「ある日、目が覚めてラジオにスイッチを入れると、様子が何だか変だ。政変?クーデター?どうも、そうではなさそうだ。聞きなれた一人の閣僚の静かな声が人民に呼びかけている。
何と!革命は終わったのだ。始まったとも聞かぬのに!
それから一週間、二週間、一ヶ月、大したことも起こらない。その国はいつの間にかもう『社会主義への道』を歩いているのである」
そのとき占領憲法無効・帝国憲法顕現微修正派の所長は、「勅任の貴族院があれば…」と悔しがり、民主党の正体を知っていた護国派の人々は、多くの有権者が民主党の正体を知らぬまま衆院選に一票を投じた現実を目の当たりにして、もはやマスゴミ・デマクラシーに転落した議会制デモクラシーに絶望し、天皇親政を欣求する者あるいは自衛隊のフランコによるクーデターに期待する者が続出するだろう。我が国の歴史には、そのことを警告していた偉人が存在する。
それは伊藤博文である。
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第三十三條 帝国議会は貴族院衆議院の両院を以て成立す
貴族院は貴紳を集め衆議院は庶民に選ぶ。両院合同して一の帝国議会を成立し、以て全国の公議を代表す。故に両院は或る特例を除く外平等の権力を有ち、一院独り立法の事を参賛すること能(あた)わず。以て謀議周匝(しゅうそう)にして輿論の公平を得るを期せむとす。
二院の制は欧州各国の既に久しく因襲する所にして、その功績を史乗に徴験し、而して此れに反するの一院制を取れる者は皆其の流禍を免れざることを証明したり(フランス千七百九十一年及び千八百四十八年・スペイン千八百十二年憲法)。
近来二院制の祖国に於いて論者かえって其の社会発達の淹滞障碍たるの説を為す者あり。そもそも二院の利を主持する者すでに塾套(じゅくとう)の論ありて今ここに引挙するを必要とせざるべし。但し、貴族院の設は以て王室の屏翰を為し、保守の分子を貯存するに止まるに非ず。蓋し立国の機関に於いて固より其の必要を見る者なり。
何となれば、およそ高尚なる有機物の組織は独り各種の元素を包含して以て成体を為すのみならず、また必ず各種の機器に倚て(倚-たよる)以て中心を輔翼せざるはあらず。
両目各々其の位を殊にせざれば以て視力の角点を得べからず。両耳各々其の方を異にせざれば以て聴官(聴覚器官)の偏聾を免るべからず。故に元首は一ならざるべからず。而して衆庶の意思を集むるの機関は両個の一を欠くべからざること、あたかも両輪の其の一を失うべからざるが如し。
それ代議の制は以て公議の結果を収めむとするなり。而して勢力を一院に集め、一時感情の反射と一方の偏向とに任じて、相互に牽制その平衡を持する者なからしめば、たれか其の傾流奔注の勢い容易に範防を踰越し、一変して多数圧制となり、再変して横議乱政とならざることを保証する者あらむや。
此れ其の弊は却て代議の制なきの日より猶(なお)甚だしきものあらむとす。故に代議の制設けざればやむ。これを設けて二院ならざれば必ず偏重を招くことを免れず。此れすなわち物理の自然に原由する者にして、一時の情況を以て之を掩蔽すべきに非ざるなり。
要するに、二院の制の代議におけるは、之を学理に照らし、之を事実に徴すて、其の不易の機関たることを結論することを得べきなり。
彼の或る国における貴族院の懶庸(らんよう。懶-おこたる、ものうい)にして議事延滞の弊あるを論ずるが如きは、此れ一時の短を摘発するに過ぎず。而して国家の長計に対しては其の言の価値あるを見ざるなり(伊藤博文著憲法義解第三十三條解説)。
比較憲法学の結晶にして歴史憲法学の果実である伊藤博文の憲法義解は名言の宝庫である。とくに憲法義解第三十三條解説は、議会制デモクラシーの本質と一院制の弊害を簡潔に表現した至言の連続である。それなのに国家の長計に対して価値のない提言を行う者が自民党から続出している。
それはルサンチマンに凝り固まった小泉純一郎であり、石原伸晃である。
自民・石原幹事長代理「一院制がいい」(産経新聞2009.5.25 21:11)
