原子力発電と地球温暖化現象の真実を明かす日本の賢人 槌田敦

　久しぶりに、日本の誇るエントロピー研究の世界的権威である槌田敦先生（理化学研究所研究員）の著書「環境保護運動はどこが間違っているのか？」を読んだ。「ナルホド」と納得させる鋭い指摘の連続に、再び目を開かされた。
　

　石炭火力発電の電力産出比（一定電力量／一定電力量を発生させるために必要なエネルギーコストとしての石油の量）を100とすると、石油火力発電の電力産出比は100以上、原子力発電の電力産出比は１に近く、太陽光発電の電力産出比は原発以下なんだそうな。

　「代替エネルギーを研究している人たちにとって、原発や太陽光発電のエネルギー収支はタブーなんです。原発も太陽光発電も使い物にならないというのは、エネルギー関係者にとっては常識なんですけど、その常識をしゃべってしまったら、これまでのエネルギー政策を全否定しなければならなくなる。国からお金を貰っている以上、何とかごまかしながらやっていくしかないわけですね。」

という槌田敦先生の指摘は、衝撃的である。

　原子力発電は、発電施設の建設、運転、補修、核燃料の採掘、運搬、精錬、廃棄物の処理に必要なエネルギーコストとして膨大な石油を消費する電力の迂回生産である。つまり原子力発電は、石油を使ってウランを燃やし、お湯を沸かして蒸気を作り、発電機を回しているので、原発は炭酸ガスを排出しないというのはウソなのである。
　ペットボトル、牛乳パックのリサイクルも、エネルギーコストとして石油をはじめ多くの資源を消費するので、資源の節約にはならず、逆に資源の浪費になってしまうのだ。

　しかし電力の迂回生産は仕事量を増やすので、産業界に仕事と利益をもたらす。だから産業界は原子力発電を好むのであり、環境問題に冷淡であったフランスが突然に炭酸ガスの排出による地球温暖化の危機を煽った真の狙いは、フランスの国策産業である原子力産業の継続を正当化することであって、炭酸ガスの増大と地球の温暖化の因果関係自体が怪しい上、炭酸ガスの増大は植物の成長を促し、地球の温暖化は、海水の蒸発を促し、０度以下の南極大陸に流れ込む大気中の水蒸気量を増やすので、南極大陸の氷は全体として増えるという。

　原発、核燃料リサイクル高速増殖炉の推進派である産経新聞には、炭酸ガスの排出増大による地球温暖化現象と原子力発電の欺瞞を暴く論文は載らないだろう。
　
　（サンゴを傷つけたくせに）自然保護を掲げる反原発派の朝日新聞には、炭酸ガスの排出増大による地球温暖化現象と市民団体のリサイクル運動や環境保全運動の欺瞞を暴く論文は載らないだろう。

　かくしてマスゴミだけを見ている者は、騙されていくのである。

　理数系を志望する学生や、自然保護、環境保全に興味のある方は、ぜひ槌田敦先生の著書を読んでみて下さい。
　
　エントロピー増大の法則が厳然と存在する限り、ゴミゼロ社会の実現は不可能である。真正の環境保全運動は、生産消費廃棄という人間の営みを、自然の循環に適合させる社会制度改良運動でなければならず、それが21世紀の科学技術の任務である。

　「近代の文化生活といわれるものは、自然を征服して人為的となり、人間は自然を離れてかえって自然に逆襲される有様となった。この方向を突き進めば人類は滅亡するほかはない。我々は舵を転じて新時代の簡素生活を創造しなければならない。」

　「簡素生活は断じて野蛮生活に帰ることではない。自然と人為を完全に調和し、真に人類の生命を永遠ならしむる生活、科学と芸術が渾然融合した生活である。」

　「我等は今こそ自然と一体の生活に帰らねばならぬ。大自然に抱かれつつ、しかも最高の科学文明を駆使する生活、換言すれば、自然に最もよく順応せんがために科学を最高に発揮することこそ、永遠に進歩の道を行く理想生活なることを確信する。」

　以上は、人類後史への出発に収録されている石原莞爾の言葉である。この世を去る直前の石原莞爾の高貴な姿は、まるで生き仏のようであったと言われている。
　
　やはり石原莞爾は偉大なる預言者であった。

　
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