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痛快!憲法学 ― Amazing Study of Constitution & Democracy(小室直樹著/集英社インターナショナル)の目次
ようこそ憲法学の世界へ!
第1章 日本国憲法は死んでいる
第2章 誰のために憲法はある
第3章 すべては議会から始まった
第4章 民主主義は神様が作った!?
コラム かくして憲法は誕生した イギリス憲法小史(上)
第5章 民主主義と資本主義は双子だった
第6章 はじめに契約ありき
コラム かくして憲法は誕生した イギリス憲法小史(下)
第7章 民主主義のルールとは何か
第8章 憲法の敵は、ここにいる
第9章 平和主義は戦争を作る
第10章 ヒトラーとケインズが20世紀を変えた
第11章 天皇教の原理 大日本帝国憲法を研究する
第12章 角栄死して、憲法も死んだ
第13章 憲法はよみがえる

痛快憲法学!の第11章「天皇教の原理-大日本帝国憲法を研究する」は、小室直樹氏らしからぬ誤解の産物である。詳細は「現人神」「国家神道」という幻想―近代日本を歪めた俗説を糺すに譲るとして、昭和天皇に戦争責任がないことを論証するためには、伊藤博文の憲法義解から帝国憲法の第三条と第五十五条の正当解釈を引用すれば良く、わざわざ君主の拒否権(所謂ベトー)の不行使を持ち出す必要はないはずである。
拙書【国民のための大東亜戦争正統抄史1928-56戦争の天才と謀略の天才の戦い88~93近衛文麿の正体】から
昭和天皇の御意向を幾度となく無視し、参謀本部の猛反対を恫喝して支那事変を拡大長期化させた張本人は近衛文麿自身である(第一次近衛声明、汪兆銘工作、汪兆銘政権の正式承認)。従って支那事変で責任の帰着点を追及していけば、昭和天皇は無論のこと陸軍首脳すら免責され、政治家としての近衛の責任が最重大になることは必至である。
なぜなら帝国憲法は、天皇を、処罰と侮辱の対象にならない無答責(政治的無責任)の地位に置き(天皇の神聖不可侵、第三条)、天皇を輔弼する国務大臣に、君主に対する直接的責任と人民に対する間接的責任とを負わせている(第五十五条)。天皇が裁可し公布する法律勅令および国事に関する詔勅は、国務大臣の副署に依って始めて実施の効力を得、国務大臣の副署が大臣担当の権と責任の義を表示するからである(憲法義解/伊藤博文著)。
第二次近衛内閣が昭和15年11月30日に汪兆銘政権を正式承認し日華基本条約を締結したことに対して、蒋介石は「この一枚のニセ条約は、中日両国の戦禍を無窮に延長し、中日両民族間に、百世にわたっても解けない仇恨をもたらすものである。これは、近衛内閣(第二次)最大の罪悪である。近衛は、無知無能にも、汪政権を承認したことで、中日両国間に解くことのできない仇敵関係をつくりだした。これは敵国(日本)のためにもまことに残念なことであるばかりでなく、さらに東亜のためにも危機感を深めるものだ」
と非難したが、同日、昭和天皇が参謀総長の杉山元大将に対して、次のように下問されていた。
「我が国もいよいよ汪政権を承認した以上、いわゆる全面和平は当分難しいと思うが、そうすれば、政治的に見れば持久戦ということになるのであるが、この際徹底的に蒋介石を撃破する方策があるか」
杉山総長は、それは難しい、と奉答した。
「それならば、我が国の財政物資等の見透しからしても、この際、戦線を整理して国力相応に調整する必要はないか」
急に兵をひくと敗北したと宣伝されるおそれがある、漢口は維持する必要がある、というのが杉山総長の答えであった。
「それはそうかも知れぬが、この際思いきった案ををたてないといけないのではないのか」
天皇は、押し返すように下問したが、杉山総長は、「充分研究致します、財政物資等の問題は充分考慮致します」と答えただけであった。
天皇は、杉山総長との問答を木戸内大臣につたえ、総長はいつものとおりだ、と心配そうであったが、天皇はさらに海相の及川古志郎大将にも、支那戦線を縮小すべきではないか、とたずねた。
及川大将は、「現状にては押すを可とす。三ヵ月位後に重慶に重大なる変化あるべし」と奉答した(天皇4/児島襄著)。
以上の事実が教えることは、帝国憲法下では、しばしば臣下の者が天皇の希望に反する政策を決定しており、天皇は専制絶対君主ではなかったこと、海軍首脳は支那事変の拡大に積極的であったこと、そして中華民国の総統と大日本帝国の天皇が同じ認識-近衛内閣が行った汪政権の承認と日華基本条約の締結が日中和平の実現を極めて難しくしてしまった-を当時から共有していたということである。そして両者の認識は正確であった。
昭和15年11月13日の御前会議は、支那事変処理要綱を可決し、政府軍部民間がバラバラに同時並行していた多数の和平工作路線(当時の噂では17本、資料では13本が確認されている)を外務大臣の1本にまとめ、最後的対重慶和平工作を行うこと決定したが、近衛内閣が汪政権を正式承認した後、日中和平工作の路線は完全に閉塞状態に陥った。昭和19年末に繆斌(ミョウヒン)工作が浮上するまで、我が国は約4年のあいだ支那事変を解決する手段を喪失してしまった。これが外交的にも軍事的にも我が国の致命傷となった。