自民党の石原伸晃幹事長代理は25日の記者会見で、国会議員の定数削減問題にからんで、「小泉純一郎元首相の考え方とほぼ一緒だ。10年後をめどに憲法改正を行い、衆参合体した一院制で、中選挙区または大選挙区という制度が望ましい」と述べ、衆参両院の選挙制度を見直し、一院制にすべきだとの認識を示した。
おそらく石原は憲法義解を読んでいないし、我が国の過去も直視していない。1940年に近衛文麿と尾崎秀実ら昭和研究会の共産主義者が狡猾な世論工作を重ね、遂に「一人を刺殺せずプリンス近衛の出馬に依り政党が解消したのは二十世紀の、否人類史上の最大の奇蹟」(松岡洋右の発言)を起こしたが、近衛文麿は大政翼賛会の一党独裁を実現し得なかった。それは何故か。
・帝国憲法は、天皇が統治権を総攬し、天皇直属の国家機関(内閣、議会、裁判所)が輔弼の権能を分有して並立するという日本独自の権力均衡分立主義を採用しており、輔弼の権能を翼賛会の長(近衛文麿)に集中させる大政翼賛会の一党独裁は違憲だったからである。
・大政翼賛会の一党独裁を合憲化するための憲法改正の発議権は、内閣総理大臣(近衛文麿)と帝国議会には無く、天皇の専管事項だったからである。
・近衛文麿の憲法改正の意見書を読んだ昭和天皇が、
「憲法改正を必要とするのであれば、正規の手続により改正するに異存はないが、近衛はとかく議会を重んぜないように思われる。我が国の歴史を見るに、蘇我、物部の対立抗争以来、源平その他常に二つの勢力が対立している。この対立を議会に於て為さしむるのは一つの行き方で、我が国では中々一つに統一ということは困難な様に思われる」
と近衛をたしなめられ(木戸幸一日記昭和十五年八月三十一日)、憲法改正の発議を行わず、大政翼賛会の一党独裁を合憲化しなかったことである。
・政党が解散し衆議院が一時的に麻痺状態に陥ったものの、貴族院が健在であり、貴族院の議員が大政翼賛会違憲論を掲げて翼賛会と近衛内閣を糾弾し、翼賛会を行政の補助組織に追い落としたからである。
もし近衛文麿や尾崎秀実らの目論見どおり、大政翼賛会の一党独裁が成就していたら、新体制準備委員会に加わっていた復古派の井田磐楠が1940年9月3日に「レールは出来上がっても、汽車に乗っている間に、知らぬ間にソビエートへ行ったのでは大変である」(近衛新体制―大政翼賛会への道)と危惧した通りの悲劇が起き、ソ連のスターリンによって我が国は滅ぼされていたかも知れない。
帝国憲法下の立憲議会制デモクラシー(大衆参加政治)を防衛した者は、勅任の貴族院であり、世襲の天皇であり、欽定の憲法であった。これは逆説ではなく簡単な道理である。
高熱を冷却する無力(パワーレス)のラジエーターが高熱を発する高馬力(パワーフル)のエンジンの暴発と自壊を防ぎ、車体の安全を確保するように、非デモクラシー的な人、制度、法がデモクラシーの暴発と自壊を防ぎ、国家の安全を確保するのである。
だから国家を運営する政治制度の中に、盲目的な大衆の熱病(衆愚の政治やマスコミの煽動といった流禍)に冒され易い民選機関が設置されるなら、同時に、熱病に冒されることなく熱を冷まし病原の細菌やウイルスを駆除する非民選機関の併設が必要不可欠である。民政議院の弊害を抑制し得る者は、民選議院の弊害から免れている非民選議院なのである。
石原の主張どおり、我が国の議会制度が公選一院制になると、民選議院が衆愚に堕落し或いは流禍に感染し発狂に至ることは、マスコミが情報を操作し大衆を煽動する現代の我が国でも大いに有り得ることである。有権者の政治家を選ぶ能力の平均値が極端に低下しているからである(奇怪なるコマーシャル―パチンコ加山雄三とアグネスラム 治者と被治者の同一性という悪政)。
その時に取り返しのつかない暴政を開始した民選議院から日本国を守る者は、天皇の親政か自衛隊(日本軍)のクーデター以外に無くなってしまい、まさに「(一院制の)其の弊は却て代議の制なきの日より猶(なお)甚だしきものあらむとす。故に代議の制設けざればやむ」という事態が発生してしまうではないか。
