的で過激な情念の刺激に屈しやすく、党派指導者により度を超した有害な決議に引き込まれやすい傾向」を抑制し、政治権力の平衡(バランス)を保ち、もって憲法の強固を助け、国福民慶を永久に維持するための機関として、公選の衆議院とほぼ平等の権力を有するのである。

貴族院令(明治22年勅令第11号)

第一条 貴族院ハ左ノ議員ヲ以テ組織ス

 一 皇族
 二 公侯爵
 三 伯子男爵各々其ノ同爵中ヨリ選挙セラレタル者
 四 国家ニ勲労アリ又ハ学識アル者ヨリ特ニ勅任セラレタル者
 五 帝国学士院ノ互選ニ由リ勅任セラレタル者
 六 東京都北海道樺太各府県ニ於テ土地或ハ工業商業ニ付多額ノ直接国税ヲ納ムル者ノ中ヨリ一人又ハ二人ヲ互選シテ勅任セラレタル者
 七 朝鮮又ハ台湾ニ在住スル者ニシテ名望アル者ヨリ特ニ勅任セラレタル者

第二条 皇族ノ男子成年ニ達シタルトキハ議席ニ列ス

第三条 公侯爵ヲ有スル者満三十歳ニ達シタルトキハ議員タルヘシ
2 前項ノ議員ハ勅許ヲ得テ議員タルコトヲ辞スルコトヲ得
3 前項ノ規定ニ依リ議員タルコトヲ辞シタル者ハ勅命ニ依リ再ヒ議員トナルコトヲ得

第四条 伯子男爵ヲ有スル者満三十歳ニ達シ各々其ノ同爵ノ選ニ当リタル者ハ七箇年ノ任期ヲ以テ議員タルヘシ其ノ選挙ニ関ル規則ハ別ニ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
2 前項議員ノ定数ハ伯爵十八人、子爵六十六人、男爵六十六人トス

第五条 国家ニ勲労アリ又ハ学識アル満三十歳以上ノ男子ニシテ勅任セラレタル者ハ終身議員タルヘシ
2 前項議員ノ数ハ百二十五人ヲ超過スヘカラス
3 第一項ノ議員身体又ハ精神ノ衰弱ニ因リ職務ニ堪ヘサルニ至リタルトキハ貴族院ニ於テ其ノ旨ヲ議決シ上奏シテ勅裁ヲ請フヘシ
4 前項ノ議決ニ関ル規則ハ貴族院ニ於テ之ヲ議定シ上奏シテ裁可ヲ請フヘシ

第五条ノ二 満三十歳以上ノ男子ニシテ帝国学士院会員タル者ノ中ヨリ四人ヲ互選シ其ノ選ニ当リ勅任セラレタル者ハ其ノ会員タルノ間七箇年ノ任期ヲ以テ議員タルヘシ其ノ選挙ニ関ル規則ハ別ニ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

第六条 満三十歳以上ノ男子ニシテ東京都北海道樺太各府県ニ於テ土地或ハ工業商業ニ付多額ノ直接国税ヲ納ムル者百人ノ中ヨリ一人又ハ二百人ノ中ヨリ二人ヲ互選シ其ノ選ニ当リ勅任セラレタル者ハ七箇年ノ任期ヲ以テ議員タルヘシ其ノ選挙ニ関ル規則ハ別ニ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
2 前項議員ノ総数ハ六十七人以内トシ其ノ東京都北海道樺太各府県ニ於ケル定数ハ通常選挙毎ニ人口ニ応シ勅命ヲ以テ之ヲ指定ス

第七条 朝鮮又ハ台湾ニ在住スル満三十歳以上ノ男子ニシテ名望アル者ヨリ特ニ勅任セラレタル者ハ七箇年ノ任期ヲ以テ議員タルヘシ
2 前項ノ議員ノ数ハ十人以内トス

第八条 貴族院ハ天皇ノ諮詢ニ応ヘ華族ノ特権ニ関ル条規ヲ議決ス

第九条 貴族院ハ其ノ議員ノ資格及選挙ニ関ル争訟ヲ判決ス其ノ判決ニ関ル規則ハ貴族院ニ於テ之ヲ議定シ上奏シテ裁可ヲ請フヘシ

第十条 議員ニシテ禁錮以上ノ刑ニ処セラレ又ハ破産ノ宣告ヲ受ケ確定シタル者アルトキハ勅命ヲ以テ之ヲ除名スヘシ
2 貴族院ニ於テ懲罰ニ由リ除名スヘキ者ハ議長ヨリ上奏シテ勅裁ヲ請フヘシ
3 除名セラレタル議員ハ更ニ勅許アルニ非サレハ再ヒ議員トナルコトヲ得ス

