2011年4月21日、三菱重工業は、稲わらなどのソフトセルロースから自動車燃料用のバイオエタノールを製造する技術実証事業で、日本自動車技術会の規格(JASO)に適合するエタノールを製造する一貫技術の確立に成功した。
農林水産省の助成を受け、兵庫県下の農工・産学官連携で進めてきた「兵庫県ソフトセルロース利活用プロジェクト」での成果で、併せて、実機規模のエタノールプラントにおける燃料コストの試算などでも所期の目標を達成した。
今回の実証事業は、兵庫県や財団法人ひょうご環境創造協会などと共同で2008年度より実施してきたもので、三菱重工業は、白鶴酒造株式会社と関西化学機械製作株式会社との3社で、バイオエタノール製造工程の実証を担当した。
具体的には、各社の研究施設で要素技術の確認試験を実施した後、2009年12月から三菱の二見工場において、実機を模擬した実証施設でエタノールを製造するまでの一連の技術実証を行った。
原料となった稲わらや麦わらは、兵庫県稲美町内の営農組合が提供し、その効率的な収集・運搬・貯蔵技術の実証については、同協会や県立農林水産技術総合センター、三菱農機などが手掛けた。
製造工程では、三菱重工業が前処理・糖化工程を、白鶴酒造が発酵工程を、関西化学機械製作が蒸留精製工程をそれぞれ担当した。
三菱重工業が手掛けた前処理・糖化工程では、原料を連続して処理できる水熱処理装置を用いた。独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同開発した技術に改良を加えた装置で、熱水と酵素のみでエタノールの原料となる糖を従来法に比べ効率よく生成する。今回の実証では、同装置の連続運転性能の安定性と、酵素添加量の最適化などについて検証した。
白鶴酒造は、神戸大学の協力のもと、実用酵母から選抜した酵母や遺伝子組み換え技術を用いない方法で育種した酵母を用いて、稲わら・麦わら由来の糖からエタノールに転換する技術を確立した。
関西化学機械製作は、同社が開発した、従来型と比べて長期連続運転を可能にした新型の蒸留塔と、従来の気相法より低エネルギーで処理可能な液相吸着型の脱水ユニットを用いて、自動車燃料としての規格を満たすエタノール精製技術の実証を行った。
これらにより、JASOに適合するバイオ燃料が安定して製造可能であることを確認するとともに、稲わらや麦わらを原料に使用した場合の最適運転条件を検証した。
また実証結果をもとに、兵庫県内に実用機規模のエタノールプラントを設置した場合の試算を実施し、原料の収集・運搬からエタノールの製造までに亘るすべてのランニングコストについて、目標とされていた1リットル=90円未満を達成できる見通しを得た。
稲わらなどからバイオ燃料を製造する今回の技術は、単に石油燃料の代替としてのみならず、穀物の価格高騰の誘因となる食料とエネルギーの競合問題を解消する技術として、また、メタンなど温室効果ガスの排出源となる未利用資源を有効利用する技術として、各方面から期待を集めている。
これまでは生産効率が悪く、製造に大きなエネルギー消費を必要とするなどの難点があったが、こうした問題を解消すべく取り組んだ事業として今回の実証は画期的であり、大きな前進を見た。
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posted by 森羅万象の歴史家 at 12:00|
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