2009年03月04日

顔のない男達 アメリカにおける共産主義者の陰謀(ルイス・フランシス・ブデンツ著

 ルイス・フランシス・ブデンツは、1935年コミンテルン第7回大会決議「反ファッショ人民戦線戦術」の発表を契機にアメリカ共産党に入った人物である。しかしブデンツは、ソビエトの独裁制度が世界の奴隷制になるだけだという事実に気付き、10年間にわたる活発な共産党指導者としての活動を経て共産党を脱退し、彼が目撃したアメリカ共産党の活動の表裏を暴露した。

 ブデンツがソビエト独裁制度とアメリカのその第五列がアメリカにとって明らかに危険な存在であることを立証するために発表した著書が「顔のない男達アメリカにおける共産主義者の陰謀」である。この古めかしい回顧録の価値は急上昇している。この内容がソ連崩壊後に公表されたコミンテルンの機密資料やVenona資料によって裏付けられたからである。信憑性の高いこの回顧録は、共産主義者の心理や思想を我々に教える、戦史研究に欠かせない一冊となった。

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顔のない男達 アメリカにおける共産主義者の陰謀(ルイス・フランシス・ブデンツ著/1950年初版)の目次



十三番街の家
党ではない
スターリンの政治的旅行者(アメリカにおけるモスクワのスパイ群の猛活動)
ヨシフの梯子を登ってゆく(アメリカ共産党の秘密機構)
スターリン宗教(アメリカにおけるスターリンの崇拝)
Sの日(スターリンの対米攻撃下命の日)
外套と短剣
明白なる現在の危機

あとがき

 神学によると、悪魔が人々に対して悪魔というものは存在しないのだと説得する時、これ以上の成功はないといわれるが、それはこの場合でもほぼ同じである。ソビエトの第五列の人々がアメリカ人に彼らは存在しない、と信じさせた時に、スターリンの世界征服の目的を促進するに最も有効である(28ページ)。

 我々は特色ある共産主義者の道徳があるということと、レーニンが言ったようにプロレタリアートの階級闘争の利害の中から生まれた道徳があるということを、理解することが必要である。この道徳はそれが必要な場合、すなわち党を守り、また真実についてのブルジョア的見解と一致しないためには、事実を隠し、偽証をするなどの非合理的・非合法の方法を用いることを要請する。これこそ、新しいタイプの党の言葉の中に含まれる思想である。

 この共産主義者の道徳の全貌は、別に驚くべきことでもないが、一般的にアメリカ人にかなり誤解されているから、ここで少しつけ加えるのが順序かもしれない。このことは最近にもヒスとチェンバースの裁判の時に指摘された。共産主義者は嘘をつくことでは組織的専門家である。

 ただ彼等のなす嘘は党の目的を助けるためである。故に彼等の異色ある倫理によれば、嘘をつくことは不正ではなく、正義なのである。彼らは党の敵と宣告された男女については、ちゅうちょなく嘘を流布する。

 彼等は赤でない世間の人々が、彼等の悪意ある悪口を受け入れ、それを流布するようにさせるためには力限りの努力を傾ける。証人台の上ですら、党の利益を守る必要の場合には、偽をなしたし、またなすであろう。しかしこれは党の命令のもとに党の目的のためにするので、コミュニストの道徳の本質的形態と見なされている。

 それは病的な嘘付きかどうかの問題ではない。日常生活関係では、コミュニストは全く正直でありうる。党への報告でも真実を語らざるを得ない。コミュニストから党中央本部へなされる報告以上に正確なものはありえないであろう。

 最も危険なことは多くの人々が、日常の事柄において正直であると思い、またそう知っているコミュニストが政治的事柄でも同じ人々だと思う点である(62ページ)。

 晩食を終えると我々はミシガン大通りに散歩に出かけた。デーリーワーカー紙の最近の社説で、人民戦線運動により永久的雇傭について述べているものに言及して、ジーベルトは、そんなことは社会主義にならねばできないことだと主張した。「マルクスが言ったようにだ」と彼は憂鬱な熱意をもって叫んだ。

 ついで私を驚かしたのは、彼が四年以上も前の一九三三年七月五日にデーリー・ワーカー紙に載せた社説の結語を完全に引用したことで、それは労働者階級に、ソ連こそ彼らの自然的ふるさとであるから、対ソ戦が起こった場合は、労働階級はその祖国ソ連の防衛に結集しなければならない、というものだった。