第十一条 議長副議長ハ議員中ヨリ七箇年ノ任期ヲ以テ勅任セラルヘシ
2 任期ノ定アル議員ニシテ議長又ハ副議長ノ任命ヲ受ケタルトキハ議員ノ任期間其ノ職ニ就クヘシ

第十二条 此ノ勅令ニ定ムルモノノ外ハ総テ議院法ノ条規ニ依ル

第十三条 将来此ノ勅令ノ条項ヲ改正シ又ハ増補スルトキハ貴族院ノ議決ヲ経ヘシ


 従って帝国憲法の定める帝国議会二院制の下では、皇室の屏翰にして保守の牙城である貴族院が健在である限り、マスコミが世論と民意を操作し、有権者の判断ミスを誘い、隠れ左翼政党に公選の衆院の大勝をもたらしても、この左翼政党は立法機関たる帝国議会を完全に掌握し得ない。そして左翼政党の党首が内閣総理大臣となっても思うままには行政を為し得ない。

 なぜなら帝国憲法は広範多岐にわたる政策を法律事項として定め、法律と予算は貴族院の同意も必要だからである。

 1930年代以降、近衛文麿の昭和研究会に尾崎秀実と佐々弘雄と笠新太郎を送り込んだ朝日新聞社をはじめ我が国の新聞社は政党政治を批判し、有権者に拭い難い政党不信を植え付け、近衛の革新国策に協力し、新聞社の応援と民意の支持を得た近衛文麿首相は衆院の各政党を解散させ、代議士を大政翼賛会の議員部的存在にまとめたものの、内閣総理大臣にして大政翼賛会総裁の近衛文麿は独裁を行えなかった。ソ連共産党を模倣した大政翼賛会は一党独裁を行うどころか、行政の補助組織に転落せざるを得なかった。

 帝国憲法の下では、左翼政党が強力な大衆煽動力を持つマスコミと結託しようとも一党独裁政治を行えない。しかし日本国憲法の定める衆参両院からなる国会実質公選一院制の下では、一党独裁に近い政治現象が発生するのである。

 戦後の憲法学界の大勢に屈することなく日本国憲法の無効を訴え続けた井上孚麿は名著「憲法研究」の中で次のように指摘している。

 殊に帝国議会の事実上の弱体につれて、政府部内では、総理大臣の権限が強化され、更には統帥部門の輔翼権限をも兼併するようになって、最高輔弼機関の一元化的傾向が顕著になって来ると、それは「中世以降の失体」とも「且は我が国体に戻り且は我が祖宗の御制に背き奉り」とも歎かせられた征夷大将軍制度擬いの存在となるのであって、祖制の紹述たる帝国憲法の精神にも制度にも戻るものであった。

 もっとも、これとても現行憲法の総理大臣ほどに独裁の可能性を有するものではない。現制では、政府は天皇に対しては、輔弼者ではなく、助言と承認との附与者に過ぎぬことは勿論、政府部内においては、総理大臣は平大臣に対して任免の権を有する上級官庁であり、憲法の規定では、最高機関たる国会の指名によるということになっているけれども、実際においては、国会の多数党の首領が自立することになるのであるからして、今の総理大臣は、昔の征夷大将軍をも凌駕する権能をも壟断しうることになるからである(憲法研究282ページ)。


 鳩山民主党が衆院選挙の大勝を収めたら、民主党およびその党首(内閣総理大臣)が立法権と行政権を完全掌握するだけでなく、最高裁判所長官の任命権を持ち(日本国憲法第6条2項)、さらに皇室典範改定権(憲法第2条)、皇室財産授与承認権(憲法第8条)まで掌握してしまう。これはまさに一党独裁である。
 伊藤博文の座右の書フェデラリストは立法部(議会)による権力侵害の危険性について警鐘を鳴らしている。

