2008年06月09日

思いやりのデフレの経済学/岩田規久男

 岩田規久男氏が最近の代表的な経済学の教科書を開いて、デフレをどう定義しているかを調べてみると、デフレに関しては、ほとんど記述がなかったという。

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デフレの経済学/岩田規久男

第一章フローとストック・二つのデフレ
1デフレとは何か
コラムA 消費者物価指数の上方バイアス
2一九九〇年代のデフレと経済パフォーマンス
3一九九〇年代以降の資産デフレ

第二章デフレはなぜ起きるのか
1物価を動かすものは何か
コラムB 名目変数と実質変数
2貨幣的要因によるデフレ

第三章デフレとは貨幣的現象である
1貨幣数量説による貨幣と物価の関係
2貨幣数量説は現実に当てはまるか
3「良い物価下落論」は正しいか

第四章デフレは何をもたらすか
1松方デフレと昭和恐慌
2名目賃金と下方硬直性
3インフレ率と失業率の関係

第五章デット・デフレと資産デフレ
1デット・デフレーション
2資産デフレの不況加速メカニズム
コラムC 早期是正措置の概要

第六章デフレと不良債権問題
1不良債権問題の現状
コラムD 銀行に「追い貸し」させる現行制度
2不良債権の最終処理はなぜ必要か

第七章いま必要な構造改革とは
1景気対策か、構造改革か
2デフレ下の構造改革は成功するか

第八章デフレ脱却のための金融政策
1財政政策か金融政策か
2量的緩和政策のねらいと効果
コラムE フィッシャー効果
コラムF デフレのほうがインフレよりも実質金利は低くなる!?
3インフレ・ターゲット付き
長期国債買い切りオペ増額の提案


 著者の岩田規久男氏が昭和恐慌やアメリカの大不況に関する歴史的な考察から得た教訓は、次の通りである。

歴史の教訓1 デフレ下で(需要創出型以外の)構造改革を進めれば、デフレ・スパイラルに陥るリスクが大きい。それでもなお、構造改革を進めて、二~三年後にデフレ・スパイラルから脱出できたという歴史的な事例はない。そうであれば、需要創出型以外の構造改革を進める前にデフレから脱出する政策を優先すべきである。

歴史の教訓2 デフレから脱出して経済を正常な状況に戻すためには、デフレ政策からリフレ政策へと政策レジーム転換をはっきりと宣言し、人々にその政策レジーム転換を確信させ、それによってデフレ期待を完全に払拭することが重要である。

歴史の教訓3 人々のデフレ期待の払拭を確固たるものにするには、貨幣供給量の大幅な増加と為替レートの切り下げが有効である。

 竹中平蔵の経済観を象徴する彼の有名な発言は以下のものである。

 「GDPギャップ(デフレ・ギャップ)の議論はまったく意味がない。資本と労働力、技術からなる潜在成長力と実際のGDPの差(デフレ・ギャップ)があるから、需要不足を補うべきである、という議論は間違っている。なぜなら算出のもとになっている資本には役に立たないユースレス資本が組み入れられているからだ。よくエクセス・キャパシティ(超過供給力)というが、これはユースレス・キャパシティにすぎない。
 いまのような状態では、潜在成長力の議論は放棄して、水ぶくれしたユースレスな供給能力を削っていかないといけない」

 これに対して岩田規久男氏は次のように批判する。

 「構造改革によって、<役に立つ供給能力>を増やしたからといって、デフレ下で需要が不足していれば、<役に立つ供給能力>が利用される保証もない。利用されなければ、結果的には<役に立たない資本>になってしまう。

 不良債権の処理によって<役に立たない工場>が閉鎖され、<役に立たない人>は失業者として放り出されるであろう。

 しかし需要がなければ、閉鎖された工場跡地に新たな工場や建物が建設されることはない。需要がなければ、役に立たないと烙印を押された人の再就職先もない。」

 竹中平蔵はスターリンと同じ「塩水で渇きを癒す人」である。小泉竹中一派が構造改革を進めて規制を緩和し企業に合理化を促し、企業の供給力を増やしても、それらは必然的に有効需要を伴わない過剰な供給力になってしまい、竹中の目(節穴)には役に立たない資本に映るから、竹中は、いくら構造改革を重ねても決して改革の成果に満足することはなく、ひたすら構造改革継続の必要性を説き、役に立つ供給力の増加(サプライサイドの改革)を訴え続けるのである。