石原伸晃の主張は、いわばニセモノのラジエーター(参議院)を正規のラジエーター(貴族院)に換装するのではなくて、日本車(日本国)の速度を上げるためにエンジンからラジエーターを取り外して車体を軽量化せよと言うに等しい。
伊藤博文の表現を借りれば、占領憲法下の議会制度は、右側頭部に耳がなく、左側頭部に二つの耳が上下に並んで付いているという奇形状態にあるのだが、石原の主張は、左側頭部の下位の耳(参議院)を切り落とせば良く、右側頭部に耳は不要であると言うに等しい。
石原伸晃は歴史に学ばない愚者であり、GHQ民政局の白痴どもと変わらない。
昭和21年(1946)2月13日外相官邸において、GHQ民政局長ホイットニー准将一行からマッカーサー憲法草案を手渡された松本丞治国務大臣は、余りに拙劣な草案の内容に驚愕き、たまらず質問した。
松本「念のために伺っておくが、提案では一院制をとっておられるが、これはどういうことでしょう」
ホイットニー「日本には米国のように州というものがない。従って上院を認める必要はない。一院の方がシンプルではないか」
松本は、その理由があまりに「シンプル」なことに再び驚き、「彼らはどうも議会制度というものを知らないようだ」と思い、そこで二院制の存在理由であるチェック・アンド・バランスの意義を手短に講義すると、ホイットニー准将一行4人は顔を見合わせて、「ナルホド」という様な顔をした。
松本は三度驚き、「こういう人の作った憲法だったら大変だ」と戦慄した。
この会議のあと、松本はさっそく幣原首相にマッカーサー憲法草案の内容を報告した。
松本「総理、じつに途方もない文書です。まるで共産主義者の作文ですよ」
幣原「うっ…英語もまずいですねぇ」
松本「どうも先方は、あまり憲法というものは知らないようです。議院制度もわからない位だから、少し教えてやる必要もあるようです。急いで訳文を作って検討するとともに、こちらの改正案に対しても、もう一度、説明書を書いて提出してみましょう」
幣原「結構でしょう」
2月18日、松本は、彼がまとめた「憲法改正案説明補充」を白洲次郎に託してホイットニー准将に届けさせた。それは全文3500字にも及ぶ一大論文であったが、とりわけ強調されていたのは、「一国の憲法は其の国情と民情に則して適切に制定せられたる場合」においてのみ、成果を得られるということであった。
「元来一国の法制は其の独自の発達に待つ所多し 他国より或制度を輸入し又は或法律を採用するときは必ずしも成功を収むるものと限らるることなし 例えば英国の議会的民主主義は欧州大陸諸国に輸入せられたるも、英国の如き発達を為したるものなく失敗の歴史を有するもの少なからず又米国人の大統領的民主主義は模範的のものなるも之を輸入せる中米、南米諸国に於て必ずしも成功せず或は其の下に専制政治が行われ革命が頻発せる実例あること世人の知る所の如し 凡て此等の失敗と不成功は国情民情に適合せざる制度を其儘に採用せる結果に外ならず
是に於てか各国には各国固有の歴史に基く国情民情あり 各国法は其の大原則に於ては一致するも少くとも其の形式と実質とを異にすべく強て之を同一にせんとするときは其の円滑なる実行を阻礙することを知るべし 此点に於て法律制度は或種の植物に類似せり 一国の植物を他国に移植するも或は性質を変じ或は枯死するもの少なからず 現に欧米のバラを日本に移植するに少くとも其の香気が殆ど全く失わるること多しとす」
しかしホイットニー准将やケージス大佐は松本の「憲法改正案説明補充」を読んで納得するどころか逆に激怒し、松本を脅迫して、むりやり幣原内閣にマッカーサー憲法草案を受諾させたのであった…。
占領憲法の制定から7年後、松本烝治博士は自由党憲法調査会の質問に答えて次のように告白した。
「実は、私は今の憲法に何と書いてあるか見たことがないのです。それほど憲法が嫌いになったのです。もう憲法とは絶縁というような考えで、すっかり忘れようとのみ考えておった…」(憲法はかくして作られた/伊藤哲夫著/日本政策研究センター)
