2013年03月09日

自由主義経済の根底にあるもの-マンデヴィルの蜂の寓話と徳川宗春

 蜂の寓話の副題である「私人の悪徳は公共の利得」に似た言葉は「煩悩即菩薩」あるいは我が国の敗戦直後に流行した「ぜいたくは素敵だ」であろうか。

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蜂の寓話-自由主義経済の根底にあるもの(上田辰之助著/みすず書房/1987年初版発行)の目次

第一部マンドヴィルとその思想

序説
一、蜂の寓話を中心として
二、マンドヴィルという人

第一章 マンドヴィルの英国
第一節 主として外国人の観たイギリス
第二節 繁栄と享楽のイギリス

第二章 『蜂の寓話』の経済思想
第三章 『蜂の寓話』の労働観
第四章 マンドヴィルと利己の哲学
第五章 マンドヴィルと利他の哲学
第六章 マンドヴィル思想とその後に来るもの

第二部『蜂の寓話』-私人の悪徳・公共の利得

まえがき
序文-原著者(訳文)
『ブンブン不平を鳴らす蜂の巣』(訳文)
詩篇(原文)
序文(原文)


 マンドヴィル(マンデヴィル)の蜂の寓話は、欲望を悪徳と敵視した当時のキリスト教の道徳律に対する挑戦であり、彼の祖国オランダに当時発達した経済的合理主義の精神から生まれ、アダム・スミスの国富論に受け継がれた。マンドヴィルは私欲なき人間を「無風帯の巨大な風車」に喩え、創意(インダストリ)の原動力が人間の限り無い欲望であることを指摘し、富国強兵の根本策はまず人々の欲情に点火するにありと説いたのである。

<蜂の寓話の一部抜粋>

悪の根という貪欲こそはかの呪われた邪曲有害の悪徳。
それが貴い「濫費」に仕え、奢侈は百万の貧者に仕事を与え、忌まわしき鼻持ちならぬ傲慢がもう百万人を雇うとき羨望さえも、そして虚栄心もまた、みな産業の奉仕者である。
かれら御寵愛の人間愚、それは移り気、食物、家具、着物の移り気、本当に不思議な馬鹿げた悪徳だ。それでも商売動かす肝腎の車輪となる

さらば不平はやめよ、馬鹿者だけが偉大な蜂の巣を正直にせんとする。
世界の佳きもの楽しみながら、武威は輝き、生活は安泰、そのうえさしたる悪徳なしということは脳裡に宿る空しいユートピア。
詐り、奢り、誇りはやはりなくてはならぬもの、そしてその恩沢をば我等が受ける。
空腹は恐ろしい悪疫だ、ほんとうに、だが空腹なくして誰が消化し身を養う(中略)。

正義によって裁断し、束縛すれば、いな、国民が偉大を望むなら、悪徳の国家に必要なること空腹の食事におけるがごとし。

徳が高いというだけで国々の暮らしをば豪勢にするは無理な話。黄金時代の復活を冀う人々は楽園の「正直」のみならず、楽園の「樫実」にも自由の襟度あらま欲し。


 国民が偉大を望むなら、空腹が食事に必要であるように、悪徳(無限の欲望)が国家に必要であるとは経済の本質を突いている。国民の空腹(食欲)が減れば農漁蓄産業および食品加工産業が衰退し、国民が禁欲し質素倹約に励めば、消費と投資が減って経済が低迷し、国民は貧しくなり、国家は貧国弱兵の一途を辿るからである。

 しかしマンドヴィルは公共の利得を増大するはずの「私人の悪徳」から労働者の悪徳を排除し、逆にそれは公共の利得に反すると考え、労働者に「貧困、無知、勤勉」を押し付け、豊富な労働貧民を奴隷に代わる経済発展の道具として扱うために、労働者を「生かさず殺さない」政策の必要性を説いたのである。

 以上でマンドヴィルが労働者教育に反対する理由が明らかとなった。一見まことに冷酷かつ非人道的な理由である。彼はあくまで労働者を道具扱いした態度に終始し、貧者に対する同情を「安価な温情」と呼んで不合理なものとしている(中略)。

 マンドヴィルの労働者教育論はアダム・スミスのそれと比較される必要がある。人はそこに重商主義から自由主義への意向がようやく本格的になったことを感じ、あわせて労働思想においてイギリス人的人道主義が表現されている一つの場面を見出すであろう(蜂の寓話-自由主義経済の根底にあるもの165ページ)。


 マンドヴィル(1670~1733)が生きた時代に彼の蜂の寓話-私人の悪徳・公共の利得-に似た経済思想に到達し、かつそれを実践した日本の練達の政治家は、尾張藩守の徳川宗春(1696~1764)であろうか。徳川宗春は、独自の自由経済政策理論をもって幕府の倹約緊縮経済政策(享保の改革)に挑戦し、「名古屋の繁華に京(興)がさめた」ともてはやされたほどの繁栄を名古屋にもたらした。

