2015年08月14日

日本人に「二十世紀」の反省を迫る日本経済の再編成批判(山本勝市著/日本工業倶楽部調査課/1940年)

 我が日本国の1940年戦時体制を象徴する国家総動員法と近衛新体制はソ連の統制経済一党独裁を模倣した上からの国内革新であった。

 国政の最高責任者である内閣総理大臣(帝國憲法第五十五條)として両革新国策を推進した近衛文麿は、日本随一の共産主義者の河上肇に師事してマルクスレーニン主義に傾倒し、「私有財産が諸悪の根源であり財産と貧困の害悪を断ち切るには社会主義を実現するしかない」と確信していた革新貴族であった。

 そして近衛のブレーントラスト「昭和研究会」には朝日新聞出身のソ連スパイ尾崎秀実ら転向左翼と勝間田清一ら革新官僚ら近衛上奏文の所謂「国体の頃を着けたる共産主義者」が結集しており、彼らこそ近衛とともに国家総動員法発動と近衛新体制運動を推進し1940年戦時体制を作り上げた真犯人たちである。

 とくに朝日新聞経済担当論説委員であった笠信太郎は、朝日新聞社における尾崎秀実の同僚にして尾崎と並ぶ近衛文麿のブレーンであり、日本経済の再編成(笠信太郎著/中央公論社、1939年12月発行)は、第二次近衛内閣が推し進めた経済新体制の理論的支柱となった。

 従ってマスコミが我が国の1940年戦時体制を非難しながら近衛文麿と尾崎および笠ら近衛の最高政治幕僚たちを非難しないことは、アベノミクスを非難しながら安倍晋三と竹中平蔵ら安倍の経済ブレーンたちを非難しないことと同じ至愚の論である。

 毎年8月になると我が国では至愚の歴史論が政界と報道界に蔓延するが、戦時中の我が国では決してそうではなかった。

 1940年7月22日に発足した第二次近衛内閣は、「国家総動員法の広汎なる発動」と「自由経済を基調とする現存経済機構を計画経済の運営に適応させる公益優先主義」を実行し始めた。

 この前後から政友会の小川平吉のブレーンであった経済学博士の山本勝市が近衛内閣の経済新体制の理論的支柱になっていた日本経済の再編成と笠信太郎を徹底的に糾弾した(1940年6月~9月)。それをまとめた偉大な小冊子が日本経済の再編成批判(山本勝市著/日本工業倶楽部調査課/1940年12月発行)である。

 国民精神文化研究所所員の山本勝市博士は、笠信太郎の言動を分析し、「頻りにイデオロギーからの出発を否認する」笠が愛国者に擬装している共産主義者であること、笠の経済理論がマルクス主義に全面依拠する珍説愚論の類であり時局を救う提案としては一顧の価値もないこと、笠の推進する経済新体制は必ず日本経済を崩壊させることを指摘し、さらにマルクス主義の根本的誤謬とマルクス主義に囚われた国の経済が崩壊する根本的原因を理論的かつ実証的に抉り出したのである。

 当然のことながら笠信太郎は、山本勝市に反論できるはずもなく、山本の追及から逃げるように1940年10月ヨーロッパに出張し、1948年2月になってようやく帰国した。

 そして驚くべきことに、笠は、我が国の政党政治と自由主義的市場経済を破壊した近衛文麿の最側近の一人であったにもかかわらず、占領軍によって処罰されることなく、同年5月論説委員、同年12月東京本社論説主幹、1949年12月朝日新聞論説主幹、1951年11月取締役・論説主幹、1956年12月常務取締役・論説主幹となり、1962年12月に辞任するまで14年間にわたって論説主幹を務めたのである。

 朝日OBの本郷美則によると、笠信太郎の海外長期出張はゾルゲ事件の捜査から笠を守ろうとした緒方竹虎の特別の配慮だったらしいが(出典失念)、その真偽はともかく、近衛文麿のブレーンを幹部に戴き続け、マルクス主義を信奉する国内外の左翼勢力に奉仕し続ける敗戦後の朝日新聞社は、転向や反省とは全く無縁の、本当に厚顔無恥な、最悪の反日組織である

