2009年01月08日

罪深いNHKと摩訶不思議な戦史研究者 須藤眞志と秦郁彦

 秦郁彦氏はWiLL (マンスリーウィル) 2009年 02月号で次のように述べる。

 ヴェノナ文書も「存在が明らかになったソ連のエージェントのうちいまだ200人近くコードネームの同定ができず、実際に誰であるかわかっていない」(福井義高)ぐらいだから、1948年に病死したハリー・ホワイト(米財務省金融調査部長)が該当者かどうかは決めがたい。

 しかし福井義高氏は正論2006年8月号所載「ルーズベルト対日戦決意の背景最新報告」で次のように述べているのだが。

 ところが、それから約半世紀経った1995年、マッカーシーの「荒唐無稽」とされた主張をも超える規模のスパイ網をソ連がアメリカ国内に張り巡らしていたことに対する決定的証拠がNSA(国家安全保障局)によって公開された。それが40年代のソ連暗号電信をNSAが秘密裏に解読していた「ヴェノナ」文書である。そしてヴェノナに登場する三百人を超える政府内ソ連エージェントのなかでも最も高い地位に上り詰めた人物、それが財務次官を経て、戦後、IMF理事となったホワイトだったのだ。

 ホワイトは、モーゲンソーの片腕として、当然、試案の作成に関わっていた。ホワイトが「祖国」ソ連を窮地に陥れる日独との二正面作戦を避けるため、アメリカが日本に強硬政策をとるべく進言したことは十分考えられる。

 実は、ヴェノナとは別に、元KGB工作員ヴィタリー・パブロフが、ホワイトを通じてアメリカの対日政策に影響を与えるべく「雪」作戦を敢行していたことを95年に明らかにした。97年にはMHKのインタビューにも応じ、この証言も利用しながら、須藤眞志京都産業大学教授が労作『ハル・ノートを書いた男 日米開戦外交と雪作戦』(1999年文藝春秋)をまとめている。

 前記インタビューで、ホワイトがスパイでないということをどうして確認できるのかという質問に対して、パブロフは、「もっとも重要な証拠は、FBIと防諜局が1943年から48年まで、ホワイトがエージェントであることを証拠づけるために、あらゆる努力を続けたにもかかわらず、なんらの証拠も得られなかったということです。得られたのは裏切り者の事実無根の証言のみだった」と、ヴェノナ公開後とは思えない白々しい嘘をついている


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 秦郁彦氏はプロ歴史学者のくせに、福井義高氏の論文はもとより、日本国内外のヴェノナ研究書も読んでいないに違いない。だから秦郁彦氏には、ソ連陰謀説の「いずれも根っこがないのに華やかに咲いている枯尾花のたぐい」に見えるのである。
 自分と意見を異にする人の足元を見ずに「足がない!お前は幽霊だ!!」と騒ぐ軽率な爺さんが秦氏であるわーい(嬉しい顔)

 須藤眞志氏はパブロフの白々しい嘘に反駁することなく「結論的に言えば、ソ連の工作によって日米戦争が起こされたとするソ連陰謀説は、パブロフ証言を見るかぎり、まったく当たっていない」と書いているが、ホワイトがまとめた対日通牒試案が22日の国務省案ひいてはハルノートの下敷きになったことは認めている。

 ハル・ノートと言われるものの原形は、モーゲンソー案を参考にしながら一九四一年十一月二十二日に(国務省)極東部において作られた。

 H・D・ホワイトの書いたモーゲンソー案は、どのように国務省の二十二日案、ひいてはハル・ノートに取り入れられているのだろうか。まず、二十二日案の「日本政府のとるべき措置」には、モーゲンソー案の次のような項目が生きている。中国、印度支那、タイからの撤収(モーゲンソー案第一項)、国民政府以外のいかなる政府も支持しないこと(同第二項)、日本はアメリカと中国に最恵国待遇を与えること(同第九項)、アメリカ、中国、英国、蘭印、フィリピンで十年間の不可侵条約を結ぶこと(同第十項)。「アメリカ側のとるべき措置」の中に組み入れられている内容は、以下のとおりである(以下省略)。
 このように見てくると、ホワイト・モーゲンソー案の約半分が二十二日の国務省基礎案に取り入れられたことがわかる(ハル・ノートを書いた男 日米開戦外交と雪作戦169~173ページ)。

 
 そして1941年11月26日に日本側に提示された所謂ハル・ノート10項目は、第10項が新たに加わったほかは、文章表現は異なるが、22日国務省案の各項目のほとんどすべてを網羅した提案である。
 
