2016年06月02日

日本とバチカン―戦史修正のお知らせ

 所長は、「国民のための大東亜戦争正統抄史78鈴木内閣の失策」を以下のように加筆修正しました。

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 五月七日、遂にドイツが連合軍に無条件降伏し、ソ連がヤルタ密約(昭和二十年二月)に基づき対日参戦を果たすべく、ヨーロッパから満ソ国境付近に続々と大軍を集結させていたにも拘わらず、陸軍中枢の親ソ反米方針に押し切られた鈴木内閣は、十四日、対米英戦を継続しながらソ連に対し、我が国の譲歩と引き替えに、対日参戦防止、好意的中立、米英との和平仲介を要請することを決定してしまった。それが以下の六巨頭会談の決定である(2)。

 昭和二十年五月十一日、十二日及十四日に亘り最高戦争指導会議構成員(註、鈴木首相、東郷外相、阿南陸相、米内海相、梅津参謀総長、及川軍令部総長)のみを以てせる会議に於て意見一致せる所左の如し。

 日ソ両国間の話合は戦局の進展に依り多大の影響を受くるのみならず、其の成否如何も之に由る所大なるべきも、現下日本が英米との間に国力を賭して戦いつつある間に於てソ連の参戦を見るが如きことあるに於ては帝国は其の死命を制せらるべきを以て、対英米戦争が如何なる様相を呈するにせよ帝国としては極力其の参戦防止に努むる必要あり。尚我方としては右参戦防止のみならず、進んでは其の好意的中立を獲得し、延いては戦争の終結に関し我が方に有利なる仲介を為さしむるを有利とするを以て、此等の目的を以て速に日ソ両国間に話合を開始するものとす。

 我方としてはソ連が今次対独戦争に戦捷を得たるは帝国が中立を維持せるに依るものなることを了得せしむると共に、将来ソ連が米国と対抗するに至るべき関係上日本に相当の国際的地位を保たしむるの有利なるを説き、且又日ソ支三国団結して英米に当たるの必要あるを説示し、以てソ連を前期諸目的に誘導するに努むべきもなるも、ソ連が対独戦争終了後其の国際的地位向上せりとの自覚並に近来帝国の国力著しく低下せりとの判断を有し居ること想像に難からざるを以て、其の要求大なるを覚悟する必要あり。

 而して右ソ連の慾求は「ポーツマス」条約の廃棄を主眼とすべき処、帝国としては極力其の軽減に努むべきは勿論なるも、該交渉を成立せしむる為には「ポーツマス」条約及日ソ基本条約を廃棄することとし結局の所、

(イ)南樺太の返還、
(ロ)漁業権の解消、
(ハ)津軽海峡の開放、
(ニ)北満に於ける諸鉄道の譲渡、
(ホ)内蒙に於けるソ連の勢力範囲、且
(ヘ)旅順、大連の租借を覚悟する必要あるべく場合に依りては千島北半を譲渡するも止むを得ざるべし。

 但し朝鮮は之を我方に留保することとし、南満洲に於ては之を中立地帯となす等出来得る限り満洲帝国の独立を維持することとし、尚支那に就ては日ソ支の共同体制を樹立すること最も望ましき所なり。 

 この六巨頭会談の決定は、東アジアを共産化に導く愚劣な外交方針であったばかりか、我が国政府がローマ法王庁に日米和平の仲介を依頼するための好機を潰してしまった。

 日米開戦後、昭和天皇は、我が国とローマ法王庁との間に連絡のある事が戦争の終結時期において好都合なるべき事、又世界の情報蒐集の上にも便宜あることならびに、ローマ法王庁の全世界に及ぼす精神的支配力の強大なること等を考えて、東條内閣にバチカン市国への公使派遣を要望された(3)。東條内閣はこれに同意、東郷外相はバチカン特派公使としてフランス大使館参事官の原田健を起用することに決意し、この人事を一九四二年二月二十四日の閣議に附議決定、上奏御裁可を経て二十六日に発令した。

 同年三月十四日、ローマ法王庁は対ソ並びに対日関係に関し次のような発表を行いその立場を明らかにした(4)。すなわち法王庁としては現在の世界大戦に対して飽くまで中立的立場をとるが、カトリック教会は依然反ソ的態度をとるであろうとし、これに反して日本に対しては左のごとき四ヶ条の理由から全然別個の関係であるものと認めたのである。