泉下の松本烝治元国務大臣はGHQ民政局のニューディーラー(アメリカの共産主義者)と同じことを言い始めた自民党の改憲派に絶望しているだろう。
蛙の子オタマジャクシは立派に育っても蛙にしかならない。石原ら自民党議員は占領憲法有効改憲派に属する以上、しょせんGHQの申し子でしかなく、GHQ民政局の初期方針に立ちカエルのは当然か。有効論にしがみつく彼等からは貴族院の復活という発想は出てこないだろう。
第三十四條 貴族院は貴族院令の定むる所に依り皇族華族及び勅任せられたる議員を以て組織す
貴族院議員は其の或いは世襲たり或いは選挙又は勅任たるに拘らず、均しく上流の社会を代表する者なり。
貴族院にして其の職を得たるときは、政権の平衡を保ち、政党の偏張を制し、横議の傾勢をささえ、憲法の鞏固を扶け、上下調和の機関となり、國福民慶を永久に維持するに於いて其の効果を収むること多きに居らむとす。
蓋し貴族院は以て貴冑をして立法の議に参預せしむるのみに非ず、又以て國の勲労・学識及び富豪の士を集めて國民慎重練熟耐久の気風を代表せしめ、抱合親和して倶に上流の一団を成し、其の効用を全くせしむる所以なり。
其の構成制規は貴族院令に具わるを以て憲法に之を列挙せざるなり。
貴族の素質を論ずるときは、一に曰く、王室に密邇(みつに、密で近い)して上流の地位に居る、二に曰く、世襲の家門として祖孫相承け、史傳の精神を有す(伝統と歴史に詳しい)、三に曰く、社会永遠の発達と其の命運を同じくし、國家の全局と其の休戚を倶にす、四に曰く、固より独立の気象を有す、是なり。此れ其の社会の一種族として議会の一局を占め、以て立憲の要素たる所なり。
但し貴族世冑の人は往々世故に昧(くら)く、又活発進為の気象に乏しきの弱点あることを免れず、故に貴族院の制は学識勲労及び富豪資産の人を選任して其の組織分子となし、抱合親和して停滞を刺衡し、倶に上流の一団を成し、以て貴族の効用を完くせしめむとするなり(伊藤博文憲法義解第三十四條解説)。
憲法義解は貴族院の役割と貴族の効用を簡潔に説明して余す所がない。帝国憲法は就官権の均等を保障しているから、貧民の子が苦学して高級官僚や高級軍人となって国家の功労者となり、あるいは帝大教授となり深い学識を修めれば、貴族院議員に成り得るのである。この貴族院が、現代の「民主主義的議会制度」においては不平等であり不必要であり時代錯誤であるというのは間違いである。
占領憲法無効・帝国憲法顕現微修正(復元改正)が成就した暁には、皇籍復帰を果たした旧宮家を含む皇族の方々に、職業軍人ではなく世襲の貴族院議員として活躍してもらえば良く、貴族院という名称が現代の日本に相応しくないのなら、帝国憲法施行前の枢密院憲法会議において一部委員から起きた貴族院に対する批判に従い、衆議院を立法下院に、貴族院を立法上院に改称すれば良いのである。
・日本男子の代わりに決起した戦闘教官アレインさらに萌える詳細はこちら
「売国反日派と戦闘するためのマニュアルは、芦部信喜の憲法学ではなく、教科書が教えない歴史人物の生き方-伊藤博文と比較憲法学と歴史憲法学のエッセンスが濃縮されている憲法義解である!!」
【民主党の正体を知らせる有志の宣伝ビラ(PDF)】三拍子そろったレーザープリンタを駆使し、1人10枚ばらまけば効果的です。
・あなたはこれでも民主党を支持できますか?
・日本列島は日本人だけの物じゃない。
・日本列島は日本国民だけの所有物ではない。
・マスコミが伝えない民主党の不祥事年表
・共産主義的人間から万世一系の悠仁天皇と正統の皇室典範を守護するために、女系天皇に反対し、旧宮家の皇族復帰こそGHQの呪縛を断ち日本が独立主権国家として再興する近道であると信じるブロガーに、終わりに執筆意欲を与える一日一押人気ブログランキングをクリック願います。
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