 朝日新聞社が我が国の戦時体制を軍国主義といって非難し日本国民に過去を直視し反省せよと説教する行為は、いわば保険金目当てに妻を殺害した夫が架空の犯人を捏造してこれを非難することにより事件の真相を隠蔽して妻の親族と警察の追及から逃れ、正義の味方を演じて自己の保身を図る行為に等しく、道義的な報道犯罪以外の何物でもない。

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日本経済の再編成批判(山本勝市著/日本工業倶楽部調査課/1940年12月発行、国立国会図書館デジタルコレクション公開資料、計画経済批判にも収録)

前書き 
序 氏のイデオロギーに就いて

第一章 氏の新体制で問題は解決され得るか 
第一 経済的対立根拠一掃の問題
第二 生産拡充の問題
第三 物価問題

第二章 経済組織の根本変革を伴わずして問題解決の策なきか

 笠氏の「日本経済の再編成」(中央公論社)は昨年十二月に初めて公にされて以来、かなり長い間の品切の期間をも含めて僅々十ヶ月の間についに五十版を重ねるに至った。小説の如きものと異なり、此の種の書物としては、驚くべき売行きといわねばならぬ。而もそれはかつてのマルクス文献のように主として学生に読まれたというのではなく、官吏や軍人の多くに読まれて居ることも疑を容れない。

 十月二十五日の東朝紙上の広告文には、「本書中に予言せられた経済部門の動向は今や時々刻々現実によって雄弁に立証されつつある」と記されている。勿論予言の的中した点もあるであろうが、私の最も虞れるのは、氏の著書が実際の政策に影響するということである。

 殊に政策の行詰まりから、当局自身が「手を挙げる外ない」という如き場合こそ最も危険な時期である今日「新体制」等の掛声に乗じて、猛烈な左翼の暗躍の存することは疑うべくもないが、吾々は断じて、我が政治の当路をして左翼の敷施せる軌道に乗せる様な失態あらしめてはならない。

 政府当局も「新体制はどうなるか」という如き傍観的態度ではなく「どうするか」という態度を持つべしと国民に要求して居る。私は日本国民の一人として、殊に久しく経済体制の問題の研究を職として来た一人として、臣道実践の自覚のもとに敢えてこの小冊子を世に送るのである。

 なお一言付記して置きたい。最近地方の某県が笠氏を招いて講演せしめた際、あとで聴講者の一訓導は「貴下の思想は共産主義だとの批判があるが如何」と質問したところが、氏はそれに答えて「それは国民精神文化研究所のものであろう。彼は自由主義者である、自由主義は清算さるべきものだ、また彼は批判するが対案がないではないか」という意味のことを云ったそうである。

 読者よ注意されたい。共産主義者は常に自由主義を排撃するのだという事を(中略)。

 「別に対案を出せ」という非難も、私に対しては当たらぬのである。私はそれを出して居るからである。神ながらの自らなる道に帰れというのがそれである。もっと具体的に明治の経済および経済政策の道に帰れと主張して居るのである。

 神ながらの道を、自由経済だの資本主義だのと勝手に非難して外に道を求めるという態度こそ今日、本道を逸脱して行詰を来した所以なのであるから、政治も倫理も、新しい道、新しい原理を編み出そうというすべての小ざかしき企てを捨てることこそ肝要なのである。

 甲案が行きつまったからと云って、乙案を求め、乙案が行き詰まったといっては、丙案を求めるという風に、あくまで新しい人智の改造案を古来の道の外に求めるという態度がいけないのである。昔ながらの倫理により、昔ながらの経済と経済政治の道を行くということになれば、道は、皇祖皇宗の御遺訓として、また祖先の遺風として、何人にも明に與えられて居ることを発見するであろう。

 物価を公定したり、物資を一元的に配分することを以て、戦争遂行のために必然不可避と考える人々は、明治時代の政治家は誰一人としてそのようなことを、必然不可避とは考えずに、却ってそのような思想を社会主義として弾圧しつつ、軍備も整え、戦争もやったという事実を反省すべきである。