一、日本は信仰の自由を認めている。
一、カトリック教は日本国内で公認されている四つの宗教の一つになっている。
一、従来多年にわたりローマ法王庁と日本との間には親善関係が結ばれている。
一、現在日本には法王庁よりの使節が駐在しており、従って日本よりの外交使臣が法王庁に対し派遣せられるのは別に事新しいことではなく従来から存していた友好関係を具体化したに過ぎない。
 
 ローマ法王庁は一九三四年四月二十日に満洲国を布教上支那から分離し個別独立の教区とすることに決定し、法王代理ガッテ司教に外交大臣の謝介石を公式訪問させ敬意を表し満州国と法王庁の親善関係促進を希望するなど親日的であり、第二次世界大戦に対して中立を標榜しながら我が国との親善関係を維持する一方で、イタリアが連合軍に降伏しローマがアメリカ軍の保護下に置かれた後は、アメリカとの関係を深めていた。

 アメリカの戦略事務局(OSS、CIAの前身)のバチカン担当者エール・ブレナンは戦略事務局長官ウイリアム・ドノバンの命令を受け、一九四四年末より情報活動を展開していたが、ドイツの降伏後には法王庁の対米問題担当者ヴァニョッチを通じて日本政府に対する接触を試みた。

 一九四五年五月二十七日、ヴァニョッチは日本公使館の教会関係顧問を務めていた富沢孝彦司祭を訪ね、「数ヶ月来ローマに在る一米人より和平問題に関し日本側と接触したきに付き橋渡しを依頼したし」と申し出、日本側の回答を督促した。日本の駐バチカン特命全権公使の原田健は、この申し出の目的と信憑性を疑いつつ、六月三日にバチカンから東京の東郷茂徳外相に宛てて次のように打電した(六月五日本省着)。

「二十七日、前駐米法王使節館参事官にして目下国務省に在るヴァニョッチ司教は当館嘱託富沢司祭を来訪の上、実は数ヶ月来ローマに在る一米人より和平問題に関し日本側と接触したきに付、橋渡しを依頼したしとの申出あり。

 先方の身分氏名等は申上げ得ざるが其の父親は社会的に相当有力なる人士なり。本人がカトリック教徒にして真面目なる人物なるが公の地位を有するものに非ず。

 もっとも先方はいよいよ交渉の段取りとならば公の人間を以て之に当たらしむる用意ある旨述べ居たりと為し、本件申出の事由としては欧州戦争終結せるも其の後のソ連の態度により政局ますます悪化の徴あり、翻て極東においてはソ連は恐らく戦争の最後の段階に参戦し満州を手中に入れ中国共産政府を使嗾して其の地盤を確保せんとすべしと察せられ、他方従来の戦績を顧みるも米側において今後必ずや多大の犠牲を要すべく、また日本側に取りては既に戦勝の見込無しと断じ得べしと為すにあり、また米側休戦条件として差当り忖度し得るものは占領地の還附、陸海軍の武装解除、朝鮮の占領等にして国体問題には触れず又日本本土の占領を考慮し居らずと思考せらるると為し居たりと説明し、ただ事件は対ソ関係上極めて機微なるを以て此の点注意の要ありと附言したる趣なり(以下省略)。」

 富沢とヴァニョッチから「無条件降伏の慫慂に過ぎざるものならば真っ平なり」との原田公使の回答に接した一米人ことブレナンは、自分の企図がアメリカ側の公の地位に在る者と日本とを非公式且つ極秘裡に会談せしめ両者の接近を図らんとするものであり、将来日本側より米側に伝達方希望あれば自分は何時にても連絡の労を執る用意があり、米側の主張する無条件降伏の建前は今更変更することは仲々困難であるが如何様にも解釈し得べきことを原田公使に伝え、原田はこの旨を東郷外相に宛てて六月十二日に打電した。
 
 しかし東京からは何の返電もなく(5)、我が国の外務省は天の恩恵に等しい法王庁の善意を無視し、見事に的中した昭和天皇の深慮遠謀を台無しにしてしまったのである。

(2)【終戦工作の記録下】八十~八十二頁。
(3)【昭和天皇独白録・寺崎英成御用掛日記】八十二頁。
(4)大阪朝日新聞一九四二年三月十六日記事。
(5)【終戦工作の記録下】三一三~三一七頁。


<反日マスゴミの報道犯罪>

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posted by 森羅万象の歴史家 at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去を旅する歴史コラム | 更新情報をチェックする
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