日本国の救世主かもしれないドジョウ 養殖から加工・売り方まで

　昭和50年代初めまでは、ドジョウを専門に採る多数の漁師がいて、相当の収量があったが、今ではタルどころかバケツ一杯のドジョウを集めることすら難しいという。

　原因は水路の三面張りである。水田と水路がコンクリートで区切られて、春暖かくなる頃にドジョウが格好の産卵場所である水田に移動できなくなっているからである。結果、日本国内に流通するドジョウのほとんどが輸入ものになっている。

　農地改良という名の土木公共事業が自然を壊し農民の副業を潰し、食料自給率を下げているのである。これほど愚かしいことはない。政府がバカな公共事業を行うから、反ケインズ派勢力が跳梁跋扈するのである。

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新特産シリーズ　ドジョウ　養殖から加工・売り方まで

目次
まえがき
第一章大和ドジョウを復活させる

1養殖ではじまる地域づくり
土に由来する純淡水魚
二十年前までは確かにいた
農薬による河川の汚染か？
原因は水路の三面張りだった
ドジョウ復活で生き物が増える
養殖が生命の循環を取り戻す
水稲同時作の可能性もある

2昔の養殖ブームに学ぶこと
収量の少ない魚だからこそ
相場はあってなきに等しい
取引相手をきちんと選ぶ
無理な過剰投資を避けよう
これだけは惜しんではならない

3これからの新しい養殖経営
美味しさをアピールしよう
グループで取り組もう
先の見通しを立てよう
経営収支の表

第二章ドジョウ養殖の知識と準備

1安定生産の土地選び
見まわりがしやすい
激しい漏水がない
潜りこめる泥がある
水害を受けない
日当たりがよい

2生態を踏まえた池づくり
呼吸の特性を知る
池の畦畔をつくる
逃げないように工夫する
四種類の池を整える

3エサが発生する水づくり
エサの食べ方をみる
エサを肥料で発生させる
施肥の要領をつかむ
悪化した水は入れ替える

4道具・薬品の使いこなし
用具の配置を整える
器具・薬品を入手する
飼育網を使い分ける
バケツ・タンクを揃える
捕獲器を工夫する

5養殖初心者の誤解
産卵用の藻を入れる
池に水草を植える
他の魚と混養する
コンクリート池を干す

第三章ドジョウ養殖の実際

1施肥によるエサの発生
元肥による発生の方法
追肥による発生の方法

2親ドジョウの養成と選抜
親ドジョウ池の管理
採卵に適した雌の選抜
受精に適した雄の条件

3産卵促進と精子の採取
産卵促進剤の使い方
採卵適期の把握
精子採取のやり方

4受精作業と不良卵の除去
採卵・受精作業の手順
不良卵除去のやり方
採卵盆での人口受精法
不良卵の見分け方

5孵化槽（初期飼育）での管理
受精後の観察と管理
孵化後の観察と管理
稚魚のエサのやり方
稚魚数の把握の仕方

6放養池（養成飼育での管理）
放養適期の把握の仕方
配合飼料への切り替え

7捕獲から出荷まで
捕獲・選別の方法
蓄養の利点と管理
荷造り・輸送の方法

8水稲同時養殖の方法
水田への放流の方法
エサ発生場のつくり方
深水栽培による管理
捕獲・越年の方法

9病害予防と食害対策
病害の誘発要因と対策
水中肉食動物の防除
鳥害防除のしかけ

10失敗の原因とその対策
卵がかえらない
ホルモン剤の効果がない
麻酔から目覚めてくれない
稚魚が奇形で孵化する
年間の作業の流れ

第四章　ドジョウ料理店のつくり方

1開店の知識と準備
保健所の許可をもらう
和風の店舗を探す
資金計画を立てる

2店づくり・営業の実際
店舗のつくりは田舎風に
メニューを客層にあわせる
料理はシンプルな味で
口コミでお客様を増やす
宅配便で料理セットを
地域の自然を活かす

3ドジョウ料理の実際
回転が早いお店での料理
からあげ
天ぷら
ドジョウだんご汁
天ぷらぞうすい、天ぷらうどん

家庭で楽しめる料理
ドジョウ汁
南蛮漬け
ドジョウの水炊き
ドジョウ丸なべ

常連さんのお店での料理
柳川なべ
茶わん蒸し
バター焼き
かば焼き
みそ煮
ドジョウとろろごはん
塩焼き

4ドジョウの栄養成分と薬効
カルシウムがたっぷり
成人病に効果がある
精神を安定化させる
ビタミンDで相乗効果を
良質なタンパク質に富む
亜鉛で強精強壮を保つ
ヌメリに素晴らしい力がある

5ドジョウのよもやま話
大和ドジョウの種類
釣りエサとしてのドジョウ
カラードジョウよ、もう一度

　ドジョウは大地のミネラルを吸収するから、「うなぎ一匹ドジョウ一匹」「ドジョウを少量でも長年食べていると他の人より10年若くなる」という言葉があるくらい、ドジョウの栄養価は物凄く高いそうだ。この本によると魚類の中のトップクラスである。
　
　そして養殖ドジョウは泥臭くなく、滋味に溢れ、骨が柔らかいなど、輸入・天然ドジョウとは別の魚ではないかと思うほど美味しいという。
　
　以上の情報が広まっていくと、土用の丑の日に相応しい滋養強壮料理はウナギではなくドジョウの蒲焼になるのではないだろうか。

　それにしてもドジョウ養殖のイニシャルコストは安すぎる。工夫すれば、家屋内ミニ養殖が可能になりそうだ。

　長年にわたる試行錯誤の成果を惜しみなく公表してくれたドジョウ―養殖から加工・売り方までの著者の牧野博氏に心から敬意を表する。

　過疎に悩む地方振興策、田舎ベンチャービジネスのヒントは次から次へ名著を出版する農山漁村文化協会にあり。

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