【ハルノート】

一、 米国政府及び日本国政府は英国、中国、日本、オランダ、ソ連、タイ国及び米国の間に多辺的不可侵条約の締結に努むべし。
二、 両国政府は米、英、中、日、蘭、タイ政府間において各国政府が仏領印度支那の領土主権を尊重し且つ印度支那の領土保全に対する脅威発生するが如き場合、かかる脅威に対処するに必要且つ適当なりと看なされるべき措置を講ずるの目的を以て即時協議する旨誓約すべき協定の締結に努むべし。かかる協定は又協定締結国たる各国政府が印度支那との貿易もしくは経済関係における特恵的待遇を求め、または之を受けることなく且つ各締結国の為仏領印度支那との貿易通商における平等待遇を確保するが為、尽力すべき旨規定すべきものとす。

三、 日本国政府は中国及び印度支那より一切の陸海空兵力及び警察力を撤収するものとす。

四、 米国政府及び日本国政府は、臨時に重慶に置ける中華民国国民政府以外の中国におけるいかなる政府もしくは政権をも軍事的政治的経済的に支持することなし。


五、 両国政府は外国租界及び居留地内およびこれに関連せる諸権益をも含む中国にある一切の治外法権を放棄するものとす。両国政府は外国政府租界地及び居留地における諸権利に、一九〇一年義和団事件議定書による諸権利を含む中国における治外法権放棄につき英国政府および其の他の政府の同意を取り付けるべく努力するものとす。
六、 米国政府及び日本国政府は、両国による互恵的最恵国待遇及び通商障壁引き下げを基本とする米日間通商協定締結のための交渉に入るものとす。右通商障壁引き下げには生糸を自由品目に据え置くべき米国による約束を含むものとす。
七、 米国政府及び日本国政府は、各々米国にある日本資産及び日本にある米国資産に対する凍結措置を撤廃するものとす。
八、 両国政府は円ドル為替安定計画に付協定し、右目的の為の所要資金の分担は日米折半とするに同意するものとす。
九、 両国政府は、その何れか一方が第三国と締結しあるいかなる協定も、本協定の根本目的即ち太平洋地域全般の平和樹立及び保持に矛盾するが如く解釈せざるべきに同意するものとす。
十、 両国政府は、他の諸政府をして本協定に定められある基本的な政治的及び経済的諸原則を遵守し且つ之を実際に適用せしむる為其の影響力を行使するものとす。
 
 ハリーデクスターホワイトが作成した対日通牒試案(モーゲンソー案)中の「日本政府が提案すべきこと」の第一項「すべての陸海空軍及び警察力を中国(一九三一年の境界で)印度支那及びタイから撤収する」および第二項「国民政府以外の中国における政府への支援-軍事的、政治的、経済的-を中止する」が、22日の国務省案を経て、殆どそのままハルノートの第三項および第四項になっていた。

 そしてハルノート中のホワイト条項ともいうべき第三項「陸海空軍と警察の支那全面撤退」および第四項「重慶政府以外不支持」の両項こそが、日本政府に日米交渉の妥結は不可能と判断させ、対米英開戦を決断させたことは、大東亜戦争を研究する歴史学徒の常識である。

 つまりハルノートに対するホワイトの影響は、確かに部分的であったが、それを歴史学徒が無視していいほど微弱とはいえず、むしろ決定的なものであり、ホワイトは日米間の交渉決裂と軍事衝突に重要な役割を果たしたのである。そしてヴェノナ文書は、ホワイトが「Jurist」「Lawyer」「Richard」という隠名を持つソ連のスパイであったことを証明した。
 
 だから所長が思うに、アメリカ政府のハルノートによる対日挑発は、ソ連の謀略「帝国主義国家相互間の戦争激発工作」の一環であったといっても差し支えない。

 甦れ美しい日本、松永太郎 呆れた秦郁彦氏「WILL」2月号論文から

 パヴロフ(KGB工作員)は、ホワイトに対して、次のようなアウトラインをあたえた。そのなかに日本がチャイナから撤退することという条件があった。これ自体、日本から見れば、非常に過酷な条件である。しかも、それを極端に厳しい言葉でつきつけろ、というものである。ホワイトがこれをポケットに入れようとしたが、パヴロフはこれを止め、暗記させた(The Venona Secrets: Exposing Soviet Espionage and America's Traitors16ページ)。

 ホワイトは、すでにパヴロフから受けていた、このKGBの指令を、メモに書き直し、モーゲンソウに送った。モーゲンソウは、これにサインし、大統領と国務長官のハルに送った。ハルは、このメモにある厳しい、過酷な言葉をほとんどそのまま使い、1941年11月26日、日本に突きつけたのである(The Venona Secrets: Exposing Soviet Espionage and America's Traitors43ページ)


 須藤眞志(1939年生まれ、6歳で日本の敗戦を迎え、7年のあいだGHQの洗脳教育を受けたことになる)は、スタンフォード大学とジョージワシントン大学の客員教授の歴任という華々しい経歴の持つ歴史学者だから、95年のヴェノナ文書の公開を知らなかったとは考えにくい。
 