徳川宗春の政策(WIKIより)

形式よりも中身を大切にした 例:仁・「まこと」を重視する 温知政要・條々二十一箇条 等
意味のある祭りを盛んにし奨励した 例:東照宮祭・名古屋祇園祭(天王)・盆踊り 等
人道に反する祭りは禁止した 例: 梁川の正月の水掛け 国府宮の裸祭厄男 等
奪い合うことや義に合わぬことを禁止した 例:條々二十一箇条 等
自分の身にあった遊びは大切であるとした 例:遊廓・芝居・見せ物 等
法律や規制は少ないほうが良いとした 例:規制緩和 温知政要・條々二十一箇条 等
簡単なミスの訴状等の書類を差し戻さず受け入れるように指示した 例:條々二十一箇条 等
衣服・家・持ち物等は禁制のある物以外は自由にした 例:條々二十一箇条 等
ファッションリーダーを自ら担った 例:申楽(能・狂言)・歌舞伎・朝鮮使節団等の衣装 等
心を込めた贈答・饗応を大切にした 例:條々二十一箇条 等
庶民と上級藩士が出会う場を提供した 例:御下屋敷や市谷邸のお披露目 等
商人との対話を積極的にした 例:岐阜巡行・乾御殿や御下屋敷滞在時
六斎市の奨励 歴代藩主の中で、許可した例がダントツに多い
庶民が喜ぶことをした 例:奴振り・白牛・漆黒の馬と衣装・派手な衣装
社会的な弱者を大切にした 例:女性・子ども・身分の低い者の保護
死刑をしなかった
マニフェストであり家訓でもある『温知政要』を執筆し上級家臣に配布

温知政要二十一箇条

序文
第一条 : 大きな愛と広い寛容の心で仁徳ある政を
第二条 : 愛に敵なし 権現様のように仁者であれ
第三条 : 冤罪は国の恥 罪科はとことん調べつくせ
第四条 : 継続は力なり 私欲に走らず、志を最後まで
第五条 : 学問の第一は愛情 小賢しい学問より自分自身に正しくあれ
第六条 : 適材適所 どんなものにもそれぞれの能力がある
第七条 : 好きこそものの上手なれ 他の者の心情を察するように
第八条 : 規制は必要最小限で良い 法令は少ないほど守ることができる
第九条 : お金は活かして使え 過度な倹約省略はかえって無益になる
第十条 : 生かすも殺すも庶民の知恵 押し付けではなくまずは仲良く
第十一条 : ストレスなしが養生一番 怠けなければ心身ともに健康である
第十二条 : 芸能は庶民の栄養 見世物や茶店などを許可する
第十三条 : 先達はあらまほしきこと どんなことでも事情通であれ
第十四条 : 芸道は偉大 あらゆる芸事を数年で身につくとは思わぬように
第十五条 : 若者への諫言には若気の至りをもって 異なる意見は相手の年齢を考えて
第十六条 : 失敗は発明の母 大器量の者でも若い頃は羽目を外すことはある
第十七条 : 人の命は金では買えんぜ 生命は尊く、常日頃の用心が肝要
第十八条 : 何事も庶民目線で 世間の事情によく通じ深い愛情を示せ
第十九条 : 天下の政治は緩急自在で 国の改革はゆっくりと普段の用件は速やかに
第廿条 : 改革は文殊の知恵で 自分ひとりではなく良き補佐が大切
第廿一条 : 「まぁええがゃぁ」が臣下に対する主君の心得。古参新参・男女等を問わず平等に深く愛情を示せ


 マンドヴィルの蜂の寓話は徳川宗春の温知政要と比較される必要があるのではないか。マンドヴィルの詩の冒頭に登場する「ブンブン不平を鳴らす蜂」はセイヨウミツバチなのだが、セイヨウミツバチよりニホンミツバチの方が様々な点で優秀であるように、徳川宗春はマンドヴィルより偉大でアダムスミス(1723~1790)の先駆けなのではないだろうか。

 蜂の寓話-自由主義経済の根底にあるものには上田辰之助の研究テーマであった古代・中世経済思想史、聖トマス経済学、オーガスティン文学時代のイギリス、産業革命以前のイギリスの政治・経済・宗教・文学・哲学などの研究成果、産業革命以後のイギリスの社会思想史などに至る上田哲学の全エッセンスが凝縮されている。

 本書はそれでいて実に読み易く、上田辰之助は縦横無尽にマンドヴィルを語りつくし、見事にマックス・ヴェーバーを論破している。まさに名著中の名著が蜂の寓話 自由主義経済の根底にあるもの(上田辰之助著作集)である。

規制緩和に挑んだ「名君」―徳川宗春の生涯
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