 そして日本の為政者が竹中平蔵の経済観に染まっているからこそ、我が国はひたすら供給力を強めながら内需をすり減らし、大量の失業者と自殺者と貧乏人を出しながらデフレ地獄へ転げ落ち、日本国民一人あたりのGDP値は、世界第2位から世界第35位にまで急降下したのである。

 共産主義国家において共産党がマルクス・レーニン主義の教義に拠って反革命勢力に対する赤色テロを開始すると、それは必ずテロ・スパイラル現象となり、共産主義国家はプロレタリア地獄へ転げ落ちる。それは赤色テロを始めた者が死ぬまで止まらない。

 構造改革派が政治的社会的に死ぬまで日本経済は衰退し続けるだろう。

 碁聖の呉清源が「なぜ盤上の石は二目を得ないと死ぬのですか」と質問されて「人間は息を吸って吐かないと死ぬでしょう、それと同じです」と答えた。まさに言い得て妙である。供給力を高めて有効需要を高めないと我が国は窒息死してしまう。バランスが大事である。

 岩田規久男氏は次のように構造改革派を斬っている。

 構造改革派は、「需要不足ではなく、能力がないから、職がないのである。職を見つけたければ、能力を磨くしかない。そのための財政支援は多少するが、最後は自己責任である」という。

 このような構造改革派の失業に対する見方は、「現在の失業の多くは構造的なものであって、需要が拡大しても、構造的失業は解消できない」というものである。構造的失業とは、労働者に、企業が要求する能力がないために発生する失業である。その説明として「建設機械の操作に熟練した労働者が建設業で不況で失業したからといって求人募集の多いゲームソフトのプログラマーにすぐ転職できるだろうか。当然要求される技能が異なるので、すぐには転職できない」といった例がよく持ち出される。

 しかし、全体の需要が拡大している経済では、多少とも努力すればプログラマーになれる人は転職してプログラマーになり、その転職した後を他の人が埋め、その後をさらに他の人が埋めるというように、玉突きが起きる。その結果、建設業が不況で失業した人もどこかで職を見つけることができる。つまり、構造的失業だとい思われていた失業も、総需要拡大政策によって減らすことができるのである。

 ところが、デフレ・ギャップを放置すると、失業した建設労働者はプログラマーになれないかぎり、職に就けない。

 経済学がデフレ・ギャップが原因で失業した建設労働者に向かって、「あなたはプログラマーになる能力がないから、職に就けないのです」というしかないのならば、経済学など不要であろう。


 まさにその通りである。そして現在の政府も不要である。デフレ不況の克服という政府にしか出来ない仕事を怠る政府など、役に立たない税金泥棒でしかない。

 高橋是清蔵相は1932年に、日銀引受の国債発行を財源として農漁村救済のために財政支出を30%増額した。貨幣供給量は32年から増加に転じ、デフレは止まり、実質経済成長率は33年に10%を記録した。高橋財政(1932~1935)時代の消費者物価の平均上昇率はわずか2%であった。

 当時日銀副総裁はであった深井英五は、この高橋の財政金融政策を「欠乏しきっていた資金を民間に流し、政府の必要とする財源を確保し、市中金利を引き下げるという<一石三鳥の妙手>である」と高く評価したという。

 政府すなわち政治家と公務員の税金の無駄使いに憤る有権者は、政府に対して、高橋是清を真似る日銀引受の国債発行か通貨発行権の拡大行使を財源としてスタグフレーションの激痛を緩和し、デフレ不況を退治する積極財政を要求すべきである。

 構造改革派経済学者と積極財政派経済学者の違いは、貧乏人と失業者に対する慈悲と思いやりの有無だと教えてくれるデフレの研究書がデフレの経済学です。


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タグ:経済
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posted by 森羅万象の歴史家 at 21:00| Comment(3) | TrackBack(2) | 所長が選ぶ名著と迷著の紹介 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今日のエントリは、すごく参考になりました。
Posted by 屋根の上のミケ at 2008年06月09日 21:16
「デフレの経済学」を貴ブログのリンクをたどって、アマゾンでさっそく、注文させて頂きました。
Posted by 屋根の上のミケ at 2008年06月09日 21:23
ミケさん、衷心より感謝申し上げます。
Posted by 便利屋こと所長 at 2008年06月10日 19:12
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