 また須藤氏は「ハル・ノートを書いた男 日米開戦外交と雪作戦」の198ページに「近衛のブレーン集団として作られた昭和研究会も、日本の国家的膨張を理論づけようとしていた」と書いている。昭和研究会の中心人物は、他でもないゾルゲ機関に所属していた朝日新聞社出身のソ連スパイ尾崎秀実であった。尾崎が支那事変の拡大を煽動し我が国を南進させ対米英戦争へ誘導しようとしていた証拠は、尾崎秀実著作集に満載されている。さらに昭和研究会それ自体がコミンテルン35年テーゼの影響をもろに受けた赤化組織であった。それにもかかわらずヴェノナ文書を無視し、そして昭和研究会に言及しながら、日米開戦ソ連謀略説を否定する須藤眞志は、一体いかなる思想を持つ学者なのであろうか。

 これを解明する若干の手掛かりが「ハル・ノートを書いた男 日米開戦外交と雪作戦」の177ページにある。それが以下の記述である。

 東京裁判で、インドのパル判事は、ハル・ノートのようなものを突き付けられれば、モナコでもルクセンブルクでも立ち上がったろう、と述べたという。パルの真意のほどはさだかではないが、この問題について記述する日本人が必ずといってよいほど引用する有名な言葉である。

 しかし「モナコでもルクセンブルクでも立ち上がったろう」云々は、現代の歴史家(たしかノックスという人)の言葉であり、パル判事はそれを紹介したにすぎない。

 現代の歴史家でさえも、つぎのように考えることができたのである。すなわち「今次戦争についていえば、真珠湾攻撃の直前に米国国務省が日本政府に送ったものと同じような通牒を受け取った場合、モナコ王国やルクセンブルグ大公国でさえも合衆国にたいして、ほこをとって起ちあがったであろう」
 現代の米国歴史家はつぎのように述べている。すなわち「日本の歴史、制度と日本人の心理についてなんら深い知識を持たなくても、一九四一年十一月二十六日の覚書についてつぎの二つの結論を下すことができた(以下省略)」(共同研究 パル判決書下巻441ページ)


 「ハル・ノートを書いた男 日米開戦外交と雪作戦」の執筆中の須藤眞志は、日米開戦史を扱う歴史学者のくせに、それまでパル判決書を読んだことがなかったのだろう。現に上の著書の巻末に列挙されている参考文献にはパル判決書がない。

 そして須藤にはパルの真意がよくわからなかったのであれば、直ちに書店に行き、共同研究パル判決書上下を購入し、上の言葉が記述されているパル判決書下巻第四部「全面的共同謀議」をじっくり分析し、パルの真意のほどを定かにして、それを著書に書き記しておけば、牛村圭氏の「「文明の裁き」をこえて―対日戦犯裁判読解の試み」で揶揄されることもなかったのに、須藤はそれを行わなかった。
 パル判決書を購読せず、購読できるのに敢えて購読しなかった須藤は、少なくともアンチ反日の歴史学者ではあるまい。

 もしかすると須藤氏はNHK(日本反日協会)と共謀し意図的にパブロフの虚偽証言を日本国内に流布して日米開戦ソ連謀略説を打ち消そうとしたのかもしれない。だとすれば秦郁彦氏は、南京事件の研究に続いてハルノートの研究でも虚偽資料「ハル・ノートを書いた男―日米開戦外交と「雪」作戦 」に騙されたことになるが、同情に値しない。秦郁彦は、田母神エッセイを非難する毎日新聞ら反日勢力にもてはやされ、今をときめくプロの歴史学者だからわーい(嬉しい顔)

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<関連の記事と書籍>

・日米の歴史修正作業 1995年のVENONA公開と東京裁判却下未提出弁護側資料刊行

共同研究 パル判決書は実用的ではないが、子供へのプレゼントに相応しいこの名著は実用的な家宝になります。


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posted by 森羅万象の歴史家 at 23:51| Comment(3) | TrackBack(0) | 過去を旅する歴史コラム | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。

>歴史学者に大東亜戦争の解明を委ねる訳にはいかないと決意した方は

私は所長に解明をゆだねると決意しました。

最近、ランキングが少し上がってきましたね。瀬戸さんのブログは植草さんにも抜かれてしまったようですが。
Posted by saratoma at 2009年01月09日 02:31
所長様の一連の論考は、秦論文に対する最も理路整然としたカウンターになっていますね。その真摯な一次資料から揃えて当たるご姿勢と勉強量の凄さには本当に頭が下がります。

なお、大人にはすぐこちらの内容をそのまま伝えて見てもらえるのですが、子供達にはちょっとそのままでは困る写真本(笑)もあり、将来的には何らかの形で整理していただけると、もっと普及しやすいと思います。古い大人の、勝手なお願いではございますが。

Posted by 寺小路 at 2009年01月11日 12:39
 saratomaさん、私だけでなくみんなで解明しましょう。

 寺小路さん、少し整理を考慮する時間を下さい(笑)。
Posted by 武器屋こと所長 at 2009年01月11日 22:28
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