愛育のこころ:こどもの保護と教養(愛育会著/三省堂/昭和十五年発行)258~259頁は、反抗期(イヤイヤ期)の子供を扱うコツについて次のように解説している。
大人との社会生活
乳児の心の中における人の認識は、人の声を外の物音と区別して聞き分ける、人の表情を多少見分ける、家の人と他所の人との区別が分るという風に進んで行くのであるが、満二歳迄はその徐々な発達を見るのみである。
しかし、満二歳乃至四歳頃までの年頃の幼児は、大人との社会生活において一転機に面している。
それはこの年頃になると幼児に非常に反抗的になる時期が来ることがそうである。何を言われても必ず一応は「イヤ」と言ったり、言われた通りにしなかったりする。しかもその反面、自分のやりたい事は何処までも徹底的にやり通してしまうのである。この様に幼児が反抗的になって来るのは、子供の心が成長しつつある一つの段階であって反抗期と呼ばれる。
この反抗期のよって起る理由は、この年頃の子供の心の中に「自分」という意識がはっきりと眼醒めて来るからであると言われる。「自分」がはっきりして来るから頑張るということが強くなって来るのである。
この事を心得ていると反抗期の子供の扱いのこつは、無理に押さえつけないで、その「自分」に満足を与えるように、「お悧巧さんだから」「お兄さんだから」というように、おだてることに在ると言うことが考えられる。
反抗期は子供の意志の発達にとって欠くべからざる時期であると言われる。故に扱い難いけれどもそのこつは一寸考えると何でもないことであると言えよう。続きを読む
2025年02月14日
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