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昭和史の論点(坂本多加雄、秦郁彦、半藤一利、保阪正康/文春新書2000)から昭和史研究第一人者?による偏向史観論議に対する批判の開幕です。
秦「ただ、日本もコミットする形で出来上がったワシントン、ベルサイユ両体制を、満州事変で最初に破ってしまったのは日本なんですね。」(9p)
所長「これは間違い。ワシントン体制を最初に破った国は、九ヶ国条約付属第十号決議を履行しなかった中華民国です。
秦氏は、歴史家は歴史観を持つべきではない、と言いながら、満州事変は日本に一分の理もないというデタラメな反日史観を公言して憚らない実に不可解な歴史学者であり、頻繁にチョンボを犯し、しかも訂正も反省もしない。良い仕事もしているだけに惜しい。」
保坂「このなかの九ヶ国条約などに違反するという形で昭和史が始まったというのは事実で…」(10p)
所長「満州国建国が中華民国の領土保全、機会均等を定めた九ヶ国条約に違反するか否かは、満州独立運動の正統性に絡む難題であることはリットン調査団が指摘しており、イギリスは昭和七年六月二十二日に『九ヶ国条約は満州に対し、その独立宣言を禁ずるものではない』という見解を出している。また国際法には事情変更の原則があり、一九二二年に締結された九ヶ国条約が、満州事変の際も有効であったといえるかどうか。」
秦「近衛内閣のとき、蒋介石を対手とせずという非常識な声明が出ますが、これも蒋介石嫌いがこうじてあんなバカなことになった。これはどういうことなんでしょうかね。」(24p)
所長「そんな単純なことじゃないよ。私の戦史を読みなさい(笑)。」
秦「一方、中共陰謀説は、まずありえないと断言していいと思います。」(82p)
所長「秦郁彦氏を論破した中村粲氏への対抗心ですか(笑)。廬溝橋事件の際、中国軍が最初に発砲したことは事実であり、その中国軍内部には、中共の工作員が潜入していた以上、中共陰謀説はありえない、と断言するには時期尚早ですな。因みに木戸幸一関係文書の中に、重慶政府は廬溝橋事件の真犯人が中国共産党であることを知っている、という昭和十八年十二月八日付けの報告書が収録されている。葛西純一氏の告白から中共陰謀説が囁かれ始めたのではないのですな。」
秦「南京事件の法的意味ですが、日本政府はサンフランシスコ講和条約で、東京裁判判決を受諾し、サインをしています。つまり、東京裁判の結論に政府として文句はいいませんという言質を取られているのです。日本政府の公式な立場としては、南京虐殺事件は、数の問題はべつとして、たしかに存在した、と確認しているわけです。」(83p)
所長「サンフランシスコ講和条約第十一条ですか。これは、アムネスティ(国際法上の恩赦、講和条約発効が戦争犯罪人を免責するという国際慣習法)の対日不適用と言いまして、要するに、講和条約発効後も連合国が赦すまで日本政府は戦犯とされた自国民に対する刑罰の執行を継続すべし、という意味なんですな。
第十一条は、講和条約発効後の戦犯に対する刑罰の執行と恩赦の実施に関する手続き条項で、1958年まで日本政府と関係する外国政府によって円満に完全に履行され、役割を終えました。
実証歴史学者が、東京裁判史観を墨守しようとする反日左翼共の虚偽解釈を採ってもいいのかねぇ」
秦「大戦略レベルの陰謀説をとる人に聞きたいのは、事変が起きる前から陰謀が公言されていた事実をどう考えるかです。コミンテルンの陰謀に乗ぜられるなという類の話は、当時から山のようにあるんです。もし、これを陰謀と呼ぶならば、これだけ警告されていたにもかかわらず、どうして日本政府や陸軍のトップがむざむざと騙されたのかという話になってしまいます。」(88p)
所長「それは、第三次近衛声明あるいは近衛上奏文の如く、共産主義者が、コミンテルンの陰謀に乗せられるな、と故意に警告を発して彼等の正体や謀略を隠蔽していたのよ。いわゆる偽装スローガンですな。
