だから連合国は戦争状態中に戦時国際法上の合法行為となる敵対的行動のうち「敵国領土への侵入とその占領」を継続していたのである。したがって日本国を占領していた連合軍は1907年ハーグ陸戦法規の適用対象であった。この法規は戦争に至らざる平時の武力行使(平時占領など)にも準用されるのだから疑問の余地はない。そしてハーグ陸戦法規第43条の立法趣旨は、占領軍の安全に絶対的な支障がある際にも、被占領国の法体系の全面的改変を必然たらしめる憲法の改廃を行う権利を占領軍には与えていない。
ポツダム宣言には「日本国政府は、日本国国民の間に於けるデモクラシー的傾向の復活強化に対する一切の障礙を除去すべし」とある。復活とは、以前に存在していたものが一旦衰退した後に再興することだから、「日本国国民の間に於けるデモクラシー的傾向の復活」とは、ポツダム宣言の受諾以前に我が国に存在していたデモクラシー的傾向の復活すなわち大正デモクラシーに象徴される帝国憲法下のデモクラシー的傾向の復活であって、具体的には政党政治の復活である。
そしてポツダム宣言は帝国憲法下のデモクラシー的傾向の強化を求めてきたのだから、天皇・政府・議会は帝国憲法第10条に依り、勅令(行政命令)をもって政党政治全盛期の組閣慣行を内閣官制化し、更にこれを法制化して「軍部大臣現役武官制度」ならぬ「総理大臣現役政党党首制度」を確立し、原則として総理大臣の就任資格を衆院の多数を占める政党の党首に限定し(ただし帝国議会が壊滅し政党党首へ組閣の大命降下が不可能になるといった国家的危機の場合は、天皇が緊急的非常措置として信頼のおける股肱の臣あるいは皇族を総理大臣に選任すべきである)、元老と重臣による恣意的な総理大臣候補の奏薦を排除すれば良い。そうすれば衆院選挙は政権選択選挙となり、有権者の国民は普通選挙を通して自由に意思を表明し政府の形態を決定できる。
そして1922年のワシントン会議の際、原敬首相が臨時に海軍大臣を兼任したのだから、日本政府は軍部大臣現役武官制度を再び廃止し、法律をもって陸海軍を統合する国防省大臣の就任資格を現役予備退役の将官から文民の政治家と現役の総理大臣にまで拡大してしまえば、与党の党首が総理大臣と国防大臣を兼任し、内閣の戦争指導に異議を唱える統帥部幕僚や軍司令官を罷免でき、政戦両略の一致は容易くなる。
もともと帝国陸海軍の軍事刑法の改正、国民が負う兵役義務の内容を定める兵役法の改正、我が国が軍拡と戦争を遂行するための軍事費の支出は、いずれも帝国議会の協賛(承認)を経なければならなかったのだから、これに政府と議会が適切な勅令と法律を加えれば、帝国憲法の下で軍事全般に対するシビリアンコントロールの強化と確立は充分に可能である。
ポツダム宣言第12項「前記諸目的が達成せられ且日本国国民の自由に表明せる意思に従い平和的傾向を有し且責任ある政府が樹立せらるるに於ては、連合国の占領軍は、直に日本国より撤収せらるべし」は帝国憲法の改正を待つまでもなく達成可能であった。
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ポツダム宣言は明示的にも黙示的にも帝国憲法の改正を我が国に要求しておらず、また帝国憲法と矛盾しないのだから、締結された国際条約と締結国の憲法が矛盾する場合は憲法が失効するという過激な条約優位説が実在すると仮定しても、宮沢俊義の八月革命説は、昭和20年8月15日以降も帝国憲法秩序は健在であったという事実とは懸け離れた無法なフィクションであり、ポツダム宣言の文言すら意図的に歪曲解釈した曲学阿世のデマである。宮沢は公職追放を恐れGHQに媚び諂ったのである。
このことは、幣原内閣の憲法調査会で宮沢俊義が師である美濃部達吉とともに帝国憲法改正の不必要を唱えていた事実によって、簡単に証明される(以上は長尾龍一著日本憲法思想史参照)。
だからインターネットが普及した現在、まさかネット上で八月革命説への信仰を告白する者はいないだろうと、所長は思っていたが、甘かった。日本国憲法無効宣言―改憲・護憲派の諸君!この事実を直視せよのレビューに次のようなコメントがあった。
法律解釈としてムリ, 2009/3/20 By みかん (東京都練馬区)
自由主義的な日本国憲法を否定したいという気持ちは伝わるが、「憲法論」としては全く通用しないレベルだ。
まず、日本国憲法は明治憲法の「改正」により成立したのではない。ポツダム宣言の受諾により、天皇主権が否定され、国民主権原理が採用されるという一種の法的革命が生じ(八月革命説)、これに基づいて制定された新憲法である。
とすれば、日本国憲法の制定につき、明治憲法73条以下の改正規定は適用されず、したがって75条類推という法律構成も採りえない。
また、ハーグ陸戦法規が禁止しているのは交戦中かつ軍事占領下での憲法改正であり、休戦条約締結後は適用されない。日本国憲法の成立は45年9月の休戦条約締結以降なので、ハーグ陸戦法規違反で無効とする解釈も困難である。
そもそも八月革命説を前提にすれば、国民主権原理に背馳する限りで、明治憲法は当然に失効するか意味変容が生じることになるので、明治憲法の規定にさかのぼって日本国憲法の有効性を考えるというアプローチそのものが疑問である。
本書の正しい利用方法は、右からの勇ましい意見に踊らされないかどうか自己検証する点にあろう。この本を読んで「納得」してしまった人は、憲法学の基本書を一冊読んでみることを勧める。憲法の基礎知識が不足しているシグナルであるから。
いやいや

【戦後の憲法学のウソを暴く】
・政教分離という異常な左翼イデオロギー有害無用そして議論するまでもなく日本国憲法は無効-理由は簡単です

・反日的日本人が画策している女系天皇が実は憲法違反であることを論証する悠仁天皇と皇室典範
・最新鋭の戦艦長門にZ旗が上がる
「皇国の再興はウソを撒き散らす反日マスゴミの撃滅にあり、総員一層奮励努力せよ」

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