「しかし、その社説は第九階で僕が始めて君に会った頃の社説だぜ」
「そうだよ、」と彼は答えた。
「僕がその頃書いたんだが、同志エドワーヅがそうしろよと言ったのでね。あの説は我々が永久に忘れてはならんことだよ。このアメリカの労働者、またいかなる国の労働者にとっても、ソ連こそ唯一の祖国なんだよ。それはクリスチャンが、その洗礼を受けるときの誓をいつも繰り返すようなものさ」と彼は笑った(112ページ)。

 私の記憶に残る他の全国委員会拡大総会は一九四一年十二月のそれである。その頃、ヒットラーはソ連を攻撃し、党はアメリカ参戦を絶叫していた。その時のフレイターナル・クレブハウスの総会はシカゴ総会以後最大のものであった。その頃、ブローダーは旅券偽造の罪によって監獄に入っていたが、党は親ソ政策は地下から表面に出るときだと信じていた。それはフォスターが予備報告で述べたところだった。ブローダーがいないので、フォスターが代わって党首の役目をした。

 ある日曜日の会議で各州の同志達は次から次へと立ち上がって、各州においていかにアメリカの対ソ援助を促進するに努力したかを報告していた。その時日本が真珠湾を攻撃したというニュースがきた。みんな一せいに狂喜した。ソ連独裁体制を破壊から救うためにアメリカが立ち上がることになるだろうと、一同ただちに直覚したのだ(180ページ)。

「このコミンテルン計画は世界プロレタリア独裁のための闘争のプログラムとなり、世界コミュニズムのための闘争のプログラムとなる。」

 私をはじめあらゆるコミュニストは、この文章の示す目的は世界プロレタリア独裁だということを知っていた。それはあらゆるコミュニストが一切の公式報告で述べているようにスターリン指導の独裁だ。それには特にアメリカも含まれるが、その文章はアメリカを嘲笑的にドル共和国と呼んでいる。闘争はソ連の一切の敵が破砕されるまで続く。なぜなら二つの敵対する制度が争っていて、それは妥協することはできないからだ。

 もし戦争が両者の間で発生すれば、命令は明確である。「帝国主義諸国がソ連に宣戦し、攻撃する場合は、国際プロレタリーアートはプロレタリアート独裁とソ連との同盟のスローガンをもって、帝国主義諸政府の打倒のため、大胆にして決定的な大衆行動と大衆闘争を組織して仕返しせねばならない。」

 この計画にある他の目標は植民地諸国たとえば中国の暴動である。かくて生まれるソビエト独裁は、ソ連の指導するソビエト諸共和国の成長しゆく連合に吸収される。

 準備のため、赤どもは特に合法・非合法の活動に馴れるよう命ぜられる。レーニンのすすめた戦術-暴力と地底の非合法活動をよく発展させるため、能う限り合法の枠内の中でやれ、と。地底に潜っても市民的自由のマントを着て、法律を利用せよ、と。赤よ。
 さらに赤の諸君は常につぎのスローガンを忘れるでないぞ、と。「帝国主義戦争を内乱に転化せよ。君の国の帝国主義政府を破れ。能う限り、ソ連とその植民地を守れ、対ソ帝国主義戦争の場合は。」(229ページ)

 一九四四年十月のスチルウェルの危機の最中に、中共は周恩来を通じて、再び連立を呼びかけた。周恩来は毛沢東の主たる仲間で、一九四六年のマーシャル将軍の国共調停の時の中共側主席代表である。さて、マーシャル将軍が中国にくる前、そして周恩来の連立提案の六ヶ月後、この中共提案の二重性は毛沢東自身によって暴露された。
 
 すなわち中共の第七回全国大会における特別報告の中で、毛沢東は言った。連立は蒋介石を破壊し、反動的アメリカ帝国主義を破るための単なるスローガンに過ぎない、と。また彼は一九四四年に採用された党の決議-アメリカに対する中共の協力は一時的戦略である-を再確認した。

 十三番街から我々は甚大なる興味をもって、中国のこの動きを注視し、また絶えずアメリカ国民とその指導者に、中共に有利なように働きかけていた。マーシャル将軍こそ、この秘密の働きかけの主たる目標であった。もっとも彼はこれに気付かなかった。このような赤の欺瞞ゲームは一九四五年から始まった国民党の敗北となった。