当時の日本は革新思想に汚染されつくしており、政府や陸軍中央内部に共産主義者が盤踞していたが、日本の防諜機関は一般国民や末端の兵士を監視するばかりで、国家機密を作成し管轄する国家中枢にほとんど注意を払っていなかった。このことは、現代史資料ゾルゲ事件4に収録されている昭和十七年官情報八五九号「国際諜報団事件に対する意向」や大谷敬二郎の昭和憲兵史を読めば、よくわかる。「灯台下暗し」ですわ。
「革新」政府と軍部は騙されたのではない。彼ら自身が一般国民と将兵の大部分を騙し、そして戦後のあなたがた歴史学者を騙し続けているのです。」
秦「捕虜の資格があるかないかはこの際関係ありません。」(96p)
所長「捕虜虐殺の有無が論点の一つである以上、大いに関係あります(笑)。因みに南京城内の便衣兵は武器を捨て自衛の手段つきて降伏を求める者ではなかったのだから、彼等の掃討は合法です。」
坂本「東亜新秩序は、東亜には新しい世界ができつつあるのだから、ヨーロッパの国際法は黙っていろ、という宣言ですね。」(107p)
所長「だから東亜新秩序というのは、近衛の最高政治幕僚としてこれを唱えた尾崎秀実が獄中で白状したように、東亜全域の共産化です。自分勝手な憶測で戦史を語ってはいけない。東大法学部卒、法学博士という肩書きが泣きますぜ。」
半藤「雑誌ジャーナリズムの世界は、この頃、東亜新秩序一色になりますね。」
秦「それらは、現在、雑誌のバックナンバーでなければ、まず読むことはできません。その後、全集などを編むときに外している例が多いのです。しかし内容が空虚でつまらないものばかり。」(109p)
所長「戦争と共産主義に収録されていますけど…。しかも尾崎の獄中手記を併読すると、内容は実に興味深く、東亜新秩序、東亜協同体を唱えた彼等の謀略思想を示唆しております。それらの戦時論文が彼等を通したソ連コミンテルンの宣伝謀略活動です。
だから全集から外されているのでしょうに…。なぜわからないのかな」
半藤「独ソ戦で腰が引け、南進反対つまり対米戦争回避に回った陸軍の尻をひっぱたき、強引に対米戦に持ち込んだのは、やはり、第一委員会を中心とする海軍なんです。」(139p)
所長「戦史叢書の大本営陸軍部大東亜戦争開戦経緯、関東軍、大本営陸軍部、機密戦争日誌を読めばわかるけど、独ソ戦勃発と同時に陸軍の主流派は南進を唱えております。」
秦「(ハルノートのソ連陰謀説について)むりな推論でしょう。選ばれたのがKGB案に似ていたとしても、ルーズベルトは自身で決断しているわけですから。」
所長「ルーズベルトがハル暫定案ではなく、ソ連のスパイであるホワイトの試案を採用して日本政府に提示した結果、日米、米独戦が勃発しました。これは、ルーズベルト政権内のソ連スパイを通してルーズベルトに影響力を及ぼしアメリカの国策を操作するというソ連の対米諜報謀略戦の勝利でしょうに(笑)。」
半藤「辻政信が兵士に配った小冊子を見ると、現地の人たちを「土人」と書いているんです。土人を可愛がれ、しかし過大なる期待はかけられぬ、なんて、これが解放軍の態度とは思えません。」
所長「…土人は、土着の人々(呉智英氏)を意味するのでは…」
所長は上の可笑しな歴史談義を頻繁に掲載する諸君の購読も立読も止めた。つまらないから。上の歴史研究者は日本に同情と理解を示した全文リットン報告書やパル判決書を読んでいない。
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今までの定説から来るイメージを蓄音機のように繰り返すだけです。
何がしたいんだか…って思います。
私と違い、防衛図書館とか国立図書館を使えるはずのプロ学者が第一次資料集をろくに読まずに、お粗末なことばかり言うのだから、本当に人文系学問は悲惨です。