 而して自分たちがそのような政策必然不可避と考えるに至ったのは、何時頃からのことか、また如何なる思想の影響によるか、ということを静に反省して見るがよいのである。
 
 社会主義による「自由経済否認、資本主義反対」という思想的前提なくして、そのような必然不可避論があり得るのであろうか(前書き)。


 筆者は、「神ながらの自らなる道」という絶妙なる表現を読み、思わず吹き出してしまった。もちろん山本博士のいう「神ながらの自らなる道」とは国家神道ではなく、アダムスミスが神の手と名付けた無数の人間の意識を超えた自動調整機能を持つ自由主義的市場経済のことである。

 明治維新は、欧羅巴諸国においてすでに社会主義が猖獗を極めつつある時代に行われたにかかわらず、政府は市場の自由なる取引機構の上に富国強兵のための経済政策をかなり強力に遂行して行った。「社会」という言葉の使用さえも許さぬほどの峻厳さを以て社会主義を弾圧し、それから国民経済を衛った。

 このような意味において私は今日の困難なる諸問題を解決打開せんがために、敢えて「明治の経済体制に帰れ」と主張したいのである。

 明治維新をブルジョア革命と考えるところの社会主義者やその亜流は「明治の経済体制への復古」を以て「資本主義経済体制への復帰」を意味するものとして反対するであろう。而してすでに社会主義思想に汚染せられ、社会主義の造語「資本主義」を口にし、資本主義を以てあたかも悪のシノニムの如くに信ずるに至っている所謂「知識人」たちには、「明治の経済体制への復帰」をば、単なる反論として受け取るであろう。

 けれども度々述べたように、価格が市場における具体的現実的取引によって定まり、その価格を経済計算の基礎として生産の方向が決せられるという市場機構は、明治維新によって意識的に蘇生確立せらるるに至ったというものの、実は古今に通じ、中外にあやまることなきものなのである。

 徳川時代の末期にはそれが著しく妨げられて居たのであるが、維新とともに其の拘束のきづなが断ち切られ、そこに再び経済は自然の組織軌道にのることとなって、僅々数十年の間に驚異に値する生産力の発展をそのもとに可能ならしめたものである。

 教育学問の内容のあやまりは一日も早く是正せらるべきである。また教育学問のあやまりに発する国体顕現を妨げつつあるごとき制度政策は断固として是正せらるべきである。しかし経済の根本的な組織体制という点に関しては、明治維新に学んでこそ今日の諸問題は本当の意味で解決せられ得るのであって、明治の経済を資本主義経済として排撃する如き社会主義的計画経済の方途を以てしては、問題は愈々紛糾を加えるのみである。

 計画経済化の進路には不可避なる暗礁が横って居る。それは「経済計算の困難」である。この暗礁の所在を知らずして、ただ勇敢に突進をつづけて行くときは、国民経済は必ずその暗礁に乗あげ、解体崩壊は火を見るよりも明である。されば私は経済政治の当路者をはじめすべての国民が一日も早く計画経済化の進路に横たわる右の暗礁に気づかれんことを祈念せざるを得ないのである。そこにこそ本文起稿の動機があるのであって笠信太郎氏への批評の如きは、ほんの一つの契機にすぎない(44~45頁)。


 山本勝市博士が執筆した「日本経済の再編成批判」は50頁に満たない小冊子であるにもかかわらず、我が国の1940年戦時体制および笠信太郎の正体だけでなく、毛沢東の大躍進政策が途方もない人的物的資源の浪費に終わり、ソ連が崩壊し、朝鮮労働党の頂点に君臨する金一族が次々と思いつく恣意的な経済政策(最近はスッポンの養殖らしい)がことごとく失敗する根本的原因を、21世紀に生きる我々読者に悟らせてくれる。

 我が国の戦時体制に対する反省の書として「日本経済の再編成批判」が広く国民に読まれていたならば、ソ連の統制経済一党独裁を模倣した1940年戦時体制を軍国主義あるいは天皇制ファシズムと非難しながらマルクスレーニン主義を信奉し、ソ連、共産中国、北朝鮮を礼賛する無限のルーピーズたちは大量発生しなかっただろう。

 当然のことながらソ連崩壊後に反日亡国主義者の群れと化した彼らに報道界と教育界を占領され世論と国歩を誤らされている今日の日本国の悲劇も無かっただろう

 「日本経済の再編成批判」は、21世紀の我々日本国民に対して、20世紀の人類史に対する真摯な反省を迫り、真正の教訓を教示する名著である。

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