 すなわちアメリカ各邦の建設者たちは、立法部の中の世襲制に基づく一院(貴族院)によって支持され強化された世襲制の行政首長(国王)の肥大化した貪欲な大権による自由への危険性については、片時もその注意の目をそらさなかったようである。

 だが、彼らは、この立法部自体の権力侵害の危険性については、深く考えなかったようである。しかし、この立法部による権力侵害は、すべての権力をその掌中に収めることによって、結果的には行政部による権力侵害によって起こるのとまったく同じ圧制をもたらすものなのである。
 

 以上の批判は、GHQと日本国憲法を礼賛する左翼似非リベラル護憲派にも当てはまる。

 マスコミに操作された世論と民意によって、自由を欠く極左の民主党にもたらされた異常な権力集中が、国民の自由を圧迫し、皇室の尊厳と我が国の独立主権を脅かす中で、我々有権者は日本政府に日本国憲法という名の占領軍憲法を強制したGHQ民政局員の暴言の意味を悟るのである。

 「この日本側の草案は右翼的(=保守的)傾向の強いものだろうと思われる。しかし自分としては、外務大臣とそのグループに、天皇を護持し、かつ彼等自身の権力として残っているものを維持するため唯一の可能な道は、はっきりと左よりの(=進歩的な)道をとることを要請するような憲法を受け容れ、これを認めることだ、ということを納得させるつもりである。

 自分は、説得を通じてこういう結論に達したいと希望しているが、説得の道が不可能なときには、力を用いるといって脅すことだけではなく、力を用いること自体の授権を、マッカーサー将軍から得ている」(1946年2月4日民政局会合におけるホイットニー准将の発言詳細はこちら


 そして1946年2月13日に外務大臣官邸の上空を一機の米軍機が飛び去った後、民政局長のホイットニーは、占領軍憲法案を受領した白州次郎に「われわれは戸外に出て原子力エネルギーの暖を取っているところである」と言って三度目の原爆投下と天皇の処罰をちらつかせて日本政府を脅迫したのである。

 帝国憲法の施行から50年後の1940年に帝国憲法は、そこに込められた保守主義の真価を発揮して我が国を左翼全体主義から救済したが、占領軍憲法の施行から62年後の2009年に占領軍憲法は、そこに秘められたGHQ民政局の呪いの効果を発揮することになるのである。

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posted by 森羅万象の歴史家 at 23:35| Comment(3) | TrackBack(3) | 本当は怖い憲法のはなし | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いやはや 結果でましたね。
自民党の生き残り組の顔ぶれのひどいこと。
どうしてこの人達だけが当選したのとまず思いました。
逆に平山さん・城内さんの当選は本当にめでたい。

今回は属国国家維持体制という戦後体制への無意識の批判が盲目的に流れ出た感じがあります。相当誘導された作られた方向に流れ出てしまったように思いますが。

ここからナショナルなものがどれくらい毀損され、それをバネにどこまで立ち上がれるかですね。この流れが本来あるべき方向に流れ出る時はきっとくると思います。

Posted by 寺小路 at 2009年08月31日 08:56
所長のご指摘の通り日本を革新が支配する時代が再来したと思われます。軍国主義(社会主義)は復活したのです。日本史において近衛体制は第1次、鳩山体制は第2次軍国主義(社会主義)時代として認識し記憶しなければいけません。今後、民主党およびマスコミは、自民党内の革新派を動かして、自民党の解党を目指すと思われます。それは政友会、民政党の解党の再来です。マスコミは保守である自民党には「変れない駄目な政党だ」と罵声を浴びせ、革新に下れば「よく変った」と褒めてあげる。追い詰められた自民党が革新に変る、もしくは解党するとき、第1次軍国主義(社会主義)時代に未完成であった大政翼賛会(一党独裁)の完成となります。心ある国民の皆さん、危機に気がついて下さい。お願いします。
Posted by 一号 at 2009年09月01日 00:13
大変痛い結果になってしまいました。所長様、何も出来なくて申し訳ございませんでした。しかしここで諦めるわけにはいけません。できれば1年以内に民主党を政権の座から引きずり下すことができてば日本は軽症程度で済むかもしれません。また自民党が今後真の保守政党として生まれ変わり政権の座に復帰することを心から祈ります。
Posted by のび太 at 2009年09月01日 22:17
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民主党こそが日本の与党、貴様の諫言など聞こえん! by 鳩山由紀夫
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