 なぜなら我々によって満州に入ることを許されたソ連は、日本に対して掛け声ばかりの六日間の戦争を行い、六十二万五千人の日本軍を武装解除し、その武器を中共に手渡したからだ。このロシアから貰った、鹵獲武器によって中共は蒋介石軍を北支から追い出し、ついに今日のような中国の崩壊を導いた。モスクワが蒋の国民党政府に友好関係を誓い、その代償として、国民党政府をして、満州に対するソ連の要求をいやいやながら承認させて僅か三ヶ月後に、ソ連は毛沢東の軍隊に武器を渡したのだ(280ページ)。

 さて、アメリカの軍備と勇気が対日戦争を終わらせると、ソ連は直ちに蒋介石に襲い掛かった。デーリー・ワーカー紙の社説(一九四五・八・一五日付)は一発の大砲も、一人の兵も、または航空機や装備の一つとて、蒋のファッショ軍閥に渡すなと叫んだ。
 かくて日本降伏後二十四時間以内に蒋介石はファシストにされたが、この言葉で呼ぶことは宣戦布告を意味するものだった。十三番街の最上階は忙しくなった。仕事は始まった。「中国から手を引け」の叫びをあげるのが我々の仕事だった。

 デーリー・ワーカー紙の前期の社説の二日後には、トルーマン大統領に宛てた社外有志の「メッセージ」が載せられた。その言葉使いは前記の社説と同じであったが、ただ二十一人の著名なアメリカ人によって署名されていた。その連中の中にはフレデリック・ヴァンデルビルト・フィールド、ローレンス・サリスプリー(IPRの編集者の一人)、T・A・ビッソン(中国問題専門家)なども含まれ、彼等は中共をブルジョワ・デモクラシーのエッセンスだと主張していた。
 
 まもなくデーリー・ワーカー紙の社説は、共産党ニューヨーク州本部からの覚書で応援された。その表題:中国に対するアメリカ帝国主義的干渉反対闘争運動。私は現在でもそれを写真にとって所持している。
 この覚書は、トルーマン政府と共和党の帝国主義的世界制覇政策と中国における帝国主義的干渉に反対する陳情団を国会に出すことや、大衆行動や、ピケット・ラインを命じていた(284ページ)

 我々が共産党というものは、モスクワの指導する謀反組織だという場合に、我々はその党員の一人一人がその謀反について知っていると言ってはいない。
 党員のほとんど全部の者はゲルハルト・アイスラーとかJ・V・ピータース等については何も知っていない。彼らは命ぜられた通りにやっているだけだ。

 だから彼等の大部分は社会的な不正義に対する共産主義者共の叫び声にひきつけられて不正の中の最大のもの-すなわち奴隷国家のために尽力しているのである。しかし彼等のある者は、そのうちに、独占資本主義と共産独占主義とは兄弟であるということを知るようになる。されば今日のアメリカには共産党を脱党した何千という人々があり、また党の脱党率はきわめて高い。


 共産主義とは何か、マルクスはその定義を説明しなかった。だから知性を欠く者たちは、実態のない幽霊である共産主義に自分勝手な理想を投影する。そして彼らがマルクス・レーニン主義を実践していくと、彼らが非難して止まない独占資本主義の最悪形態が彼ら共産主義者自身によって建設される。
 
 プロレタリアートの独裁を行う党が全ての生産手段を国有化すると、党が国の富と権力を独占私物化する国唯一の資本家となり、労働条件、地代、公定価格を恣意的に操作して人民を徹底的に搾取することになる。それは自由と人権が全く存在しない暗黒の全般的奴隷制国家である。

 そして共産主義を目指した国家がこの世の地獄と化した果てに自壊すると、他国のマルクス・レーニン主義者たちは「あれは共産主義ではなかった」と言い張り、別のところに自分たちが思い描く「本物の共産主義」を目指して地獄の門を開く。共産主義という理想郷を夢想させ人間を永久革命に誘うマルクスは、人類の歴史に現れた人形の悪魔の一人といっても過言ではないだろう。

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posted by 森羅万象の歴史家 at 22:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 所長が選ぶ名著と迷著の紹介 | 更新情報をチェックする
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