日米開戦は日中戦争の延長戦であったから、したがって日本国を大東亜戦争の敗北へ導いた責任は日華基本条約締結時の総理大臣近衛文麿にある。そして汪兆銘工作の推進者は西園寺公一、犬養健、そして尾崎秀実らゾルゲグループの共産主義者であったから、我が国の敗因は、防諜体制の不備であり、治安維持法の運用が共産主義者に対して寛容に過ぎたことであった。
戦後日本の左翼勢力は、以上の史実の隠蔽に全力を注いできたといっても過言ではない。だから日本の保守勢力が左翼勢力を撃滅するには以上の史実を暴露していくべきなのに、保守派の歴史学者は、左翼勢力の信奉する東京裁判史観に対抗しようとする余り、大東亜戦争肯定論を展開してしまった。そして大東亜戦争肯定論を維持するために、尾崎秀実らゾルゲ機関の作為戦争謀略活動を隠蔽するのである。彼らは左翼と同じ穴の狢になってしまうのである。その典型的人物は大東亜戦争への道の著者の中村粲氏であろう。
そして保革双方の歴史学者が重要な史実を隠蔽するから、講和条約の発効から57年が経過しても、一般人の殆どは大東亜戦争の真実を知ることができない。所長自身も大東亜戦争とスターリンの謀略と出会うまで、いくら戦史書を読み漁っても、大東亜戦争の全体像と我が国の敗因を把握できなかった。
だから戦後民主主義洗脳狂育を受けてきた国民は、「日本軍が復活すれば何を仕出かすか、わからない、また暴走して日本と周辺諸国を戦争に巻き込むのではないか」という心に残る漠然とした自己不安と自国不信を拭い切れずに、日本国防軍の創設に躊躇してしまう。
そして国民の無知に乗ずる左翼勢力は、国民の不安を煽り、国防軍の保持を禁止する占領憲法第9条を肯定する一般人の護憲派勢力を育てて日本国の弱体化を図る。また帝国憲法、神道、靖国神社、教育勅語、治安維持法、特高警察等々、彼らが嫌悪するものに戦争原因と戦争責任を転嫁しては、過去の反省という名の下に、それらを糾弾し、歴史の教訓であるはずの防諜法および反共法の復活と強化を妨害し続けている。
右翼に化けた共産主義者が宣伝していた東亜の解放-東アジアを英米帝国主義(資本主義)より解放して共産主義化することを目指していた日本の大東亜戦争を肯定する自称保守派は、エセ保守である。このエセ保守が憲法学でも歴史学でも左翼勢力を跳梁跋扈させ、占領憲法を延命させているのである。
田母神歴史エッセイを批判する意見の中に、「日本はコミンテルンの謀略に引っかかり戦争に巻き込まれた被害者だ、あの戦争の真犯人はコミンテルンだと主張しながら、日本の戦争を肯定したり礼賛したりするのは可笑しい」というものがあったが、これはまことに正しい。田母神塾頭のガードは非常に甘く、隙だらけである。
しかし田母神俊雄氏が、あらゆる占領憲法有効論を撃破した元東京裁判被告弁護人菅原裕氏の日本国憲法失効論を読み、以下のことに気付き、真正保守主義の政治家に化けて大いに活躍できるだろう。
第二次世界大戦におけるソ連の作為戦争謀略活動を知った非左翼もしくは反左翼の日本人は、大東亜戦争肯定論を否定しなければ、可笑しい。
占領憲法の正體-制定手続きの違法性と内容の欠陥を知った立憲主義者の日本人は、占領憲法有効論を否定しなければ、可笑しい。
<関連ページ>
・再録ハルノート再考
・戦後日本マルクス占領憲法解釈学からの覚醒 マッカーサー占領憲法無効論と帝国憲法改正試案
・鎌倉時代に書かれた日本最高の仏教はやわかり八宗綱要―仏教を真によく知るための本と色即是空空即是色の空理論を簡単に悟らせる日本人のための宗教原論を履修すると…マルクス教、統一教会、創価学会、あらゆるカルトは不要!
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ラベル:日本近現代史
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>田母神俊雄氏が以下のことに気付いて反省すれば、政治家として大いに活躍
本当にそうなんですよね。国会で、「改正」といってしまいました。あそこで「無効」といってくれていれば、政治論争ではなく、学術論争になり、潰せ憎くなったはずだろうと思うと、おしい!非常におしかったです。70点ぐらいでしたね。
応援、ポチ、ポチ。
また来ますね!!!
竹槍さん、よくわかりません。
もし田母神さんが占領憲法無効論者になれば、強力ですよ。
コミンテルンの謀略があったが、それに気付いていて、
日本がハルノートを受け入れても、アメリカは、次々と日本の受け入れ難い要求を突きつけて来て必ず戦争に引き込んだ筈だ。
ハルノートは宣戦布告だったと云う見方があるがどうだろう。
人種差別を大転換させたのが大東亜戦争だ。
大東亜戦争の肯定や否定は無意味だ。歴史の必然だ。
日本は大東亜戦争を反省する必要は無い。
反省するとすれば、次の戦争は必ず勝つ戦争をする事だ。
>南出さんの著書を田母神さんに手渡す縁はないものか
あまりネット上では詳しくかけないのですが、西村真悟議員経由でご存知のはずです。ただ、理論的に南出無効論をちゃんと理解されているかどうかは???不明です。
いづれにしましても、占領憲法の正体ができましたら、正攻法であちらこちらに手紙を添えて送る計画を立てています!